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op14:新たな旅立ち

 あれから2週間たった。

 ガイア教団からの告発を受けて、リューム王国、国王カーライルが、バルディア公の捕縛を命じたのが、事件からわずか二日後のことだった。

 これだけすばやく行動に移せたのは、フランツ、エリア両証人と5人の逮捕者(運良く命には別状無かった)があったことが大きい。

 バルディア公は貴族ゆえ死刑にはできないが、恐らく死を賜ることになるだろう。どんなに軽くても財産没収のうえ国外追放か。




「リア姉さん、荷造りは終わった?」

 ルノアが部屋の外からリアに声をかける。そしてドアを開けると荷物を詰め込もうとカバンと格闘しているリアがいた。なんだか知らないが、ルノアのみたことの無い武器とかがベッドの上に並べてある。旅の行商人から買い込んだらしい。

「姉さん、確か教団に戻ったら宣教師として旅立つと言わなかった?」

 ルノアとリアは、今回の功績のおかげで神官任命後の進路希望を優先する。という決定を受けた。ルノアは従軍神官としてリューム王国に派遣が決まり、リアも宣教師として旅立つことが決まっている。ガイア教団の総本山でもある教皇庁からの誘いも、再三あったのだが結局は断った。

「そうだけど……」

「それならコレクションは、院長に預けたらどう? いくらなんでもコレクションを持って旅には出られないわよ」

「うう、そうだわ」

 リアは武器を抱えて部屋を出て行った。院長の所だろう。ルノアは残った荷物をカバンに詰め込む。そこにカインとミシェイルが入ってきた。この2人、あの日以来、仲がいいというか恋人同士のようだ。

「ルノア姉さん、もう行くの?」

 ミシェイルが悲しそうな顔をしている。

「なんて顔しているのよ。私は同じ国にいるから、休暇のたびに遊びにくるわよ。カインとは顔を合わすことが多くなるわね」

「そうだね。僕も明日には城に戻るよ。ミシェイルも連れて行きたいのだけど、本人が嫌だというから文通からだ」

 ここ2日ほどカインがミシェイルを城にこないかと誘っていたのは知っていた。カインの真意はわからないが、ミシェイルは孤児院に残ることを選んだ。だがカインはまだ諦めてはいないようだ。

 ルノアは、カインに耳打ちする。

「カイン。ミシェイル泣かすようなことしたら許さないから。もし泣かしたら叱り飛ばしにくるわよ」

「努力するよ。ルノアはともかくリアだと命に関わる」

 ルノアとカインは顔を見合わせて笑う。ミシェイルにも聞こえたらしく顔を赤くしている。




 院長やミシェイル、それにカインや孤児院の子供達に見送られて、リューム王国が用意した馬車に乗り込んだ。次にここに来ることが出来るのも早くて半年後だ。下手をすれば、一年は帰ってこれない。そんなことを考えているうちに馬車が動き出した。孤児院がどんどん小さくなっていく。

「ねえ、リア姉さん。私たち8年も一緒に居たんだよね」

「なによ、いきなり?」

 リアは目を閉じたまま答えた。

「私達は一人じゃない。あなたには私が、私にはあなたがいる。忘れないで……… 覚えている?」

 ルノアは、8年前のリアのセリフを言う。

「私、そんな恥ずかしい事を言ったかしら」

「うん、言った。でも両親を殺されて、死ぬことばかり考えていた私には、それが救いだった」

 リアがルノアを後ろから抱きしめる。

「ルノア…… 私も、あなたのおかげでずいぶん救われたわ。恥ずかしいついでにいいかな?」

 リアが微笑む。

「どんなに離れた場所にいても、私はあなたの幸せを祈っている。本当よ。私の可愛い妹だもの」

 この後、違う道を歩み始めた2人が再会するまでに5年の月日が必要となる。

 それは、別の風が運ぶ物語。


財産募集ってなんじゃそりゃ!(笑

ちゃんと財産没収に直しました。


誤字脱字の指摘は喜んでお受けします。もちろん批評も酷評も喜んで受ける所存。


無事、大円満を迎えました外伝1です。


私の場合、長編を書くとメインキャラの過去まで設定しますので、本編より前のエピソードが作りやすいです。

元々、本編であり連載中の『聖魔戦記 前奏曲』自体、学生時代に書いた『聖魔戦記 恋歌』という話のスピンオフですし。

恋歌本編より、設定集のボリュームが2倍以上あるという異常事態(笑

つまり前奏曲はスター・ウォーズ エピソード123のあつかいですね(笑


ここまで読んでいた方に感謝を。『ありがとうございました』

本編まで読んでいただいた方には更なる感謝を。

といっても、3部までしか更新してませんが(笑


そして評価感想をくださいました方(今からくれる方)には深い感謝を申し上げてシメさせていただきます。

愚作にお付き合いいただきありがとうございました。


2007.11.18 15:27

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