-5-A-恐怖のディナータイム
ーーカフカから色々と予想外な話を聞かされて数秒後。
間が良いのか悪いのか、爺やが夕食の支度ができた事を伝えに来た。
俺達は爺やに促されるまま、食堂室の食卓へ座らせられる。
息子...クルトの方は少し時間が掛かって居るらしい。
普段の俺達なら御構い無しに食事を始めていたのだが、
母の、「あの人も居なくて寂しいわ、久しぶりに家族一緒に食事をしましょう」そんな発言で俺たちは母と共にクルトを待つ事になった...
今は待っている間、母とのお喋りに花を咲かせていた。
「ザムザはもう聞いたかしら?カフカちゃんのお腹には双子ちゃんが入ってるのよー」
「ええ、聞きましたよ。さきほど触ってみましたが本当に硬・・・本当に2人も入ってる何てまだ信じられませんよ~。ハハハハ」
「ザムザ様ったら、私の腹筋ばかり気になさるんですよ。そんなに気になるんだったら私のお腹じゃなく自分のを触ってればいいのに、この子達はどうでもいいんですかねー?」
「あららー、そうなのザムザ?あの人、バルデス様は私の妊娠中は貴方達の事ばかり気にしてたのですよ?」
「え?うぁ」
ど、どう答えろと言うのだろうか、父上が居ればこんな時何かとフォローしてくれていたんだが、、
カフカの奴、腹をノックした何て言わないよな?俺殺されるぞ、、、
早く来い!息子よ、2体1では分が悪い!
壁際を盗み見れば使用人達は我関せず、そんな雰囲気で目を閉じてつったっている...
こ、ここは、
「は、母上も触ってみれば解りますよ!人の鍛え上げた筋肉を触るのも中々感慨深いものです!久しぶりに母娘水入らずで湯浴みでもされてはどうですか?中々見応えがありますよ」
「に、兄さん!!、、、ザムザ様。あの、恥ずかしいですので、そう言うお話はお辞めになって下さい」
「ふふふ、それは良いわね~。カフカちゃん、今日は一緒にお風呂に入りましょうか?」
「い、いえ!今日は疲れてしまいましたしこのまま寝たいなぁ。なんて、、、」
よし!上手くはぐらかせたか。ふっ、カフカも余計な事を言わねば良いものを、、
「丁度良いじゃないか!、今日は俺もクルトと男同士、ゆっくり風呂に入ろうと思っていた所だったんだ」
「チッ・・・」
何やらこちらを睨んで来るが知らんな。
と言うかどうしてそこまで母上と風呂に入るのを嫌がるのか理解できないぞ。
「えっと、、そ、そう!!久しぶりにザムザ様と一緒に入りますので!いやぁ~、お母様には申し訳ありませんが、流石にお見苦しいと思いますし!あ、あはははは...」
「お、おい!?」
何ヤブヘビ突ついてんだ!
別に一緒に風呂くらいなんだってんだ、使用人には背中流させたりしてんだろ...
「あらあら~?、何だか今日は2人共いつもとは様子が違うと思っていたのだけど、そうでもないのかしら~?フフフ」
「あ、あはははは、私はいつでもザムザ様を愛おしく思っておりますわ!ですから...」
「でもダメね、貴女のお腹には大事な子供がいるんだから」
「そ、そんな、、、」
ーーーふぅ、よく考えたら母上は齢40近くにしてドを超すウルトラ孫馬鹿お婆ちゃんだ。その様なこと許すはず無いか、
「そ、そうだぞ!俺も心配でそんな真似出来ないからな!はははは」
まぁお誘いいただければやぶさかではないがな!
前世が自分というのがなんか引っかかるが、、、
てか俺たち兄弟だよな?、、、あれ?俺って頭おかしいんじゃ、、
「妊婦の腹を小突いといてよく言えるわね!、、、あ...」
「あ」
ゆっくりと母の方へ顔を向ける。
いつも通り、女神様の様な慈愛に満ちた笑みを浮かべてこちらを見ていた。
そしてその目が徐々に、ほんの少しずつ開かれていく...
「は、母上?」
「な、、、ななぬ」
「お、お母様...」
「ぬぅうわんですってぇ!!!!」
「「ひぃぃぃ!」」
言いやがった!せっかく勇者に殺されないために動き出したというのに...俺はここで死ぬのか、、
「おまたせー」
絶体絶命、正に我が命ここまでという時。
俺そっくりの少年が爺やに連れられ食堂へ入ってきた。
「まぁ~!クル!待ってたのよぉ~。ーーそれじゃ夕食を運んで来てもらえるかしら」
そう言って使用人達に声をかける母上、助かった...気付かれないようため息をもらしながら俺は息子に感謝の祈りを捧げた。
「ザムザ、話があるわ。食事が終わったら私の部屋へいらっしゃい」
「は、はい」
ですよね...
「?、母さん、父さんとお婆ちゃん、何かあったの?」
「ザムザ様は色々とやっちゃいけない事しちゃったのよ~。クルトも早く座りなさい」
「はぁ~い」
畜生...カフカの奴、すでに他人事って感じである。
記憶さえ戻っていなければ俺の味方だったのに、
次々と運ばれてくる食事を見つめながら俺は肩を下げた。
「クルト、俺が寝ている間看病してくれたんだって?」
「えへへ、僕頑張ったんだ~」
クルトは照れ臭そうに尻尾でブロンドの髪を掻いて笑った。
この息子が後に主人公のライバルになるのか、
ゲームでは初期、ちょっとした悪役で主人公に絡んでいたりしていたが負かされて改心して行くうちに徐々にライバル枠になっていったんだったか...
俺以外のゲーム登場人物とは初めて会うが改めて、あまりゲームの時のような性格ではない、
カフカが死んでから荒れてヒロインにキツく当たっていた様だしちゃんと教育していけば性格が歪む事もないだろう。
「そうか、ありがとな」
「ほぁ?・・・」
俺が例を言うと頭を掻く尻尾を止めて金色の瞳を輝かせ始める息子、
またこれか、、、爺やもそうだったが例くらいでそこまで嬉しがられても反応に困るぞ。
「パパは今度3人の父親になるから気合が入ってるのよ~。クルちゃんも2人のお兄ちゃんになるかもしれないんだから、しっかりお勉強してね?」
「え?2人?それって、、、」
驚いた様子でカフカの方を見るクルト、
「ふふ、母さんはねぇ。今度は双子を産むのよー。だからクルトは2人のお兄ちゃんなの」
「えぇぇぇ!2人も!?」
そう叫ぶと先ほどの座ったばかりの椅子から飛び降りてカフカの方へ走っていく。
「うわぁ、かったーい!」
俺と同じ様な感想を述べてカフカの腹を触り出した。
「...でしょー?でも今は中身を気にしましょうねー。ふふふ」
「えー、でもすっごく固いんだよ?ホント凄いや!ホラこうやっ...」
「っと、叩かない様にねー?」
言ってクルトの行動を読んでいたのだろう。カフカはクルトの両腕を掴むとギリギリと締め上げた。
「いたいイタイ痛い!!ごめんなさい、ごめんなさいー!母さーん!」
「ふふ、もうやらないようにね。固い腹筋がいいならお父さんのを触りなさーい。こっちはあなたの兄妹よ」
「イタタタ、は、はい」
締め上げていた腕を話すとカフカはクルトの頭を撫でながら諭していた。
「そう、こんな感じでザムザもやったのねー」
一連の様子を見ていた母上がこちらを向いてニコニコを微笑んで来る...
「え、えっと、小さいんだし仕方ないでしょう、ほら、クルト、、座って食べようか」
「う、うん、、、」
そう言うとクルトは無理な方向に曲げられた肩を押さえながらヨロヨロを椅子に座った。
「ふふ、じゃあ冷めないうちにいただきましょうか」
そうして一家団欒な晩餐が始まった...




