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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第四章:迷宮の先で待つもの

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83.迷宮都市リエンガン 1


「……まさかこんな行き方だったなんて、わたくしは思わなかったです」

「し、沈まないよね? こんな移動の仕方は初めてだよ」

「エルフもライも情けないの! でも安心するの! このボートなら、すぐに移動出来るの」


 灰色の髪をなびかせながら、ボートの先頭ではしゃぐノワは、言わなければ死霊術師だとは誰も思わない。


 大柄な外套を着ていた彼女は、話せばすぐに言うことを聞く小さな女の子だった。

 

 死霊術師としての力は聞けば恐ろしいが、くりくりとした黒い目でジッと見つめる彼女は、悪心の無い素直な子だということが分かる。


「ふふっ、すっかり懐かれましたね。何て言葉をかけたのです?」

「えーとね……」


 責任を取るという意味は個々で違うだろうけど、ルムデスにも同じことを言っているし、今は明かさない方がいいかもしれない。


「な、仲間になって欲しい……なんてことをね」

「……細かくはお聞きしませんけれど、ライゼルさまも罪深くなりすぎませんように」

「い、いやぁ~」

「それはそうと、川下り……いえ、運河の流れに従うだけですが、この先の地下は相当長いように感じます。もしかすると、ここがそうなのでは?」

「え? それってまさか、迷宮都市のこと?」

「ええ、恐らく。あの魔剣士たちもそうですが、アサレアがここにいるとすれば、これまで以上に力を示さなければならないかもしれません」


 ロードテアで氷焔ひょうえんの息を吐いたルナは、深い眠りについてしまった。

 見た感じではただの昼寝のように、穏やかな表情で眠っている。


 召喚してそう時間が経たないまま息を吐いたのは、相当な消耗をしたということを意味するはず。


 死霊術師を味方にしたとはいえ、アンデッド化をさせる以外に彼女がどこまで戦えるかは未知数なだけに、俺の召喚とルムデスの敏捷びんしょうな身のこなしで、敵に対するしか無さそうだ。


「ライ~! 明かりが洞窟の奥に見える~! 地下の中に町~」

「ま、町?」

「……油断なきよう、ご準備を」

「え、う、うん……」


 そうは言われてもボートの流れに任せるしかなく、まずは敵の気配があるかどうかを見極めなければ。


 俺とルムデスは白の外套を身に纏い、ノワは髪色に合わせた灰色の外套を纏っている。


 外套と回復薬はロードテアで調達出来たので、彼女たちに万が一のことが起きても何とかなるとしても、狭苦しい洞窟なんかで奇襲を受けてしまうのは、避けたいところだ。


「フードを目深まぶかに被って、顔を隠しておこう」

「え~?」

「ライゼルさまの言うことを良くお聞きなさい! とにかく初めての場所は何が起こるか分からないんですよ?」

「う~……」

「注意をするに越したことはないからね。いいと言うまで頼むね、ノワ」

「分かった!」


 ルムデスの耳を隠せば、長身であってもエルフと気取られることは減るだろうし、ノワの髪色を訝し気に見られることも無いだろう。


 俺自身は魔剣士が待つ場所ということもあるし、どこへ行っても素性や表情を隠す必要があると考えている。 


 声の調子だけは隠しようが無いが、敵と判断されない限りは、無口を貫くのがいいのかもしれない。

 地上の空が視界から隠れると、鋭さを残す岩や石が頭上に見えて来る。

 

 天井の岩の水が所々からしたたり落ちて来るが、眼前に見える町からは、湿った雰囲気は感じられない。


 水の流れは洞内の中間地で止まり、そこからは歩いて進むしか無さそうだ。


「どうやらここから先に町があるようですね」

「そうみたいだ」

「ルナはわたくしがおんぶをして進みます。ライゼルさまは、先頭を進むノワの動きに気を付けながらお進みください」

「え、は、早いな。何で先に進んでしまうんだか……」

「アンデッドを作り出すという時点で、怖いモノ知らずということなのでしょうね」

「そ、そっか」


 ルムデスにとっては、死霊術師のノワの動きまでは面倒を見る気は無いように見える。

 これに関しては、俺のワガママなことも関係しているかもしれない。


「……死霊術師はライゼルさま同様に、簡単にはやられない相手。放って置いても、問題ありませんよ」

「俺も?」

「ふふっ、無自覚なのですか?」

「いや、何かごめん」

「わたくしは無敵ではありませんが、見損なわれないように致しますので、お許しくださいね」

「そんなことは無いよ! ルムデスは俺にとって――」

「そろそろ入り口のようです。今しばらくは、口をつぐみましょうか」

「……ん、うん」


 ノワの姿は近くに無く、俺とルムデスの足音が遠くまで響き渡っている。

 

 地下迷宮への案内とでもいうのか、洞穴の中は広く、それでいて外からは想像も出来ない程の賑やかさが俺たちを待っていた。


 岩肌に添うようにして木造の住居が立ち並び、どこからか調達して来た木片を足下に敷き、ゴツゴツとした岩を感じさせないような通路が整えられている。


『ロードテアからの亡命者とは久しいことだな!』


 う……っ? 

 これは俺たちに向けられた声なのか。


 洞穴内に響く声は、姿を確かめることが出来ない所から聞こえて来る。

 それともノワが捕まったのか。


「……ど、どうしようか?」

「ここで荒立ては避けたい所です。声の主の所まで進みましょう」

「そ、そうしよう」

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