この世界について
目を覚ますと、視界ににはきれいな青空が映っていて、体には柔らかい草の感覚がした。体を起こして見回してみると、どっかの草原にいるみたいだ。近くには森も見える。立ち上がって少し考えた。
「もうここはエンジェル・ワールドの世界なのか?」
自分の体がいつもより重いことに気づいた。体を見てみると、いかにもゲームの序盤で主人公が着ているような防具を着ていた。さらに、腰には一本の片手剣が差してあった。少し触ってみると、どうやら本物のようだ…いや本物触ったことないけど。偽物とも思えない。
「ほんとに来たのか…。夢じゃないのか…」
すると、さっきの声がまた聞こえてきた。
お久しぶりです。お元気でしたか?
「ちょっと前に話しただろーが」
それもそうですね。そんなことより、本題に入ってもよろしいですか?
「お前が言ってきたんだろ!?」
では、本題に入らせていただきます。
「スルーかよ!」
あなた様はこの世界じゃないところから来たので、この世界のことは右も左も前も後ろもわからないんです。なので、どのゲームにも説明書、説明パートがあるように、この世界の説明書、つまり常識をですね、今からあなた様の頭の中に入れて差し上げます。少々お待ちを。
……はい。入れ終わりました。頭にこの世界のことがいろいろ浮かんでいるはずです。
「確かにいろんなことが頭に浮かんでくるな」
その常識にないことなら知らなくても特に怪しまれたりはしません。
「そっか。そういえば、ここに来る前に俺にはチート能力が与えられるとか言っていなかったか?」
覚えておりましたか。無駄に記憶力いいですね。
「無駄には余計だ」
あなた様の能力は《短剣使い》というスキルです。
「それのどこがチート能力だよ!」
いやいや、この世界では短剣は武器として使われていないんですよ。だから十分チートですよ。
「武器じゃないものをどうやって手に入れればいいんだ?」
それはですね、こちらが時々ミッションというものをあなた様だけに出します。それを見事にクリアすると、報酬がもらえてその中にある場合があります。ほかには短剣を作ってくれと言っても笑わないで作ってくれるような鍛冶屋の人と仲良くなって作ってもらうことですかね。ちなみにこの世界では短剣はあなた様の世界で言う包丁みたいなものです。
「そんなものを武器にして使っているなんておかしいよな…」
ほかにも能力がありますよ。他人や魔物のHP・SP、相手が魔法使いならMPが見れる能力です。自分のは右上にあるので見てみてください。ちなみに、HPの色は青→黄→赤の順に変わっていきます。青…100%~、黄…60%~、赤…30%~みたいな感じです。
SPは緑色、MPはオレンジ色です。ここまではみんな誰でも持っているのですが、あなた様のはついでにレベルも見れるようになっています。
「それだけ?」
それだけです。
「チートって意味知ってる?」
最後の能力はレベルアップでTPを得ることができ、そして振り分けることができます。そのかわりほかの人と違いどんなに使い込んでもTPじゃなければスキルのレベルが上がりません。
「すっげえ微妙!」
このくらいで説明を終わりにします。この説明が終わったら一度自分のステータスくらい見といたほうがいいですよ。それでは次ぎ会うときはゲームオーバーかゲームクリアした時です。死んだら二度と会えないんでお気をつけて。
さようなら~。
そう言うと、もう声は聞こえなくなっていた。