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ELLIS-エリス- 世界最高の生き方(もっと優しい世界ver.)  作者: 結逸夢弐


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第五章 - 青春時代① 第一回サマー・スクール Ep.2:ダックダックゴー

<エリスのサマー旅行記③ オリエンテーション>

 荷物を置いたエリスとテムバは、先ほどのスタッフのところに戻って、今さっき会ったルームメイトのことを尋ねてみた。すると彼女は「予告し忘れてごめんなさい」と謝り、彼について少しだけ教えてくれた。

 何でも彼は『リウ・ティエンジェ(刘 天杰:Liú Tiānjié)』という名前の、中国深圳市からの留学生で、17歳でとても頭がよく、2週間前からここに来ているようだ。ただ内気な性格ゆえか、英語のスピーキングが苦手で、あまり人と関わらずに、いつも図書室で勉強ばかりしていると言う。

 また本来、日曜日の今日は遠足らしいのだが、それも体調不良を理由に欠席しているとのこと。もしかするとつい昨日、仲良くしていたルームメイト二人が帰ってしまったので、それが原因で落ち込んでいるのではないだろうか、とのことだった。エリスはその話を聞いて、『ティエンジェの抱える寂しさを、少しでも埋めてあげたいな』と思った。

 それからしばらく彼らは、そのスタッフにオリエンテーションとして、学校の規則やスケジュール、アクティビティなどの説明を受けていた。その途中、エリスたちが乗ってきたのと同種のバンが4、5台到着し、多くの子供たちが学校の敷地に降り立った。その時点で合計57人の子供たちがいて、出身国としてはイタリア、ドイツ、フランスが多そうだった。

 エリスたちは先行して、施設内を案内してもらうことになった。順番に『教室』や『美術室』、それからダンス・演劇・コンサートのための『劇場』、『科学室』や『図書室』、陶磁器を焼く釜土などがある『工房』を訪れる――図書室を含め、どこにもティエンジェの姿はなかった――。

 次にスポーツ施設に移り、各種トレーニング機器を有する『ジム』、その横には『スイミング・プール』、その先に『テニス場』や『フットボール場』、その先に天然芝の『運動場(クリケット、ラグビーなど多目的に使える)』などがあった。それらはどれも教育的に充分で、素晴らしい設備に思えた(このとき案内されなかったが、他に『動物園』や『スカッシュ場』などもある)。

 そこまで終わったところで、ちょうどお昼時になっていたので、エリスたちは『カフェテリア』へと案内され、そこでランチを食べることになった。カフェテリアは受付がある本館内の逆側にあり、生徒は決まった時間に部屋のカードキーを使用して入れるようになっていた。食事はプレート・ビュッフェ形式(最初に好きな料理を取れるが、おかわりは不可)で提供され、ドリンクのみセルフで飲み放題となっており、キッチンの先にはコーヒー・サーバーなどがあった。

 各種ドリンクや、フルーツ、デザート、カナッペ、その他さまざまな料理が並ぶなか、エリスはローストビーフとマッシュドポテト、そしてヨークシャー・プディング(シュークリームの皮みたいな料理)を皿に盛り、そこにグレイビーソース(肉汁を元に作られるイギリスでは定番のソース)を掛けて、伝統的な『サンデーロースト(Sunday Roast)』を完成させた。イギリスの家庭では日曜日の昼に、こうした付け合わせでロースト肉を食べる風習があることを、彼は予習して知っていたのである。

 また彼は別の皿に、コールスロー(千切りキャベツのサラダ)や茹でたニンジン、生のパプリカやトマトやキュウリを取って、追加でフルーツポンチとリンゴジュースもグラスに注いでトレーに載せた。あとは実食を待つだけだと、奥のダイニングルームへと入っていくと、そこは円卓が並んだ開放的なスペースとなっていて、横にテラス席もあった。エリスたち8人は、4人ずつ室内中央の席に着き、談笑しながら空腹を満たした。どの料理もちゃんと美味しかった。


<エリスのサマー旅行記④ ティエンジェの劣等感>

 午後は自由時間とのことだったので、昼食を終えたエリスたちはルームメイトごとに解散して、校内を探検してみようということになった。エリスはテムバと一緒に、まずティエンジェを探して誘ってみようと決め、他に心当たりもなかったので、とりあえず図書室に行ってみることにした――するとそこにはティエンジェがいて、机に本とタブレットを置いて真剣に何かを読んでいた。

 「やぁ、また会ったね! 君、ティエンジェだよね? 僕たち今日からルームメイトになるエリスとテムバだよ、よろしく!」エリスが声を掛けるも、彼は一度顔を上げて頷いただけで、また読書に戻ってしまった。「何読んでるの?」エリスが聞くと、彼は小声で「宇宙の本……」とだけ答える。どうやら机に置かれているのは英語で書かれた『宇宙物理学』の本で、彼はページをタブレットで撮影して『Google翻訳』アプリを使って読んでいるようだった。

 「俺たち、これから施設探検に行こうと思うんだけど、君も来ない?」テムバが聞くと、ティエンジェは苦笑いして首を窄める。「ごめん、俺たち邪魔かな?」テムバが追って聞くと、彼は首を横に振って、ゆっくりとこう答えた。「ただ俺……英語を話すのが……得意じゃないから……」

 実はティエンジェは『宇宙飛行士』になるのが夢で、目下、中国の名門『清華大学』進学を目指して猛勉強していた。そしてゆくゆくは、自国中国の宇宙開発機関『中国国家航天局(CNSA)』に所属し、科学者・エンジニア枠として宇宙飛行士になることを目標としていたのだ。地元の高校では一番の秀才である彼は、成績で他人に遅れを取ることは稀だった。

 ただどうしても英語だけは苦手で、これまでその弱点は見ないふりをしていたが(CNSA所属にあたって英語は必須ではない)、仮に夢が成就した後のことを考えると、いずれは国際宇宙ステーションで他の国の宇宙飛行士たちとも意思疎通を図る機会があるかもしれないので、英語ができると有利であることは否めなかった。

 父親に勧められ、半ば無理やり連れてこられた今回の旅は、そりゃー英国の文化を知る良い経験になっているし、それなりに英語力が伸びているのも実感できているのだが、これまでの旅を本当に楽しめていたのは、ルームメイトがたまたま中国人と台湾人だったからだ(台湾や中国の南の方では、緯度の関係で夏休みが6月下旬や7月初旬に始まるので、サマー・スクールの最初の2週間はこれらの国の出身者が多く参加している)。

 だから英語を流暢に話す人と対峙していると、普段感じることのない劣等感に苛まれてしまい、どうしようもなく居心地が悪かったのだ……。特に今、目の前にいるエリスって子は美人すぎるし……これで緊張するなって方が無理な話だ――。そんなことを考えていた彼は、いつの間にか自分の左手がエリスに掴まれていることに気づき、戸惑いを隠せなかった。

 「そんなこと関係ないよ! 僕も簡単な単語を繋げてしゃべっているだけだもん。ねっ? せっかく来たんだから、もっとみんなと話してみようよ!」エリスがティエンジェの手を引くと、彼は照れくさそうに頭を掻いた後、『降参だ』というようなジェスチャーをして立ち上がる。

 「オーケイ。なら俺の、お気に入りスポット、に案内するよ」


<エリスのサマー旅行記⑤ ダックダックゴー>

 ティエンジェに案内されたのは、大きなマロニエの木などが植えられた学校の広い庭だった。奥に行くと池が見え、水面にはマガモなどの水鳥が数羽泳いでいる。「のどかなところだね?」エリスが言うと、ティエンジェは「ちょっと見てて――」と池の畔に近づいて、ピューッと口笛を吹いた。

 すると、池の真ん中にある茂みのなかから、3、4羽のアヒルが泳いできて、エリスたちのいる陸まで上げって近寄ってきた。「わ~可愛いアヒルさんっ」それらはみんな綺麗な羽根を持っており(黒を基調として緑や青の差し色が見られる)、胸には特徴的な白い模様があった。恐らく『ポメラニアン・ダック』という品種で、それぞれ体長が50cm前後、体重は3~3.5kgほどの『ずんぐり体型』をしている。

 「よく、ここで餌、やってるんだ」ティエンジェが鞄から袋を取り出して、中身を足元にパラパラ撒くと、アヒルたちは嬉しそうに地面を啄み始める。「この餌、ちょうど先週、街で買ったんだ」彼の持っている袋には英語で、『アヒル用ペレット(Duck Layer Pellet)』と書かれていた。ペレットとはペット用の、栄養バランスが調整された小粒飼料のことである。「あげてみる?」

 「うんっ」エリスが飼料を受け取って、それを撒こうとした瞬間――1羽のアヒルが袋に飛び掛かって、そこに描かれた白いアヒルにきつーい一撃を加えた。その情景をひと言で表すなら、そう……。『ポメラニアン・ワンパンッ♪』だった……。エリスは後ろに尻もちをついて、持っていた袋をひっくり返してしまう――ペレットが雪崩落ちてきて、彼のTシャツの中やお腹の上に降り注いだ。

 アヒルたちが一斉に飛び掛かる! あるアヒルはエリスの服の中に入り、胸やヘソに引っかかったペレットを啄み、またあるアヒルは彼のお腹に乗って、飛び上がりながら首元のペレットを啄んだ。「やっ、ふわっ――ひゃんっ――くすぐったい!」エリスが苦悶の声を上げる。そこへ、どこからともなく1羽のでかいガチョウも現れ、アヒルたちのビュッフェ・ランチに加わった。「だ、だめっ――そこはっ――今、敏感でっ――」ガチョウが執拗に胸元を攻撃する。

 「クワッ、クワッ」「ギョエェェェー」「グワァァァー」5羽の水鳥たちが奇声を上げながら、エリスのことをめちゃくちゃにしている様子を、テムバとティエンジェの二人は成すすべなく見ていた。「テムバ……ティエンジェ――あっ、んっ――た、助けて……」そう言って涙目を浮かべるエリスを見て、ようやくテムバは今朝交わした約束を思い出した。『君が困っていたら、今度は俺が支えるよ』

 「おい! あっち行けよっ」テムバがエリスに纏わりつく鳥たちを手で追い立てると、鳥たちは一旦距離を取ってから、また攻撃を再開する。「ティエン! 手を貸してくれ」呼ばれたティエンジェも一緒に追い立てると、今度はもっと遠くまで鳥たちが退いたので、その隙にテムバはエリスを立たせながら、彼の身体に付着したペレットを叩き落とした――その際一瞬だけテムバの手が、彼の胸の突起に当たってしまったが、気にしてられる暇はなかった。

 そのまま1歩2歩と現場から後ずさると、ペレットに飢えた獰猛な野鳥たちの攻撃は、エリスから離れて、哀れな地面へと移っていった。今や騒ぎを聞きつけた近所中の野鳥が集合しており、そこは『のどかさ』の欠片もない完全なるカオスだった。「大丈夫?」テムバが聞くと、エリスは困った表情で「うん……」と応える。よく見ると彼の身体には、ところどころ擦れ傷や切れ傷ができていて、一部出血も見られた。「大変だ……すぐに手当てしに行こう!」

 *

 テムバとティエンジェは、エリスを連れて自分たちの部屋へと戻ってきた。途中、ニコラのグループと再会したのだが、事情を話している暇はなかったので、ただ「怪我をしたんだ」とだけ伝えて帰路を急いだ。それからはニコラ、ミケル、ルカシュの三人も心配そうに付いてきていたが、使命感に燃えたテムバの意中には入らなかった。早くしないと、彼が『鳥インフルエンザ』や『サルモネラ菌』などに感染してしまうかもしれない――。

 テムバは部屋に入るなり、エリスを狭いバスルームへと押し込んで「とりあえず服は全部脱いで、傷口を水で洗って」と伝える――ちなみに彼らの寮部屋は『エンスイート(en-suite)』タイプだったので、部屋の中にバスルーム(トイレ、バスタブ、シャワー)が付いていたのだ――。そして自分の鞄を開けたテムバは、中からポビドンヨード原液とペットボトル水、医療用脱脂綿を取り出して、早急に消毒の準備を進める。

 彼の意図を汲んだニコラは、勝手にエリスの鞄を開けて、中から替えの下着とTシャツを取り出して――って下はドロワーズ(パンプキンパンツ)かよ!? 何てもん穿いてんだエリー!――、それをバスルームに投げ入れて「洗ったらすぐ身体拭いて、それ着てこっち来い!」と叫んだ。


<エリスのサマー旅行記⑥ 治療と検診>

 「あ、洗えたよ」2分後、バスルームの扉が開いて、白の下着姿をしたエリスが現れた。肩に掛かる髪の毛先が少し濡れていて……さすがに5人に見られていると恥ずかしそうだ。テムバは彼を自分のベッドまで連れてきて座らせると、赤く濁ったペットボトル水に浸された脱脂綿を取って、「傷を消毒したいんだ。少し身体を触ってもいいかい?」と静かに伝える。

 するとすぐさま「うん、お願い」と、エリスがTシャツをたくし上げようとするので、テムバは「あいや、シャツは少し浮かせるだけでいいよ。身体は見ないようにするから」と要求を訂正するが、エリスは「ううん、別に見てもいいよ」と最後までたくし上げ、その幼い柔肌をあらわしにした。

 「じゃ、じゃあ拭いてくね」テムバが脱脂綿を当てていくと、そこからエリスの白い素肌が赤く染まっていき、ヨウ素の独特な匂いが鼻をつく。「服が汚れちゃったらごめん――っていうか、服着る前にバスルームで自分で塗った方が楽だったよね……なのに何で俺が拭いちゃってんだろ? なぜか成り行きでこうなって……本当ごめん……」彼は緊張からか、やけに捲し立てながら手当てを進める。

 「ううん、いいの」エリスが彼を庇う。「バスルームは狭くて暗かったから……それに、一人じゃ塗れないところも、あいっ――」ちょうど左胸を拭き始めたとき、エリスが小さく悲鳴を上げて顔をしかめたので、テムバが瞬時に布を離す。「ごめんっ、沁みた?」

 「ちょ、ちょっと……」エリスが恥ずかしそうに顔を伏せる。「大丈夫だから……つ、続けて……」彼がそう言うのでテムバは作業に戻り、左胸、右胸、肩、そして首筋まで塗っていく。途中、エリスは明らかに苦しそうに、Tシャツの裾を咥えて声を押し殺していた。「もし痛かったら我慢せず言ってね」

 「じ、実は、僕……」エリスが赤面しながら口を開く。「先週から『エストロゲン』のお薬を飲んでるんだ……それで、昨日くらいから胸の奥に『しこり』ができてきて、痛くって……」実はエリスは、あれから病院に行って医師に『できるだけ今のままでいたい』という意向を伝えていたのだが、そのとき『だったらこれがいいでしょう』と、弱い女性ホルモン薬を処方され、以来、毎日一錠ずつ飲んでいたのだ。

 「エストロゲン? それって……」エリスの身体に腕をまわし、側面や背中を拭き始めるテムバが、怪訝な様子で隣にいるニコラを見る。ニコラは頭を掻いてから「あいや、何て言うか~、こいつ複雑で」と応えるが、正直なところ、ホルモン治療のことは彼も知らされてなかった。エリーのやつ、そんな大事なこと何で俺に黙ってんだよ――。

 「お医者さんが、1カ月くらいで『しこり』は無くなるって……だから、今は我慢しなきゃいけないの」苦笑いを浮かべるエリス。彼は今身をもって、第二次性徴に入った女性の大変さの、ほんの一端を体感していた。これまで性ホルモンが分泌されていなかった彼の身体にとって、それは天地がひっくり返るような感覚だった。

 「しこり、か……」テムバがエリスの両腕まで拭き終わったところで、難しそうな顔をして呟く。「あの、もし嫌じゃなかったら、そのしこり触ってみてもいいかな?」あまりの衝撃的な発言に、それから数秒の間、全員がシーンと押し黙っていた。すると言った本人も失言だと気づいたようで、慌てた様子で付言する。「ごめん俺っ、まだ言ってなかったけど、医大志望なんだっ。胸のしこりは『乳腺症』とか『乳がん』の恐れがあるから――」エリスが顔を背けながら胸を突き出す。彼が「いいよ……」と囁くと、5人はゴクリと息をのんだ。

 「それじゃ、触るね――」テムバは内科医が聴診器を当てるかのごとく、両手で優しくエリスの胸を押していった。「うん、乳房のところにはないね」それからプックリと膨れた乳頭の周りを摘まんでいく。「乳腺は……少し張ってるけど、ここも大丈夫」そして満を持して、乾いたポビドンヨードでオレンジ色に変色した、柔らかな乳輪へと指を沈めていく。すると中にやや硬い組織があることがすぐに分かった。「なるほど、これがしこりだね? こうやって触ると痛い?」彼はしこりを何度か摘まんでみる。

 「うん……ちょっとズキズキする……」エリスがTシャツを咥えたままモグモグ喋る。

 「痛みは10段階でいくつくらい? イチが最小、ジュウが最大で」テムバの問いかけに対し、エリスはしばらく迷ってから「ナナか……ロクくらい、かな……」と答える。

 「そうか……今まで大変だったね?」とテムバ先生。何気ない労わりから出た言葉だったが、これが患者の不安感を煽ってしまったようだ。急に怯えた表情になって「ぼ、僕……病気なの?」と尋ねるエリス。

 テムバの見立てではそうではなかった。しこりは柔らかかったし、強い痛みも出ていないようだったので、恐らくエストロゲンの作用で乳腺が発達し、その初期症状として軽い乳腺症状が出ているのだろう、と――すぐにそれを伝えようとした彼だったが、隣で感情が爆発させたニコラにそれを妨害されてしまう――。

 「もういいっ! 全員ここから出ろっ!」ニコラはテムバ、ティエンジェ、ミケル、ルカシュの4人を部屋の外へと乱暴に追い出すと、エリスのところまで戻って、彼の衣服を直しながら「エリー、お前は病気じゃねぇ。その症状は一時的なものだ。気にすんな」と慰める。それから彼は、消毒液とエリスとをバスルームに閉じ込めて、「もしまだ塗れてないところあったら、自分で塗っとけ」と叫んだ後、ふーっと息を吐きながらベッドに腰を下ろした。ったく、初日からこれかよ。前途多難すぎるだろ――。

 追い出された4人も気まずい思いをしていた。テムバは両手を見ながらワラワラ震えていたし、ティエンジェは『やりすぎだぞ!』という思いをのせて、テムバの肩に軽いパンチを食らわせた。一番年下のミケルに至っては、顔を伏せてうずくまってしまっている。そんな彼らの様子を見て、ルカシュだけが落ち着いて静かにこう言うのだった。

 「まあ、色々と不安定な年頃ってことだよ」

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