第七話「パラレルワールドとマタタビ?」
2019年1月22日早朝、台湾の客家(27歳)の人が日本行きの飛行機の中で眠りに落ちた。目が覚めると、ベッドにいた。
えっ?私は飛行機に乗っていたんじゃないのか?
部屋のドアが開くまで、やっと多くのかつてないことを知った?!
彼は人類が絶滅した世界に来たんだ!そして目が覚める日も1月22日だなんて!?……(一言で説明するのは難しい)
「ふぅ……。やっと、さっぱりした」
シャワーを止め、顔の水滴を拭う。シャワー室には熱い湯気が立ち込めていた。鏡の中に映る、お風呂上がりでほんのり赤みを帯びた十二歳の少女の顔を眺める。認めたくはないけれど、この肌は剥きたてのゆで卵みたいにプルプルだ。
でも、うっとり眺めている時間はない。外には二頭の「猛獣」——カモシカとタカ——が、手ぐすね引いて待っているのだ。
私はバスタオルを引っ掴み、自分をミイラみたいにぐるぐる巻きにした。それから慎重にドアロックを回し、「カチャリ」と隙間を作る。脱衣所には誰もいない。
(よしっ! 安全!)
心の中でガッツポーズを決め、爪先立ちでロッカーへダッシュし、服を掴んで逃げようとした——その瞬間。
「つ~か~ま~え~た~!」
元気いっぱいの声が、真上から降ってきた。内田さんが忍者のように、シャワー室の梁の上にしゃがみ込んでいたのだ。ニホンカモシカの亜人である彼女にとって、これくらいの高低差は平地も同然。彼女は空から舞い降り、私の退路を断った。
「エンジェルちゃん、シャワーだけでお風呂に入らないなんて、もったいないよ?」
抵抗する間もなく、今度はアユミさんが背後から優しく私を抱え上げた。「これは決まりですからね」
「ぷはっ!」
私はそのまま、巨大な白玉の浴槽へと放り込まれた。
温かい泉水が瞬時に私を包み込む。水面には数匹のカピバラ亜人の女性たちが、お湯に浸かりながら頭の上にミカンを載せて「極楽極楽」といった様子で目を細めていた。
「ふぅ……。新入りの子……。ミカン、いりゅ……?」
私は気まずそうに首を振り、浴槽の隅に縮こまった。けれどすぐに、体に異変を感じ始めた。
これ、ただのお湯じゃない。
皮膚の表面がチリチリと、微かな静電気が跳ねるような奇妙な感覚に襲われる。続いて、四方八方から重苦しい圧迫感に押し潰されるような感覚になり、頭がくらくらして胸が苦しくなってきた。
「どうしたの? 顔色が悪いよ?」内田さんが泳いで近づいてくる。
私は眉をひそめ、自分の胸を指さした。
「ああ、そういえば、エンジェルちゃんには魔力がないんでしたね」アユミさんが何かに気づいたように言った。「ここは王族専用の『魔力の泉』。お湯の中には高濃度の液化魔素が含まれています。私たち亜人には滋養強壮になりますが、人間にとっては……『拒絶反応』に近いものが出るかもしれません」
(拒絶反応!? だったら早く出してよ!)
体内の血流が速まり、得体の知れない火照りと高揚感が神経の末端を駆け巡る。まるでエスプレッソを何杯も一気飲みしたみたいだ。体は疲れているのに、神経だけが異常にハイになっている。
水面に映る自分の姿を見る。いつの間にか外はすっかり暗くなっていた。水鏡に映る私の髪は、夜の訪れとともに夜空のような紺色から、鮮やかな赤褐色へと変わっている。
魔素によって無理やり「充電」されるこの違和感に耐えられず、私は勢いよく立ち上がった。
(もう無理! これ以上入ってたら爆発しちゃう!)
濡れた赤い髪を振り乱し、魔素の刺激に耐えかねた私は、脱衣所へと一目散に駆け出した。
申し訳なさそうな顔をするメイドたちを、その場に残して。
部屋に戻り、髪は乾かしたものの、お風呂で蓄積された「魔素の火照り」は体内に残っていた。赤髪状態の私は昼間より感官が鋭くなっている。そこに魔力湯の副作用が加わり、今の私は極度の興奮状態にある。
全く眠れない。おまけに……お腹が空いた。それも、猛烈に。
体内の火照りをねじ伏せるような、ガツンと濃い味の食べ物を詰め込みたいという本能的な衝動。
私は机の上に置いてあった、午後の収穫物——紫赤色の球根(紅葱頭)——を見つめた。月光を浴びて、それは妖しい光を放っている。
決行だ。
私は紅葱頭を掴み、夜の暗殺者のように寝室を抜け出し、王宮の側殿にある小さな厨房へと忍び込んだ。
そこにはバークシェフが残した、最高級ラードの半缶があった。私は鮮やかに包丁を握る。
トントントントントン——!
赤髪状態の私の手つきは、外科医のように正確で迷いがない。紅葱頭は一粒残らず、寸分狂わぬ厚みのスライスへと変わっていく。
鍋を火にかけ、真っ白なラードをたっぷり一掬い。
「ジューッ!」
熱い鍋の中でラードが溶ける。そこへ、刻んだ紅葱頭を投入。
「ザーッ!」
油の温度が紅葱頭を包み込む。化学の魔法が始まった。水分が弾け飛び、色は紫白から淡い黄色へ、そして黄金色へと変わっていく。濃密で、傲慢で、それでいて強烈な香ばしさとスパイシーさを伴う香りが、厨房の中で一気に炸裂した。
ハーブ主体の淡白な料理に慣れた異世界人にとって、この匂いは刺激が強すぎるかもしれない。けれど私にとっては、これこそが故郷の香り。魂を癒す良薬だ。
だが、私は知らなかった。
亜人が共生するこの世界において、高温の油で揚げられたこの紫の球根は、ある特殊な化学信号を放出するということを。
それは、ネコ科の亜人にとって——致命的な信号だった。
油を切り、黄金色に輝くサクサクの「油葱酥」が完成した。
麺を茹で、タレ(ネギ油+醤油)と和え、最後に揚げたての油葱酥をたっぷりと振りかける。
完成。「特製・客家風油葱拌麺(汁なし和え麺)」。
この炭水化物爆弾で体内の火照りを鎮めようと、いざ箸を伸ばしたその時——。
「ガリ……、ガリガリ……」
入り口から奇妙な音が聞こえてきた。大型の動物が爪で木の板を引っ掻くような音だ。
私は振り返った。
入り口の影に、長身の人影が立っていた。シルクの寝間着を羽織った老人。白髪混じりの髪、丸い耳、そして暗闇で金色に光る瞳。
前・東地皇——レオン・レパード。この王宮の先代の主であり、タイワントラの亜人だ。
「……あの人間か」
レオンの声は低く掠れており、どこか虚勢を張っているようだった。
けれど、彼の様子は明らかにおかしい。
ドアの枠を死に物狂いで掴み、金の瞳は限界まで見開かれて、瞳孔が丸いブラックホールのようになっている。鼻をピクピクと激しく動かし、喉の奥からは制御しきれない、エンジンの始動音のような低い唸りが漏れていた。
「グルル……、ゴロゴロ……」
「これ……、これは何の匂いだ……?」
レオンは一歩ずつ厨房へと足を踏み入れる。足取りはおぼつかなく、視線は虚空を彷徨い、皇族としての威厳はどこへやらだ。
「この匂い……、脳髄に直接響く……。ワシの血が沸騰しそうだ……」
私はその姿を見て確信した。
見開かれた瞳孔、荒い呼吸、溢れ出る涎。そして匂いの元(油葱酥)への執着。
地球で猫を飼っていた身として、この症状には見覚えがありすぎる。これ、完全に「マタタビをキメた」反応じゃないか!?
(待って……。もしかしてこの世界の紅葱頭って、揚げると亜人にとってのマタタビになるの!?)
私は手元にある黄金色の麺を驚愕の眼差しで見つめた。夜食を作っていたつもりが、私はいつのまにか「違法薬物」を精製していたのか?
「くれ……、それをワシに……」
レオンはすでに理性を失っていた。国を導いてきたはずの手が、今は震えながら私の器へと伸びてくる。「それを……、その黄金の……、サクサクしたやつを……」
中毒症状に陥ったおじいちゃん陛下。ちょっと申し訳ないけれど……、この反応、可愛すぎない?
私は少し眉を上げ、悪戯心が顔を出した。食べたいというのなら、飼育員(間違い)として拒む理由はない。
油葱酥がこれでもかと盛られた麺を、テーブルに「ドンッ」と置く。そして、彼の手に箸を握らせた。
(召し上がれ、大きなネコちゃん。特級マタタビ料理だよ)
レオンに迷いはなかった。箸を掴み、麺と油葱酥を山盛りにして口の中へと放り込む。
カリッ。
紅葱頭のクリスピーな食感が歯の間で弾ける。百倍に濃縮された香りが、口内を埋め尽くした。
「ニャオォォォーーン!!!」
レオンは、その身分に全くそぐわない、甲高い猫の鳴き声を上げた。頭の上の丸い耳がピンと直立し、全身の毛が逆立っている。
「す、素晴らしい! この刺激!」
彼は狂ったように麺を啜りながら、しどろもどろに叫んだ。「サクサクだ! 香ばしい! 脳が、脳が溶けるぅ!」
ズズッ、カリッ、ズズズッ!
先代皇帝陛下は今や、マタタビの原木を抱えて転げ回る子猫同然。油葱酥がもたらす至福のトリップに、完全に没入していた。
私はその様子を眺めながら、心の中でメモを取る。
【メモ:紅葱頭(油葱酥)は、ネコ科の亜人に対して強力な幻覚・依存効果あり。使用には厳重な注意が必要】
三分後。器は空になった。
レオンは椅子にだらしなく座り込み、恍惚とした幸せそうなアホ面に、黄金の油葱酥を一粒口角につけていた。入ってきた時の殺気は霧散し、あるのは「吸い終わった後」の賢者モードだけ。
彼は顔を向け、まだ少しトロンとした瞳で私を見た。
「人間……、お主は恐ろしいな……」
ゲップをしながら、けれど畏敬の念を込めて彼は呟いた。
「猫族を支配する……、禁忌の魔法を会得しておるとは……」
彼はふらつきながら立ち上がり、ポケットから怪しく光る宝石——「キャッツアイ(猫目石)」を取り出してテーブルに置いた。
「これは口止め料だ……。それと、前払い分だ」
レオンは私に顔を寄せ、渇望の光を宿した瞳で声を潜めた。
「明日の晩も……、これを頼む。あの黄金の粉を、多めにな……」
そう言い残すと、彼はまるでヤバいブツを受け取った中毒者のように腹を抱え、千鳥足で暗い廊下の向こうへと消えていった。
私はテーブルの上の宝石と、空の器を交互に見た。
私、異世界で……何か妙な「餌付けプレイ」のサイドクエストでも開放しちゃった?
お腹はまだ空いている。私はため息をつき、再び鍋を温め直した。
ズズッ。……うん、やっぱり魂に響く味。
皇帝ですら抗えないのも、無理はないね。
日本語でライトノベルを書けるようになり、文法がおかしい、修正が必要だというコメントがあれば、学んでみてください。お願い^ ^
《人間のいないパラレルワールドを冒険》オリジナル中国語
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