そんな恋のカタチ
『から揚げかぁ!いいなぁ!
俺、大好きやわ』
智哉が笑いながら言った。
『早く智哉も大好きなお嫁さん、見つけなさい!』
愛は智哉の肩をパンパンと叩く。
『俺、結婚できるんかなぁ〜・・・』
智哉が無邪気な笑顔で言った。
この、愛しくてしかたない
無邪気な笑顔も
普段は鋭く冷たい目も
笑うと無くなる目も
キュッと上がる口角も
サラサラの黒髪も
綺麗な白い肌も
華奢なのに広い肩幅も
今日で最後。
『智哉、手、繋ごっか』
愛が手を差し出す。
『照れるやん』
智哉は笑いながら愛の手をギュっと握った。
愛も強く握り返した。
『智哉、今までの彼女と手を繋いで歩いた事ある?』
愛は笑いながら智哉に聞いた。
『・・・よ〜考えたら、無いな〜』
智哉は大きな声で笑う。
『そうやろうと思った!』
愛も笑う。
『やめろ、うっとおしい!言うて、振りほどいてたわ〜』
智哉が言う。
『あたしの手も、振り解く?』
愛が聞いた。
『・・・今日だけ特別』
智哉はそう言うと、もう一度強く愛の手を握り締めた。
ザザザザザーーーー・・・・
強い春の風が吹いた。
二人は揺れる木々を見上げる。
緑がキラキラ光っている。
『桜は・・・もう少し後・・・やな』
愛が上を見ながら小さな声で言う。
智哉は揺れる緑から、目線を愛に移す。
幸せそうな顔で、少し微笑みながら、揺れる緑を見つめる愛をみて
智哉は自然と優しい笑顔になる。
春の暖かい風が、智哉の黒髪を靡かせる。
そして、そんな愛しい愛をしばらく見つめ、智哉はしみじみと言った。
『アホみたいな顔、しやがって』
−−−そう言うと、智哉は又、無邪気な笑顔で笑った−−−
今回の勝負
好きになった時期 同じ
隙と気付いた時期 同じ
駆け引き 同等
愛した時間 同じ
別れを決めた人 二人
従って この勝負
【文句なしの 引き分け】
〜 E N D 〜




