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第13話(1) メモリーカード

 ある日、45階層で、俺はついに工房を見つけた。


「工房だ! 長かった……」


「あれ? あんたって、まだナビにメモリーカードいれてなかったの? カード交換したのずっと前じゃん」


 今日は運悪く料理中にジャンヌに遭遇して、飯を食わせるはめになった。で、ジャンヌはそれからずっと一緒にいる。


「うるせー」


 ホログラムのナビが感慨深げに言った。


「ようやく、ナビの初めてのカードスロットをマスターに捧げる時が来ました。感激です」


「メモリーカードをいれるって、んなにたいしたことじゃねーだろ。いや、工房みつけるのは大変だったけど。たいしたことはあったけど」


 俺はドローンをつかんでテーブルの上にどかっと置いて、それからメモリーカードを取り出してドローンの横に置いた。

 後は、「メモリーカード050をドローンRP19に挿入しますか?」という質問に「おう」と答えるだけで、工房の機械が勝手にやってくれた。


「ドローンRP19にメモリーカードM050を装着しました」


 工房のコンピューターからそんな声が聞こえた。

 俺たちが見守る中、美少女ホログラムのナビが輝く笑顔で言った。……輝く笑顔ってのは比喩じゃなくて、メモリーカードが入ったら、本当にホログラムが光り輝いた。


「メモリーカードが挿入されました。ありがとうございます。マスター。これで50階層までの情報が登録されました。なんでもナビに聞いてください」


「50階層? 意外と使えるじゃん。どうせ40階層までしか情報ないんだろって思ってたぜ」


 俺は感心した。50階層ってことは、まだ行ったことのない階層の情報までわかるってことだから。


「じゃ、50階層のボスはどんな奴だ?」


 ナビは笑顔で答えた。


「50階層のボスは不明です。ボスはボスの間に行って確かめてください」


 (やっぱりこいつ、使えねー……)と俺が思ったところで、ナビは言った。


「でも、初回ボス討伐アイテムはわかりますよ」


「初回ボス討伐アイテム?」


「はい。最初に探索者がボスを倒した時に出る金印のアイテムです。50階層の初回ボス討伐アイテムは、万能薬です」


 万能薬? 

 ダンジョンの初回ボス討伐時のアイテムが固定されていたってのも初めて知った話だけど。

 それより、万能薬はダンジョン内であらゆる状態異常を治すアイテムだ。

 めったにでないアイテムだけど、マヒや毒状態はもちろん、ウイルス感染でもなんでも治す。

 もしそれをダンジョン外で使えば、あらゆる病気が治る……かもしれない。

 今の医療で治療法がないシンの病気でも。


「金印の万能薬……! シン、絶対に俺達が50階層ボス一番乗りして、金印の万能薬を手に入れるぞ!」


「うん」


 普段は宝に興味がないシンも、この時だけは力強くうなずいた。

 だけど、その時、俺は気が付いていなかった。

 何気なく一緒に工房にいたジャンヌの表情が変わっていたことに。


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