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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第五章:戦いの始まり

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97.リエンガン戦闘街区 2


 イビル、ノワと離れ、クラヴォスなる男に声をかけられた俺は、他の住人たちと共にギルドについて行くことになった。


 ギルドに行くことには警戒しか無いが、偽名を使ってでもここの人間に紛れる必要があると判断した。

 顔に出すことは無くとも、いつでも精霊を出せるようにするしかなさそうだ。


「……ここだ。入っていいぞ、リゼル」

「ど、どうも」


 偽名を使う必要があったかなんて分からなかったが、予感はすぐに当たることになる。


 ギルドの中に入った時だった。

 屈強な戦士らしき男たちと、杖持ちの魔術師の女たちが俺を見るや、すぐに取り囲んで来た。


『おっと悪ぃ! コイツは新人のリゼルだ! 敵じゃない。そうだろ?』

 そう言われたら黙って頷くしか出来ない。


 ギルドに入りたいといった覚えは無いのに、何故か新人として紹介される羽目になった。


「え、えーと……城塞国ル・バランから来ましたリゼルです。よ、よろしくお願いします」

 あの国には狩猟ギルドしか無く、ユーベルとレグルスしかいなかったが……レグルスは元気だろうか。


「……ほぅ? ル・バランか。ギルドと認められないくらいの規模で程遠かったと認識しているが、そうするとお前は武装修道士か?」

「え、いや、俺は――」

「キャハハッ! 違うでしょぉ? この子、どう見ても弱そうだし。防御力の無さそうな外套なんだよぉ? 見る目無いよね、クラヴォスは~」

「ぬ……では何だ? そこまで言うなら答えられるんだろうな、リオネ」


 リオネと呼ばれる女性は、クラヴォスに言われるとすぐに俺に近づき、上から下までジッと何かを探るように見つめて来た。


「う……うぅ……」

「うん、うん……間違いない。この子は精霊使いってやつ! 本っ当に、見る目も無ければ区別も付かないね、クラヴォスはぁ~」

「そ、そうか。ル・バランにもいたのだな。しばらく地上に出ていない弊害が出てしまったか。俺もリオネたちを見習って出るべきか……ううむ」

「そうそう、出るべきぃ~! 外に出ると面白いモンに出会えるし、強い奴にも出会える。そうだよねぇ、リゼルくん?」

「は、はぁ、まぁ……」

「ん、ふふ……リゼル……ね」


 リオネと名乗る女性は何故か俺を見ながら、舌なめずりをしている。 

 何かを知っているとでも言いたそうな表情をしているが、会ったことは無いはず。

 

「ま、まぁいい。リゼルが精霊使いでも構わん! ここでするべきことを、リゼルにもしてもらうだけだ! お前たちも異論は無いだろうな?」

 クラヴォスの強い口調と凄みに対し、反論する人間はいないようだ。


「それならぁ~リゼルくんと一緒に動いてもよい?」

「……リオネがか? あいつらはどうした? 帰って来て早々に五区に行ったようだが……」

「そのことなんですけどぉ、報告が遅れましてぇ。その前に、リゼルくんは外で待機! はい、急ぐ!!」

「えっ、た、待機?」

「……急ぎなよ、精霊使いくん」

「は、はい」


 気のせいか、リオネの気配に畏怖を感じたが何だったのだろうか。

 とにかく、言われた通りにギルドを出るしかなさそうだ。


『ライゼルさまっ!?』

『わぅっ! 思った通り~! ルムデスさま、嬉しい!』


 ギルドの建物から出た直後、聞こえて来たのは、ルムデスの声と彼女に付き従う少女の声だった。

 ルムデスがここにいるということは、アインたちとは別れたのだろうか。


「ル、ルムデス……? っと、とりあえずこっちに」

「え、はい」

「わぅん!」


 俺の名前を聞かれるわけには行かないし、ルムデスたちにも、ギルドの近くにいられるわけには行かない気がした。


 色々聞きたいこともあるが、一先ず、門の外に出ることにする。


「こ、この辺りで」

 ルムデスともう一人の少女は、黙ってついて来てくれたようだ。


「ライゼルさまにここで再会出来るなんて、わたくしはとても幸運です! ライゼルさまが付けてくれたこの子の導きのおかげです!」

「わぅ!」

「へ? こ、この子は?」

「お忘れですか? 崩落した時に召喚されたキアですわ」

「キア……お、狼の? え、あれ? な、何で人間の姿に?」

「あの時すでに、この子はこの姿でわたくしの前に現れました。ライゼルさまの魔力、お強さであれば容易いことなのでは無いでしょうか? 耳だけは出たままですけれど、この世界でそれを気にする者はいないかと」


 キアと名付ける前は確かに狼で、それもバルカ段丘では手の付けられない魔物だった。

 それがまさか少女姿になって、ルムデスを守っていたなんて。


「キア?」

「わぅっ! ライゼルさま!」

「わぁっ!?」

「ふふっ、嬉しいんですよ。そのまま素直に受け止めて下さいませんか?」

「そ、そうだね」


 少女姿で獣耳を露わにしているキアは、従順な狼だと言わんばかりに、俺の顔をペロペロと舐めて来た。

 これは照れるような恥ずかしいような、いいのだろうか。


「ところで、ルナはどこに?」

「サーシャでしたら……」

 氷姫龍のリヴェルナは深い眠りについて、そのままルムデスにおんぶされた状態だったが……。


「――うっ!? か、体が凍り付いた……!? こ、これは……」

「ふふふっ、どうだー! 我は目覚めたぞ! ライゼルめ、ざまあみろ!!」

「ル、ルナ!? 目覚めていたんだね、そ、そうか。良かった……」

「ところでどうしてコソコソしている? 我はもっと堂々としたいぞ!」

「それなら、今すぐ氷を融かしてくれると……」

「――駄目だぞ。ライゼルはここでルムデスと一緒に待つ! 我とキアは退治してくるぞ」

「え、ちょっ――」


 身体の自由を氷で奪われてしまうとは、これは油断もいい所だ。

 ルムデスは嬉しそうに俺に微笑んでいるし、以上は何も言えそうにない。


「ライゼルさま、ここまでのことをお話します」

「う、うん……ところで、ルナとキアはどこへ何を退治しに?」

「……魔剣士の一人を、――です」

「えっ!?」

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