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全身鎧を着た魔法使い  作者: 大和 改
二大国家戦争
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それぞれの思い

 王都ウンディエネにあるタクロー達の家では、シンジとミーナが二人で出来合いの食事をとっていた。


「タクロー君の作った料理、結構イケてるんだね……」

「アイツは基本的に自分の食べたいものを作るけど、それの為ならこだわって作るからなぁ……」


 二人は苦笑いをする。


「ああ、そだ、ミーナさん、これこれ」


 シンジがミーナに一枚の紙切れを手渡す。


「なにこれ? ミーティアラ王国国立公園って、タクロー君達が向かった所?」

「そう。そこになんて書いてある?」

「世界樹の花が見頃を迎える……、あれ? 世界樹ってこの近辺だっけ?」


 ミーナはゲーム時代の地図を思い返す。


「違いますね。世界樹はここから北北東の方角」

「なら、なんで世界樹?」

「図書館にあった本で知ったんだけど、どうやら国立公園に世界樹を植えたらしいですよ。正確には接ぎ木した苗木らしいけどね」

「つぎき?」

「別な木の苗木をある程度から切って、切れ込みを入れたら、世界樹の枝の一部を差し込んでぐるぐる巻きにするそうです。そうして土に植えると、あら不思議、世界樹がもう一本増えるんだとか……」


 ミーナは首を傾げながら、「はぁ……」と生返事をする。


「世界樹のクローンですな。そして、それによって周囲のマナが活性化するとかなんとか……。言うなれば、自然エネルギーの活性化みたいな感じかな? 周辺の木々にいい影響を与えるとか何とか……」

「なんで、そんな所にタクロー君が興味を持つんだろ?」


 ミーナは紙切れをマジマジと見つめる。


「エルフ……じゃないかな?」

「寿命云々の話?」

「それもあるけど、ハイエルフ云々の所だと思いますよ」


 ミーナは昨晩の話を思い返そうと、腕を組んで目を閉じる。


「でも、あの話はトリスが言い出したんじゃ無かったっけ?」

「下手すると、アイツは全部知ってたんじゃないかな? それでも敢えて、知らないように話を進めた……」

「なんで、そんなまどろっこしい事を?」

「確証が無かった……、では、どうかな?」


 二人は、「うーん」と唸り声を上げた。


「ああ、だからか……。そうか、そうだな……、あの言葉がどうしても引っ掛かってたんだ……」

「ん? 何?」

「アイツが言ってたじゃないですか、『先に帰る方法を見つける』とか何とか……」

「あ!?」

「あと、ついでにイツキ達の事も何とかしようとしてるんじゃ……」

「仲間の所に置いてくるとか?」

「ああ、そんな鬼みたいな事やったら、俺は許しませんけどね。多分違いますよ、自立心を向上させようとしてるんじゃないかな? これまで、アイツはセルヴィナ達の特訓や、アリーシャちゃんの勉強、リリーア姫さん所のメイドさん達による家事関係とか、色々教えさせてましたよね……」

「ああ、あれ。でも、あれって、皆が見かねてって感じじゃないの?」

「それが、アイツの計算だったら?」

「ま、まさかぁ……」

「その紙の注意書き読んでみて下さい」

「注意書き?」


 ミーナが小さく書かれた注意書きを読む。そこには、国立公園は広い森林の一部であり、森全体は未だ未開となっている為、指定された場所以外には行かないようにと書かれている。


「未開……、ああ、ちょっと読めた……」

「そう、アイツはエルフを探しに行ったんですよ、きっと」

「だねぇ……、全部知ってて話を誘導した。急に『ここに行くぞ』と言っても自然なように……。って事は?」

「おそらく、全部イツキ達奴隷少女達の為だと思う。俺達が元の世界に戻ったら、彼女達は生きていけるのか? って話になるから、アイツなりのやり方なんじゃないですかね?」

「ハハハッ、前線指揮官殿は多くを語らずか……。アノ人はよく言ったもんだ」

「ギルマスですか……、確かにアノ人なら、アイツの行動の意味を瞬時に理解したでしょうね?」

「なら、なんで事情を話して俺達にも付いてくるよう言わなかったのかな?」

「恐らくは……、いや、多分確実に自分のけじめと、俺達の行動を尊重したんでしょうね」

「相変わらず、一人でなんでも背負い込むな……」

「だから、ギルマスが居ないと……」


 二人はため息を吐いて、旅立ったタクロー達に思いを馳せた。



 イースタル要塞制圧後、夜半過ぎた頃。

 帝国側から十数台のトラック型と言える、魔導車がイースタル要塞へとやって来る。

 荷台には弾薬を乗せた物と、人を乗せた物があった。


「お疲れ様です!」


 アレクシア帝国軍第一機甲師団、師団長レイジネル・ラングレイ大佐とその部下達が敬礼をして、補給部隊を迎える。


「ご苦労様でしたね」


 一台のトラックの助手席から、一人の男が降り立つ。

 彼は、アレクシア帝国軍団長の一人、フレイトルス・バーネンズ少将だ。


「補給物資と、要塞駐留部隊を連れてきましたよ」


 フレイトルスは、そう言うと持っていた鞄から一通の書簡をレイジネルに差し出す。


「これは?」

「次の指令書です」


 レイジネルは、書簡を受け取ると、中に目を通す。


「明日には、出発ですか……」

「大変でしょうが、頑張って下さい。ああ、後、ここの元の住人は?」

「皇帝勅命により、生かして捕らえています」

「よろしい」


 フレイトルスはニコリと笑う。


「ここの元住人には、要塞修繕の為に働いてもらわなければなりませんのでね」

「皇帝の言う『捕虜』と言うやつですか……。自分は、にわかに信じられません。前皇帝であれば、皆殺し、略奪を良しとされるのに……」

「現皇帝はお優しいのでしょう。それと、最も聡明な方でもある。無駄に殺さず、人的資源として有効に使おうと言うのだから……」


 満面の笑みを見せるフレイトルスに対して、レイジネルは困惑の表情を浮かべた。


「とにかく、ここは私が引き継ぎます。確認事項等示し合わせねばなりません。戦闘で疲れているでしょうが、もう少しお願いしますよ」

「ハッ! 了解です!」


 レイジネルは敬礼と共に、声を大きく了解した。

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