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クライセルと決闘 前編

久しぶりに投稿できました!親に見つからないよう書いていたので、精神力が・・・・・・・。


お楽しみください。

「「はあ・・・・・・・」」


 俺とルアのため息が重なる。遂に決闘当日。トルナロとアサンは意気込んでおり、キクはオロオロし、ロイクは「面白い貴族にやっと会えるのか~、どんなアホ面かな?」とか言ってた。なんだその余裕は。


訓練はロイクの”幻影”という夢属性の魔法を使用して人の幻をだして訓練していたので、対人戦は大丈夫なはず・・・・・・・うん、あいつ、隠れドSで、そのSの本気訓練だから確実に大丈夫だろう。

訓練はスパルタを超えて地獄級だった。アイツ絶対ギルトランクAだろう。そうじゃないとあの魔力量はありえん。


「どうしたメリアちゃんとソウラ!そんな暗い顔してると勝てるもんも勝てないぞ!」

「そうだよ、二人とも。きっと勝てるって」


 トルナロとアサンが意気込みをこっちに向ける。この二人似てるな。二人とも赤毛だし、能天気というか、なんかどっかボケてるというか、抜けてるんだよな・・・・・・・。

そして地味にアサンが名前の発音がうまくなっている。なぜに。


「それ、とっつげーき!」

「うわわわわ!?」


 ロイクがキクを押してこっちへやってきた。おい、それなりに速度でてるぞ。


「えいや!」

「わっ!?」

「ぐえっ!?」


 ロイクがキクを強く押して、アサンの腹へロケットアタック。哀れアサン。

隣でメリアが「なにやってるのよ・・・・・・」とか言ってる。


「おい、お前ら。その辺にしとけよ?戦う前にスタミナゼロとか洒落にならんからな」

「わかったよ、お兄さん」

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

「いいって、わかったから泣かないでくれ!」


 キクが涙目で謝ってる。それを見てトルナロが「あー、」って声を出してから宥めにいく。


「・・・・・・・なんか、不安になってきたよ、ソーラ」

「ん、これは酷いぞ、さすがに・・・・・・」


緊張感が皆無だ。不安・・・・・・。



◇◇◇



「遅い!さっさとせんか!あ、ルア嬢はあちらへ。観戦席です」


 ・・・・・・なんか、ズキズキするな。時間前じゃないか。まだ時間あるし。そしてすぐ表情、感情がコロッと変えることができるのなら、そのまま黙っててほしい。


「さあ、早くしろ!逃げる時間や命乞いは聞かんぞ!」

「・・・・・・・」


 ぶっ、という音が後ろから聞こえてきた。おそらくロイク。その他は絶句。特にキクの顔は面白い。ポカーンという擬音が聞こえてきそうだ。前に一回会った事があるはずなんだが。


 そうこうしていると、奥から兵士っぽいのが四人出てきた。一人はローブを羽織っているので魔術か魔法を使うんだろう。


「それでは、今よりルア・ヘルクス伯爵子をめぐる決闘を開始致します。双方、並んでください」


 そう言ったのは、いつもクライセルの傍に居た執事。あ、自然な動作で胃薬を渡してくれた。ありがとうございます。てか、まだ時間あるのに何故始めようとしているんだ?

というか、こいつに仕えてる人って全員胃薬持ってないか?これは酷い。


「ルールは、特にございませんね。全滅したらそちらは負けです。よろしいですか?」


 クライセルとロイクが肯く。ちなみにリーダーはロイク。間違っても俺ではない。


「では、正々堂々と、威厳ある戦いを」


 この言葉は決闘前に必ず言う必要があるらしい。戦いの神に捧げる言葉なのだとか。


「決闘、開始!」



◇◇◇



「歩兵は前へ!魔法使いは相手が仕掛けてきたら中級魔法を!」


 相手が動いた。


「じゃ、こっちは変わらず、予定どうりによろしく~」


 そう命令したのはロイク。こっちの軍師ポジションは、適格に命令できるロイクにしてある。大体何があっても冷静に居られるのはこいつだけなのだ。


 俺たちが決めたポジションは、近接攻撃が専門のアサン、トルナロの赤毛剣士が前衛。遠近攻撃両方ができる俺が中衛。戦場を見渡せる所にいるロイク、魔銃での援護攻撃兼ロイクの護衛であるキクが後衛。というものだ。パッと見で決めたようなモノなんだが、これが一番連携しやすい。それぞれ専門だからな。

 相手のポジションは、軽装備の剣士が二人、重装備の・・・・・鉈?なんかでかい刃物を持った人、約三人が前衛。長槍を持ったクライセルが中衛。あとは魔法使いが後衛か。さっきクライセルが「魔法を~」って言っていたので魔法使いで間違いないだろう。賢者ではないはずだ。


「せいや!」

「ハッ、弱いぜ!」


 赤髪の剣士達はそれぞれ一人ずつ相手をしている。

そして、あの重装備の鉈っぽいのを持ってる人は俺の方向へ向かっている。クライセルは、うん。やっぱり俺のところ来るよね。


 突然、あの鉈みたいな武器の人が何かを投げた。手元も動作も見えなかった。


「よっ!っと。・・・・・・やっぱうまくいかねえよな」


 すこし間が空いて、パキィンという金属が弾かれた音がした。少し光ってから折れたナイフが落ちてきた。あの人が投げたナイフをキクが打ち落としたのだろう。

 キクは真顔で、汗を流している。鉈の人はやっぱりか、という余裕の表情だ。要注意人物発見。


「どこを見ているクズが!」


 ・・・・・・・・・。

どうしよう、この人。なんか人をクズって言ってるんだけど。

そりゃ、目の前に敵がいて、別の方向を見てたらバトルジャンキーとか、誇りある人は怒るだろう。それについては謝るが、クズっていうのはどうなんだろうか・・・・・・・。


 そう考えているうちにもクライセルは槍を突いてきている。俺は適当に避けながら距離をとり、矢を放つ。あまり後ろに行けないな。ロイク達を後衛にした意味がなくなる。

クライセルもそれなりに腕はあるみたいだし、これはプランCかDの予感かな・・・・・・・。



◇◇◇



「うおっ、あの人やばいな。ランクA辺りあるんじゃないか?」

「手元見えなかったね・・・・・・。どうする?プランC発動する?」

「今の人が相手になるなら、うん、その判断は正しいだろう」


 アサンとトルナロは、相手の剣を捌きながら後ろを見て判断する。


「じゃ、任せたぞ。あっちはがんばれ」

「それじゃ、ここは任せたね」


 そういって、トルナロは後衛の方へと走っていった。

あの鉈鎧は絶対に危ないだろう。できれば俺が戦いたいが、トルナロ一人でこの剣士を同時に相手するのは難しいだろう。相手はCランク辺り。実力的に同ランクのトルナロでは厳しい戦いとなる。


「お前ら、知ってるか?CとBには結構力の差ができるんだぜ?A程ではないけどな」


 一応、挑発はしておく。そんな事は相手も知っているであろう。Bランクがそこまで多くない理由は、CとBの間に大きな差ができるからだ。ついでに言うと、BランクVSCランクをするとなると、最低Cは四人欲しいくらいだ。

 だが、相手は引かないだろう。過去にはBをDが倒した記録があるから。そして、その勝因は連携だったから。連携さえうまくいけば勝てる、とでも思っている目だ。だが、残念ながらそれは間違いだ。

 この二人の間に強い繋がりを見出せない。金で雇われてまだそんなに経っていないっぽい。そんな奴らが強敵を倒せるような連携ができるだろうか?答えは否だ。


 それに、たとえ連携がうまくいって、Bランクを倒せるようなことになったとしよう。それでも、俺には勝てない。なぜなら、俺がこの世界に転生した時に補整された剣術の中に、異世界人特有の能力があるのだから。

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