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全身鎧を着た魔法使い  作者: 大和 改
二大国家戦争
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王城前広場での攻防

 時は少し、遡る。


 城門に架かる橋前の広場に、3台の戦車と歩兵隊が現れる。

 待ち構えていたミーティアラ王国兵達は、現れた帝国兵と戦車に向けて、様々な魔法を放つ。

 帝国兵達は、手早くマジックアクティベーターを操作し、魔法防御を展開する。しかし、何発かはすり抜けて、帝国兵幾人かにダメージを負わせる。

 すかさず、戦車が前に躍り出て、盾となるべく車体を横付けにした。


「よし、砲身は向こうを向いているぞ! 魔法を撃ち続けろ!!」


 戦車の構造を全く知らない剣聖、ザイアン・ストーリスは兵士達に更なる攻撃命令を出す。

 ザイアンは思っていたのだ、『進行方向に向けて攻撃する魔導車』だと。


 ザイアンの考えは、一瞬で蹴り飛ばされる。

 戦車が砲身を九十度動き、車体は横向きの状態で、砲身のみをザイアン率いる兵士達に向けたのだ。


 三発の爆発音と、煙。


 プロテクション・フィールドによってかろうじて防ぐ事が出来た砲弾だが、爆風は、盾を構えた兵達を後ろへ押し込む形に成る。

 踏ん張っていた兵達だが、ジリジリと音を立て、足が後方に滑る。

『次の攻撃が来たらもたない』と何人もの兵達が思う。


「次、来るわよ!! みんな、防御魔法を!!」


 高い女性の声が周囲に響く。

 ミーティアラ兵達が、背後に目をやるとザイアンの前に臆する事無く立つ一人の女性の姿を見た。

 リリーア・ニルス・ミーティアラ、その人だ。


 王族の、しかも姫が前に出て声を上げている。

 美しく、可愛らしい容姿とは裏腹に、『おてんば姫』などと言われる彼女。姫にも関わらず、剣を学び、戦術を学び、魔法学にも精通するのが彼女だ。

 一部には、『王国の宝』とまで言われる女性に声を掛けられて、奮い立たない者など居ないと言わんばかりに、兵達は自身が出来る最大限の事を実行する。

 一人は、防御魔法であるプロテクション・フィールドを巨大化させて何枚も展開。

 一人は、味方の盾を持つ兵にプロテクションを掛けて、防御を固める。

 魔導銃を持つ兵達は数名居たが、彼らは銃を捨て、マジックアクティベーターを構える。何故なら、前面に展開されているプロテクション・フィールドのおかげで、弾丸が敵に届く事が無いためだ。おまけに、プロテクション・フィールドを破壊しかねない。

 兵達はマジックアクティベーターを構える。


 一方の帝国兵は、横付けにされた戦車3台を盾に、銃を構える。

 こうして、魔法と魔導武器の最初とも言える乱戦が始まろうとしていた。



 数発の炎弾が一直線に飛び、戦車を捉える。

 戦車には低位の魔法防御が施されている。襲い来る魔法攻撃はこれにより、軽減される。

 また、分厚い装甲も確固たる防御力を示した。

 だが、ミーティアラ兵は諦めない。

 炎が駄目ならと、風、土、水と、デタラメに魔法を連発する。


 アレクシア帝国兵達も負けじと、戦車砲、魔導銃で応戦する。


 当初、アレクシア帝国の兵達は、ミーティアラ王国兵の呆気無さに拍子抜けしていた。

 だが、今はどうだろう?

 肉薄する形で、攻防が行われている。


 初見で、しかも見聞きした事の無い攻撃を受ければ、誰でも驚き、まともな対応が出来なくなるのは至極当たり前の話だ。

 だが、今は違う。

 考えれば解るが、アレクシア帝国の攻撃は魔導銃が中心にある。片や、ミーティアラ王国は魔法が主だ。

 バリエーション豊かな魔法に対して、魔導銃や戦車砲は物理攻撃に特化している。

 破壊を目的とした場合であれば、魔法よりも物理攻撃の方が有効である。

 だが、混戦になれば、魔法にも利点が多く生まれるのだ。


 リリーアは目の前の光景を見て、青い顔を見せる。


「ザイアン、まずいわ……。均衡が崩れる……。マナが……」


 リリーアの言葉を聞き、ザイアンもまた冷や汗を流す。


「魔導銃兵は、銃の準備を!」


 ザイアンの指示を聞いて、魔導銃隊は、地面に放り投げた物を慌てて拾う。


 一発の砲弾が、魔法防御を砕き、盾を構える兵の元に着弾した。

 大きな爆発音と共に、兵達数名が吹き飛ばされる。

「魔法を再展開しろ!」、「マナが無い!」、「今は再充填中だ!」と数々の怒声が上がる。


 戦場が一気に崩れる様を、リリーアは祈るように見ている。


(タクロー様、タクロー様、タクロー様……)


 リリーアは、『彼』の名を心で何度も念じる。


「姫、お下がり下さい!!」


 気が付けば、ザイアンがリリーアの前に立ち、リリーアを守る盾になっていた。


 兵士達の体の一部が吹き飛ぶ様が見える。

 兵士達の血が吹き出る様が見える。

 兵士達の力無く倒れる姿が見える。


 リリーアは、祈る。それは、まるで神にすがるかのように、たった一人の男を待ち望んでいた。


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