双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。
双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。
神子とは、時折世界に現れる神に愛された者のことを指す。
そのものは神に愛され、世界に祝福されている。神子の住まう土地は、栄えることが約束されている。
神子の住まう土地を、神はすたれることを許さない。
神子は、特別な力を持っているともされている。
神子に祝福をされれば、幸福が与えられる。
神子は、神に愛された子である。故に、人々はその存在を求めた。
私、レルンダ。七歳。今、一人で森の中にいるの。
私には先ほどまでかろうじて家族と呼べる存在が居たけれど、先ほど見事に捨てられた。
なんでかっていえば、姉が神に愛された子——神子とされ、両親と共に引き取られることが決まったから。元々私は双子の姉妹の妹として生を受けた。
でも私と姉は全然似ていなかった。姉は両親から本当に生まれたのかって疑うぐらいに凄く綺麗だった。顔のつくりからして違って、見るからに特別な人間であるって感を出してた姉だった。田舎の村で、姉はもてはやされた。美しいからと貢がれた。まだ子供なのに。そして姉のおかげでうちの家は村人にしては裕福だった。でも私は姉ほど美しくないから、凄く差別された。ごはんもあんまくれないから一人で村の外に出て食べてた。不思議と魔物に襲われることがなく、いつもたまたま食事をとれてた。
外の世界なんて知らないし、どうやって生きていけばいいかもわからないし、たまたま生きてはいるけど外は怖いし、そう思って、村を飛び出す勇気はなかった。
姉はお姫様で、私は召使以下みたいなそんな感じだった。
早く死んでほしいといわれてたし、ちゃんと食べてたし死ななかったけど。村人たちも私が姉の妹であることが相応しくないって凄い言って、物投げられたし。でも運よく、いつもそれ当たらなくて。それが余計に他の人にとって不気味だって言われてたけど。
お母さんが私に手を挙げようとしたときにたまたま、お母さんが躓いたりとか。
お父さんが私をけろうとしたときに、たまたま足元を蛇が通ってお父さんが飛び退いてお父さんが怪我したりとか。そういうことが続いて暴力はふられなかった。私とかかわると不幸になるって疫病神って言われてた。
でも、あの日——―この家に神子様がおられるはずだと、神官様たちがやってきて、姉が神子だとされた日、私は思ったのだ。私が、神子じゃないかと。
だってそれなら村の外に出た時に、私が魔物に襲われなかったのが納得が出来る。私に何かしようとした時に皆が不自然に手を挙げられないのも。
……だけど、あくまでそれは思っただけで、そうであるかは分からなかった。
でも今、両親に「あんたはいらない」といわれ、村からも追い出された今、森を進みながらやっぱり私は神子な気がすると思ってならない。
だって都合よく食べ物が見つかる。一度も襲われることもない。それどころか、足が痛くなる前に親切な馬さんが私を乗せてくれたぐらいだ。村にいた馬より大きい気がする。馬さん、魔物の一種だと思う。だって空気を蹴ってたし。でも馬さん、とっても優しい。
今後について、馬さんの上で考える。私はこれからどうしたいかを。
神子、なのだと思う。家におしかけてきた神官さんはこの家の子供が、としか言わなかった。両親は姉だけを神官の前に差し出して、もう一人娘がいることも言わなかったけどさ。自分が神子だっていう気もない。ただ、神子だなんて証明する手段もないし、神子だっていう気もない。
馬さんがどこに向かっているかも正直わからない。地図も見たことないから、真っ直ぐいって何があるかもわからない。
でも私が本当に神子ならば、この先にどんな危険な場所があっても私にとっては危険ではないと思う。そういうわけでのんびり構えていてたどり着いたのが、グリフォンの巣なのには驚いたけど、グリフォンは私にとてもよくしてくれた。食べ物を分け与えてくれたり、ふかふかの背中に乗せてくれたり、色々だ。
この先どうなるか分からないけど、私はなんとか生きてはいくだろうとわかったのでのんびり生きることにした。
「……目標……見つける」
とりあえず、目標を見つけることが目標というよくわかんないことになっているけど、まぁいいやと私はグリフォンの巣の中で子グリフォンたちと一緒に眠りにつくのだった。
―――双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。
(神子の周りは今日も平和です)
私
神子(本人もおそらくそうだろうとは思っている)
差別されて育ってたけど、運よく食べ物が見つかり、運よく襲われず、運よく——というのが度々続いていた子。捨てられて今後はどうするか決めていない。
目標を見つけるのが目標。家族や村がアレだったため、無表情。喋るのは苦手。神子なら外に出ても死なないだろうと、捨てられてこれ幸いとばかりに外に飛び出している。
双子の姉
おそらく先祖がえりで整った見た目でうまれた。ちやほやされ続けていたので、それが当然と思っている。妹のことは見下している。
神子として迎え入れられることになり、「私だから当然!」とか思ってそうな美少女。
両親
双子の姉の方ばかり可愛がっていた。妹の方に手を挙げようとしても上げられず逆に怪我をしたりしたため、主人公を疫病神とか言っちゃってた人たち。
なんとなく思いついて書いてみました。