-7-A-教育のライドホース
俺がーーー俺達が前世を思い出してふた月程経ち、俺とカフカはこの世界での成人、16歳になった。
あれからカフカと色々と話したが、ほぼ間違いなく、
俺達の前世は同一人物だったと言う結論に至った。
まぁ一卵性ならあり得るかもな、
昔からロボットみたいに同じ様な行動ばかりしていたし、腑に落ちる点も幾つかあった。
カフカの腹も大分大きくなり残りふた月もすれば双子も生まれてくるらしい、
普通の親ならこの時期は出産の不安やら名前決めやらで大慌てだろう。
だが俺はゲームをやっていたおかげか、これから起こる事や子供の名前も知っている。
だからある程度落ち着いていられるんだ...
「兄さん、それはスプーンじゃ無くてナイフ、そんな物でスープを掬っても何も食べれ無いわ」
「、、、!そ、そうだよな。いや~失敬失敬。あはははは」
あれから家族皆での食事が当たり前になった。
それでも普段は貴族らしく、食事中はあまり喋らないカフカからの指摘に自分の手に握られたナイフをスプーンへ変えた。
そう、落ち着いていられるのもある程度である。
前世の俺はかなりのチキン野郎だった様で、記憶が戻る前、クルトの時はここまで気が焦らずに済んだはずなんだが、、、
カフカは良く普通にしていられるよな、前と比べればやはり、俺と同じで前世の記憶の影響が出ている様子ではあるんだが...
「今からその調子でどうするの~?3児の父に成るのですから、もう少しシャキッとなさ~い?」
「はぁ...申し訳ございません。母上...」
「父さんはそれでもカッコいいよー!」
そうか、カッコいいか...
俺も息子が良い子に育って何よりだ、
「ありがとな、俺も成人しちしまったから、前よりあまり遊んでやれなくなる。今日はたくさん遊ぶぞ」
「うん!」
まぁ仕事と言っても王の影武者として王宮で寛いだりイベントに参加する位か、他の貴族と比べれば割と暇だ。
下手すりゃ暗殺されるが...
そうして朝餉を済ませ、父子2人出かける準備を始めた。
カフカと母上は近所の宮廷貴族んちでお茶会らしい、
爺やに門で騎士達に待機している様伝えさせ、俺たちは馬小屋へ向かった。
馬小屋の正面へ着くと一頭の馬を連れた使用人が頭を下げてきた。
「おはようございます、ザムザ様。今日乗る馬はこの魔馬でよろしかったでしょうか?小屋にいる中でも温厚で、比較的経験を積んだ馬を連れて参りました」
「ふむ...」
、、、一通り見てみるが確かに温厚で知恵のついた眼をしていた。 足腰も丈夫そうだ、
「ああ、コイツで問題ない。今日は落馬さえしなければ良いからな」
「有難うございます!では早速、鞍を着けますので少々お待ちください」
「わかった、小屋の方を見て来る。終わったら呼んでくれ」
「畏まりました」
「さ、行くぞクルト」
「うん、でも僕お馬さんにクラつけるとこも見たい!」
「む、そうか。じゃあ見てような」
ーーーそうして暫く、魔馬具の装着を見守ると、
「アハハハ、父さんもこの前こんな風にメイドさんにお紐付けてたね~」
「「ブッ!??」」
息子の発言に俺と使用人は唾を飛ばした、
馬の方も心なしか驚いた表情な気がするぞ...
「、、、んん、、そんな事あったか?夢でも見たんじゃないのか~?フハハハ!」
こないだ4歳になったばかりの癖して覚えが良いな、
とりあえずなかった事にして笑っておく、
それにしてもいつの事を言ってるんだ?ここ2ヶ月ほどはそんな事していなかったんだが、、、
何処から噂が広まったのか、メイド達からは強張った視線を感じる事がある...
だが子が出来ぬように殺していたのは奴隷として手に入れた者だけで使用人達にはせいぜい子が出来ぬ様にして他国へ行ってもらっていただけなんだが、
、ふむ、、、充分酷い...
「はぁ...」
もう少し早く記憶が戻ればなぁ....この頃よく思う事を頭の中で連呼する。
この間俺が風呂に入る時など一部の噂を知るメイド達が「私達は性病を患っているのでお相手出来ません!」、みたいな事を言って赤黒く腫れた患部を見せつけてきた事があった、
俺とやりたく無いが為に病気までもらってくるこたぁ無いだろ...
直ぐにその気が無い事を伝えて治癒魔術で治させたが、金の無い貴族家でそんな事すれば治されもせずにクビになるぞ...
実際、俺の記憶が戻って居なければ似たような事になっていただろう。
「父さん、どうしたの?」
過去の悪行による悪評に頭を悩ませていると息子が心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
「いや、なんでも無い。それよりどうだ?見てて楽しいのか?コレ」
ため息が多くなってきた気がするなぁ。そう思いながらクルトに問う、
「うん!お馬さんがうごか無い様に声かけながらバグを付けてくんだよね?仲良く無いと出来っこ無いよ!僕もお馬さんと仲良くなりたいなぁ」
そう言ってはにかむ我が息子、
、、、我が子ながらよく出来た子供だ、本当に俺の子なのか疑いたくなるね...
外見は俺と瓜二つだが母親が双子だしな、まぁ記憶が戻る以前のカフカのヤンデレ具合的にあり得んか、
またため息が出かけるがグッと押さえ込んで無理やり口角を上げる。
「そうか、もう少し大きくなったらお前用の馬を仕立ててやるよ。しっかり乗れる様に今のうちに練習だな?」
「えー!!ホントォ?ありがとう父さん!僕がんばるよ!」
「ああ、その粋だ。よし、装着も終わったな。どうするクルト、馬小屋もみてくか?」
「帰ったら見るよ!早くお馬さん乗りたい!」
「ハハハハハ、分かった。じゃあ父さんが乗るとこを見てなさい。今のお前じゃ脚が届か無いが知っといて損は無いからな」
そう言って俺は魔馬の背に手をかけると跳び箱の要領でグッと上に力を込めて跨った。
「どうぞ」
「あぁ、助かる」
使用人から手綱を受け取り2、3歩歩かせる...
一応、下を向いて馬の様子を見てみた、かなり体格の良い方の俺が乗ってもビクリとも重心がブレてい無い、良い魔馬だ。
変身しても体重が増えることは有るが、減ることはないからな、
「よし、、、、使用人、名は何だったか?」
「ホースで御座います。当主様」
「ではホース、クルトを抱えてこっちに乗せてやってくれ。俺が受け取ろう」
「畏まりました、では坊っちゃま。失礼いたしますね」
「うん、ありがと~」
クルトが両腕を上げるとホースに抱えられ、俺が受け取ると自分の脚の間に抱え下ろした。
「うわぁ~、高ーい!」
「お、怖く無いのか、、、余り動くと落っこちるぞ?そこにあるハンドルをしっかり握ってるんだ」
「はーい」
クルトに鞍へ取り付けられたハンドルを握らせ、俺は後ろへ振り返る。
「助かった、礼を言うぞ。昼頃になったら戻る、魔馬の餌を用意しといてくれ」
「畏まりました、お気をつけて」
フンフンと鼻唄を歌いながら頭を揺らす息子を眺めながら、俺は屋敷の門へと馬足を進めた。
門へたどり着くと2頭の魔馬と、2人の騎士が深く礼をして待っていた。
「「おはようございます、当主様!」」
「あぁ。待たせたな、門を開けてくれ」
そうして俺たちは屋敷を出た...




