夢属性魔道士の『楽しい!鬼の退治方法!』
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それではどうぞ。
「オオオオオオォォォォォォオォォォォォッ!!」
「「わああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
ちょっと待て。何であの金髪こんなことしたんだ?余計にキツイ!
おかしい、アイツはおかしい!!
◇◇◇
~十分前~
「あーあー、やっぱこっちも当たりだねぇ」
「いや、何でそんなのんきにして居れるの!?巨人だよ!?鬼だよ!?」
「アレはたしか・・・・オーガ?だっだような・・・・」
なんだ?焦ってるのは俺だけ?マジで?
あの後、咆哮が聞こえてきた方角に引きずられていくと鬼が居た。いやほんとマジで。
二メートルは超えている体に、引き締まってさらに盛り上がっている筋肉。髪は長く垂れ下がり、その髪からは額の角が見え隠れしている。皮膚は赤く、腰に革だけを巻いている格好。
まさに鬼。誰か桃太郎を呼んでくれ。俺たちじゃ絶対に勝てん。
「おお!?アレはオーガか!」
桃太郎ではないが剣を抜いた濃い赤髪のイケメンの剣士君が来た。剣は使い込まれているらしく、鞘もところどころに傷がある。
というか、アレはオーガというらしい。たしかなんかの神話の化け物だった気がする。
しかし、俺の知ってるオーガとは異なる。イメージしてるのは筋肉がもっと盛り上がっていて、顔がでかく、目が血走っている奴。
しかし目の前のオーガは人に近い体をしていて、よく漫画などで見られる奴だった。
そして、俺たちはもうターゲットにされているらしい。こちらを見てジッとしているが、明らかに拳を握り締めている。
「いやぁ、ただのオーガじゃなくて、ヒューマオーガなんだよね」
ヒューマオーガ。人に近い外見をしていて、一見オーガより弱く見えるが、魔力が上がっている上に、筋肉がかなり凝縮されていてパワーも桁違い。悪魔の生まれ変わりとも呼ばれているそうな。
その拳の一撃を食らうと重症は免れないらしい。
「っていうか何で俺を連れてきたの!?そこの金髪!」
「えぇ?いや、僕とそこの剣士クンだけじゃ無理だと思うし、お兄さん連れて行ったほうがいいって占いに出てたからね」
「占い?」
占いという言葉が出てくると、ルアが反応した。
曰く、占いは夢属性の魔法なんだそうだ。そして求めている物のヒント、ある程度の未来などが見れるらしい。
「って今は占いに反応してる場合じゃないって!あんな恐ろしい奴にターゲットにされてるんだぞ!?」
「というか、なんでソーラはそんな慌ててるの?普段は静かなのに」
「単にあの魔物の恐ろしさと森という吉凶の場が絡んでることに危機感をもってるんだよ!」
「そ、そう」と言ってルアは引き下がった。そしてさっきの金髪はいい方法を思いついた!と言って
その作戦を伝えてきた。
俺とイケメン剣士であのヒューマオーガの注意をひきつける。
その間にあの金髪がルアに『集中』という夢属性の強化魔法を施して、ルアが使える限り最大の魔法を全力で放つ、というよくあるやつだった。
「というかなんでルアが魔法を使えるってわかったんだ?」
「それは単に僕が彼女より上だって事」
「ん?どういうこと?」
「魔法や魔術同士で戦うことがあるんだけど、その時に相手の魔力や使える魔法を知っておくと便利になるでしょ?相手の力を探ったりするのを探知魔術って言うんだけど、その探知に引っかからないようにする技術もある訳でして」
つまり、探る側と隠す側はどちらが魔術魔法の扱いに長けているかだけ。単純に技術の差である。
「で、どうしろと?」
「さっきも言ったように、キミと剣士君でひきつけておいてほしいんだ」
「で、発動したら脱出?」
俺の言葉を聞くと、金髪は魔法陣の彫られた手袋を着け、こう言った。
「そう。察しが良くて助かるよ。
・・・・『我は願う。かの者に強き精神と思いの力を。』”集中”」
おそらく、今のでルアに集中をかけたのだろう。
「・・・で、とりあえずひきつけることには成功した。こっからは?」
イケメン剣士が聞いてくるので、俺は簡単に
「離れすぎないよう逃げる!」
と言ってすぐ走り回った・・・・が、ヒューマオーガの攻撃、腕がかすった。
それでも全力で逃げる。そうじゃないと・・・死ぬ!
逃げまくって、まだか!と思いルアの方向に向くといきなりあの金髪に声をかけられた。
結構距離があるため、少ししか聞こえなかったが。
「お兄さーん!ヒューマオーガに『集中』かけておいたからー。がんばってぇー」
「「・・・・え?」」
え?ちょっと今ありえないこと聞いた気がするんだが。ヒューマオーガに『集中』?
先ほど聞いた話では、『集中』には欠点があると聞いた。その欠点は『集中』の掛かった対象は、掛かった時点でより集中していることにしか反応しなくなるらしい。
しかしその代わり・・・・
ドゴォ!!
「ほお!?」「んお!?」
ヒューマオーガの俺たちを狙った攻撃が外れて、その風圧で地面に軽いクレーターができた。
『集中』の効果は、一番集中していることに関して力を上げること。
目の前のヒューマオーガが一番集中していることは、おそらく戦闘か目の前の敵を殺すことだろう。
その代わり集中していること以外には反応できなくなると。
つまり、囮をするとき相手に一番良く効くということだ。そして囮役もかなり危険になり、ハードから鬼畜となった。
そして、冒頭に戻る。
「オオオオオオォォォォォォオォォォォォッ!!」
「「わああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
逃げる、全力で!
あんなの食らったら重症どころか即死だ!
あの金髪、なんて事をしてくれたんだ!!
「おああああぁぁぁぁ!?」
イケメン剣士が軽い風圧でかなり前へと吹っ飛んでいった。ダメージは薄いようで、すぐ立ち上がって
こちらを見てから、迷うようにたじたじしている。たぶん、俺を助けるかどうかで迷っているんだろう。
だが、迷うな。答えは一つしかない。
「巻き込むから迷わなくていいぞ!!」
「えぇ!?」
巻き込む。それしかない。
大体囮は俺だけじゃないんだ。お前もだ。囮は巻き込む。当たり前だろ?
・・・・あれ?なんか、こんなんだったっけ?俺。だいぶ師匠が移ったみたいだ。考え方が同じになりかけてる。
「うわわわわ!?やっぱだめだ!こっちくんな!」
「断る!囮一人じゃ無理だって!」
「オオオオオオオォォォォォォォォォオオォォォォォ!!」
「「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
こんな馬鹿なことやってる場合じゃない!俺たちは全力で逃げ出した。
「『我は願う。汝、氷河の牢獄に囚われろ!』”氷獄”!」
それが聞こえた後、後ろから感じていた息が詰まるような感じが無くなった。
後ろを見ると地面から氷が生えていて、その中にヒューマオーガが凍っていた。
「「はぁ~~~~っ」」
俺とあの剣士は息を吐いて、とある奴を睨みつけた。もちろんその奴というのは、言うまでも無くあの金髪である。
「金髪・・・・何してくれたんだ・・・・・」
「死・・・死にかけた。なんてことしてくれるんだ君!」
そんな俺たちに対してあの金髪は
「ん~?あぁ、ごめんごめん。さすがにヒューマオーガだと危険だからね。二人を囮として使うには一番いい方法だったからね。魔術を使ってこなかったからいいんじゃない?それより、ルアちゃんだっけ?大丈夫?魔力に余裕無いでしょ。おぶって行こうか?」
俺たちなんぞ無視らしい。
「ごめん・・・・。一気に魔力使いすぎて力入らないや。お言葉に甘えるよ」
「まあしょうがないね。『氷獄』は水上級属性(氷属性のこと)の中級だからね。よいしょっ・・・と。おや?割と軽いねぇ」
そ、そう?とルアは照れてるが、俺たちはちょっと、いやすごい文句が言いたい。たとえあの金髪が女であっても、今は関係ない。
「おい!それでもわざわざ『集中』かける必要ないだろ!!」
「いや、割とあるよ?魔力が感知されて避けられる恐れがあったからね。そしたら全員お陀仏。それにお兄さんたちには精神系強化をかけておいたから、避けやすかったでしょ?」
「た、確かに・・・・」
そんな事してくれてたのか。うーん・・・・ここで文句を言うのはなんか違うかな?イライラはなくなったがなーんか引っかかる。
まあ一応感謝しよう。
「鬼退治完了っと。お兄さんたちも大丈夫?一応疲労回復魔術は使えるケド」
「いや、俺はいい。それより、あの氷ごと砕いてこないとな」
「俺は頼む。オーガの風圧で・・・・」
あの剣士が疲労回復をしている間に俺は氷に近づき、弓を放って氷を弱くして、弱くした部分に全力で金槌を何度も打ち付ける。そうすると、氷ごとヒューマオーガは砕け散った。
その時、ヒューマオーガの角と骨の一部だけが残った。それを回収して、俺は戻っていった。
贅沢を言うなら血液が欲しかった。あっちの方が鉄との馴染みがいい。血液に鉄分が含まれているからであろうか?
しかし・・・・もうこんなことしたくない・・・・・




