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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第四章:迷宮の先で待つもの

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85.迷宮都市リエンガン 3


 俺の名前と出身……そこまで自惚れるつもりは無いけど、警護兵をしている人間なら、知らないわけが無い。


 ここは口を閉じるか、あるいは……。

 そう思っていると、ルムデスが男の前に出た。


「……失礼。ご主人が何か――?」

「主人? すると、エルフのあんたに守られるほどの人間ということか?」

「どう取っても構いませんが、主人は素性を明かすことを嫌うお方。進むにあたって必要ですか?」

「ふ、そうではない。まぁいい。呼ぶのに困ると思っただけだ。他意はない。あんたは名乗れるのか?」

「……わたくしは、ルムデス・セイクレッドと申します」

「アインだ。ガルコット境界警護長の、アイン・カルナだ。よろしく頼む!」


 カルナ……? 

 アサレアと同じ名を持ってるのは、何か関係があるのだろうか。


 それにしてもルムデスの機転は流石と言わざるを得ない。

 彼女は名を隠す必要は無さそうだが、俺が主人ってどういう意味なのか。


「ええ、それで……この先の案内はあなたが?」

「おぅ! リエンガンに行くってことなら、途中まで案内をしてやろうと思ってな。そこの兄ちゃんにも伝えたが、ロードテアの人間には馴染みがある。そのよしみでそうしようと思っただけだ」

「……そうなのですか? ご主人様」

「えっ……? あ、うん」

「そうですか。それでは、あなたに一任します」

「――と言いたい所だったが、あんたらに失礼を働いたコイツらにも、護衛を兼ねてついて来てもらうことにしたぞ!」


 えええっ? 

 護衛なんてルムデスがいれば十分だし、むしろ襲って来る方だと思うのに、この人は何を考えているのか。


『おい、ベリル! それと、ラズ! こっちに来い』


 よりにもよって、ルムデスに因縁がありそうな奴を同行させるのか。

 すでに舌打ちしてるように見えるし、大丈夫そうに思えない。


「え、オレは?」

「オルモはガルコットに残って、外から来る者を見張れ」

「リエンガンに何がいるんすか?」

「……厄介な奴が来ているようだからな。オルモでは分が悪いはずだ」

「それって、上からの指示っすか?」

「そういうわけだ」


 よく分からないけど、魔剣士のことを言っているのだろうか。

 それとも……?


 単なる町民かと思っていたら、魔剣士とかに対抗出来る人間だったとか、ルムデスが警戒するわけか。


「ちっ、足手まといになんじゃねえぞ? 特にエルフ! 俺はエルフを守る義理はねえ」

「こちらも同じことを言おうと思っていました。くれぐれも、主人の邪魔をしないように……」

「え、ええ? ウチも護衛ですか~?」

「ラズは攪乱が得意だろう? それだけでいい」

「はぁ……」


 よく分からないまま話が進んでいるけど、リエンガンに行く途中までは、ついて来てくれるということのようだ。


 俺はともかく、ルムデスが傷つくようなことは避けねば。


「よし、ルムデスと精霊使いの兄ちゃんは、黙ってついて来ればいいぞ! もっとも、村を過ぎるまでは危険な目に遭うことはないだろうがな!」

「は、はぁ、どうも……」


 村に行けばノワがいるはずで、その先からが迷宮都市の入り口ということになるのだろうか。

 

 不安を感じながら、町から遠ざかろうとしていると、ルムデスが俺の傍に来て声をかけて来る。


「ライゼルさま。申し訳ございません……余計な者らを同行させることになってしまいました」

「まぁ、俺もルムデスも常に警戒して歩かなきゃいけなかっただろうし、途中まででも案内してくれるってことなら、いいんじゃないかな」

「ですが、あの者……ベリルという男は、エルフに対する何らかの怨恨が見えすぎています。とても心強い味方になるとは思えないのです」

「確かにね。でも、俺も君も負けるような相手じゃないだろうし、アインさんがいる間は大丈夫だと思うよ」

「……はい」


 エルフに対する恨みとか、目に見えて傷を負っているように見えないが、気に入らないだけなのだろうか。


『おい、兄ちゃん! そうビクつかなくとも村を越えるまでは、俺らを襲う魔物なんざ寄り付かんぞ』


 アインが言う通り、空間の広い洞穴は一本道になっていて迷うことも無ければ、魔物が出て来る隙間も無い。あるとすれば、明かりの無い薄暗さから来る不安感くらいだ。


 先頭は警護長のアイン、ラズという女が歩いていて、ベリルという危なそうな男が少し離れて歩いている。


 俺の傍にルムデスがいて、後方と前方に気を張ってくれている。

 守るのはむしろ俺の方なのに、主人と言った手前なのか、ルムデスの守りはここに来る前よりも厳重だ。


 後ろはガルコットの町があり、一人置いて行った男の腕を信じれば、危険な何者かが俺たちに近づいて来るようには思えない。


 松明たいまつを特に必要としない程度の暗さであって、町と村へ移動するだけなら心配いらないだろう……なんて思っていた。


『ここまで来たということは、己の弱さを克服したと見える。そうだろう? ライゼル……』


 う……っ?

 この声はまさか……。


 ルムデスは気付いていないし、前を歩くアインたちもまるで分かっていない。


 微かに頭上の岩から小石が崩れ落ちている……そう思っていると、どこからか崩れるような音が響く。


『ラ、ライゼルさまっ!!』


『――なっ!? ほ、崩落……!?』

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