偽物の響香
夜8時に扉が叩かれる音がした。
手筈通りに時行が扉開けた瞬間に走り出して裏に回ってそいつを床に押し付けた。
「おいお前、俺の友達に近づきやがって。何がしたい!!」
そう叫ぶが俺の姿と声で飄々として喋る。
「何がしたいかってお前を連れ出してこいと言われてねぇ、こうして来てくれたことだし来てもらえる?」
「この前も言ったとおりに行く訳ないだろ!」
「すまないが前に来た奴ではなくて別の者なんだよ」
「んなこたぁ知らねぇよ、死ぬ覚悟はできてんのか!!」
「するわけないだろ、こんな拘束で逃げれるのだから」
と言って関節を外して抜け出して後ろに下がり
変装の顔を外し捨てる。すると鋭い切れ目を覗かせる黒髪の青年となった。
「私は貴方と背丈が近うて選ばれたんどす」
「いきなり京都弁か?印象作りも大変だな」
「そんなわけないやん、こっちの方が喋りやすいから喋ってんのよ。勘違いはやめて下さいまし」
「そんな暇あったら逃げた方がいいんじゃねぇか」
と同時に地を蹴り近づくがそれ以上にそいつは足が速かった。
便所に入って窓を開け飛び降りる。
「クソッ、逃げ足だけは速いな」
と呟くと時行が息を切らしながら追いついていて聞いてきた。
「あいつはどこにいった?」
「ここから飛び降りた」
「は?ここ3階だぞ?死ぬだろ」
「だったらよかったけどどうせ生きてるだろ」
と言い捨てた。
次来た時には必ず殺すと肝に銘じた。




