マナ反応
亜人の軍勢は三万強が居て、前衛として一万数千が一気にセレス兵達に襲い掛かる。一方のセレス兵は当初確認されていた敵兵の数より少ない数が現れた為、伏兵を警戒して動けないでいた。
迎え撃つセレス兵は二万弱であった。
近隣からの支援は間に合わなかったのである。
陣頭指揮は、ニビラルが取る事となり、レイラルドは最後方となる自身の邸宅で事の次第を見守る形となった。
それには訳がある。
レイラルドもまた、シンジ同様に使者として現れた二人の獣人の装備に着目していた。彼らの文化レベルの低い装備が、これからの戦闘で自陣が有利であると考えたからであった。
最先端技術の結晶が埋め込まれたマジックアクティベーターと、最新モデルの魔法武具をセレス兵は装備しているからだ。
本来はモンスター戦闘を想定しての事だが、装備している物の技術レベルの優劣が解ってしまえば、何とか勝利出来るとレイラルドは考えたのである。
無論、完全に被害を受けない訳ではないが、それでも亜人達を退ける事が可能と踏んだが故に、戦争を受け入れたのだった。
タクロー達は、アリーシャが指定する方角を進む。
山と森が見えた時だった、一式トランスポーター内に警告音が鳴り響く。
「イツキ!?」
タクローがモンスター反応レーダーを監視するイツキに声を掛けると、イツキがモニターを睨みつけて首を傾げていた。
「あの……、レーダーがおかしいのですが……」
「え? 何? どうしたの?」
レーダーの基礎プログラムを組んだのはヒカルだ。彼女は直ぐ様、レーダーの場所へと移動する。休憩室に居たタクローとアリーシャもヒカルに続く。
三人がイツキの後ろからレーダーを覗くと、赤い光が画面半分を覆っていた。
「バグったのか?」
「えぇ!? おっかしいな……、モンスター反応のみ検知出来る様に色々魔法術式の基礎をいじってるんだけど……」
「半分まで表示されてる赤い光から下の赤い光点は?」
「そっちは確実にモンスターだと思うよ。窓から見えたモンスター位置と一緒だし……」
「じゃぁ、赤く画面半分を覆ってるこれは?」
「モンスター……かな?」
苦笑いのヒカルに、タクローとアリーシャは顔を見合わせて首を傾げる。
「ちょっとまって。イツキ、ごめん席変わって」
ヒカルは、イツキに声を掛けて半ば強引にレーダー監視の席に着く。
すると、魔導演算機のキーボードを操作して術式の見直しを行った。
「おっかしいな……、異常は無い……。じゃぁ、この反応は膨大なマナ反応は何?」
少し思案して、ヒカルはタクローに顔を向ける。
「まさかねぇ……」
再びヒカルがキーボードを操作して、術式を書き換えるとモニター半分を覆う赤い光が消えた。
「マジっすか!!?」
ヒカルが驚いた声を上げると、タクローとアリーシャ、そして隣となる運転席に居るミーナが反応を見せた。
ミーナは、唐突にブレーキを踏んで一式トランスポーターを停車させる。そして、ヒカルの元に駆けつける。
「ヒカルちゃん、どうしたの!?」




