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プロローグ
一通りの掃除を終えた鈴はほつれた服を慣れた手つきで縫い始めた。
(早く帰りたい)
慣れたといえど、貴族の上質な衣を縫うの緊張する。少しだけ震えた指先に力を入れた。
都へ来てまだ半月。そんな短い期間でも、理不尽に厳しい女官長にしごかれたおかげか仕事は体に勝手に染みついたようだ。
それにしても、下級女官というものは本当に扱いが酷い。
ちょっと位が高い女官はすぐに威張って仕事を押し付ける。
(めんどくさいなあ)
まあ、明日の食べ物に困るぐらいの貧乏だった生活を考えると大出世すぎるのかもしれないが。
(早く昇格して、自由になれないかなあ)
優秀な人材はどんどん昇格する。昇格すれば、ある程度の自由は得られるだろう。いずれは家にも帰れるはずだ。
だが、都というものはそんな甘ったれた考えを受け入れてくれるはずがなかった。




