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第15話(5)エピローグ (レナ視点)

 ダンジョンから出ながら、あたしの目からは涙が流れ続けていた。とめたいけど、とめられなかった。


(あーあ。あたし、何やってんだろ)


 金印の宝を入手するまでは、ぜんぶ計算通り。

 ボスが倒された瞬間、金印の宝箱はいくつかの出現ポイントのどこかに出現する。出現場所はランダム……だけど、実は、その場にいる人間の運に左右される。


 ダンジョンには隠しパラメータ「運」が存在する。

 噂レベルの話で、本当に実在するのか、あったとしても運をどうやってあげるのか、一般には知られていない。

 でも、実はあたし、ずっと、その「運」を最優先であげてきたの。


 「運」のあげかたの詳細は、あたしの企業秘密だけど、このパラメータはモンスターを倒しても上がらない……どころか、下がる。基本的には「運」って、ダンジョンの好感度みたいなものだから。

 運を上げるためには、モンスター狩りができない。強化はアイテムに頼るしかない。だから、これってけっこう大変な縛りプレイ。

 しかも、ダンジョンって人の命を食らう巨大な魔物みたいなものだから、同じ階層で人が死ぬと運があがったり。

 ほんと、ダンジョンって、性悪。


 モンスターを倒しまくってステータスをあげているあの3人の運は低い。

 だから、あらかじめ宝箱の出現ポイントに立っていれば、宝箱はあたしの傍に出現する確率が高い。

 キョウが4人でのボス戦を提案した時、この「運」に、あたしはかけてみることにした。


 そして、やっぱり、あたし、運が良かった。

 宝箱は、あたしの目の前に出現。

 金印の万能薬をあたしが手に入れた……

 のに、なんで、ゆずっちゃったんだろう。


 おばあちゃん、ごめんなさい。


 結局、あたしは、目の前にシンがいる中で、あいつらから万能薬を奪うことができなかった。


 あたしは山を下り、家に帰った。

 玄関から中に入ると、おばあちゃんがむかえてくれた。


「おかえりなさい。あらあら、どうしたの?」


 おばあちゃんは、すぐにあたしが泣いていたことに気がついた。

 あたしはおばあちゃんのエプロンにだきついた。


「おばあちゃん、ごめん。あたし、おばあちゃんの病気を治してあげられなくて」


「何言ってるの。レナちゃんのおかげであたしゃ毎日楽しくて元気だよ。この年になれば一病息災。さぁさ。ご飯にしようかね」


「うん」


 おばあちゃんが台所に向かって歩きだして数秒後、突然、ピンポーンと玄関のチャイムの音がなった。


「あたしが出とくね」


 あたしはそう言って、玄関に戻った。

 外に出ると、フードを目深にかぶってマスクをつけたすっごく怪しい奴が、つっ立っていた。あたしは誰だか一瞬でわかるけど。


 ぼそりぼそりと、あやしい奴は小さな声で言った。


「シンがさ。言うんだよ。おまえにもコレがほしい理由があるんじゃないかって」


 キョウはそう言って、ポケットから万能薬の小さなビンをとりだした。

 喉から手が出るほどほしいけど。


「あげたものはあげたものだもん」


 あたしがそう言うと、あいつはため息をついて言った。


「俺はそう言ったんだけどさ。シンは、言うんだよ。「ダンジョンの宝は早い者勝ち。僕はあと数年はだいじょうぶ。それまでにまた見つければいいよ。まだ50階層だから、金印の万能薬はきっとまたでる。僕らなら、手に入れられるよ」って。ま、たしかにさ、俺達なら余裕だろ。だから、コレはおまえのだ。じゃあな」


 金印の万能薬を置くと、キョウは背を向け去って行った。

 何も言えなくって、あいつが見えなくなった頃、あたしはようやくつぶやいた。


「ありがと」




 彼らのダンジョン探索はそれぞれが求める宝を手に入れるまで続きますが、この連載はここで終わります。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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