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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:敵となる存在

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66.精霊神と穿ちの慟哭


『どうした召喚士。それで終いか? こちらはお前ごときを直ぐに切り裂くことが出来るぞ!』


 それをして来ないのは、俺の召喚の力と強さを甘く見ている、あるいは想定している強さがあるということなのだろう。


 もちろん出来なくも無いが、ルムデスと離れている以上、巻き添えする召喚は避けたい。

 

 彼女の表情は暗い洞窟内においてはハッキリと分かるものじゃないが、俺が見つめると、何とも切なげな表情で微笑んでくれていることが分かる。


 言葉こそ聞こえて来ないのに、俺を心配してくれている顔を見る、それだけで苦しくなるものだった。


 こうなれば精霊を使い、ルムデスだけでもここから離しておくしかなさそうだ。


「マリムに願いたい」

「あん? どうした、ライゼル」

「俺ではなく、君の守りをルムデスに使ってくれないか」

「それだとライゼルの守りは半減するぜ? 岩の硬さに守られているのをやめたら、あの人間たちに傷を負わせられることになる」

「……俺は精霊神を召喚する。だから――」


 四人の精霊妖精を降したことで、俺の脳裏には精霊の神の存在がよぎった。


 地神のマリムや、風のシルフ、エンテとレイム……その力だけでも魔剣士に勝てるのは違いないが、彼女を守ることは難しいと判断した。


「あ、あんた、正気かい!? 成功したらこの一帯は跡形もなく……いや、洞窟そのものはすぐに直すだろうが……」

「時間が限られているんだ」

「エルフの姉ちゃんを守ればいいんだろ? 仕方ないね。その代わり、しばらく精霊の力は使えなくなる。あたしもライゼルと意思を通じられなくなる」

「……それでも構わない」


 俺に応じてくれるのは主にマリムで、シルフは必要な時だけ。

 エンテとレイムは強さこそ優れているが、精霊の中では精神が不安定らしく言葉を介してくれない。


『どうしたどうした、召喚士――うっ?』

『精霊の気配を感じる。オルガ、取り逃がした責任を、後で貴様の命と引き換えに聞いてやる』

『くそ……精霊を使ってエルフを逃がしやがったな』

『ふん、都合がいい。あの召喚士の力を受けられるのだからな』

『それほどか? ミゼラ』

『……リオネさまのお手は煩わせません。私の実力でも十分に――』

『――防げ。ヤバいのが来るぞ』


 トルエノのような強大な闇の力を使えるわけじゃないことは、闇から解放されてすぐに分かった。

 それだけに、魔剣士たちが言っているギルド壊滅の話も、今となっては過去の力としか言えない。


『魔剣士たちに告ぐ……本当にいいんだな?』


「「「見せてみろ! 召喚士」」」


 複数の声が洞窟内にこだまする。

 

 この召喚が成功すると、たとえそれが闇に遠い存在だとしても、俺は再びトルエノに近しい存在になるだろう。

 それでもルムデスがこの場から離れた以上、もう深慮すべき心は必要ない。


『我、四精霊を統べる者……偉大なる統べの神、我に力の庇護を示せ!! 精霊神ヴィシュヌ!』


 ギルドどころか、恐らく数にして数十程度。

 その魔剣士に対して召喚すべき存在ではないと理解しているが、闇の力以外の強大な示しをするには、神と付く存在を呼ぶしかすべが無かった。


 そして――


 精霊神そのものの姿は見られなかったが、程なくすると目に見えていた光景が一変した。


 魔剣士が潜むネルヴァの洞窟は激震と共に崩れ、冷たく吹き荒れる風によって、洞窟を覆っていた厚い岩があっさりと崩れ落ち、頭上が穿うがたれて空が見えている。


 暗闇で紛れ、見えていなかった複数の魔剣士の姿は崩れ行く岩々そして、足下の亀裂と同時に地中に呑み込まれていく。


 叫びの声と幾つかの悲鳴は、呑み込まれと亀裂の”修復”と共に、姿そのものがかき消された。


 俺自身は、いくつかの光景をただ茫然と眺めていただけだ。

 精霊神は破壊と修復を即座に示し、泣き声に似た声をあげながら帰還していく。


 直後、全身の魔力と力が大幅に失われていく感覚に襲われ、俺はその場で膝を落としてしまった。

 状況は優勢ではないにもかかわらず、力の大半を失ってしまう。


 そんな状態を待たず崩された洞窟から外へ脱され、三人の魔剣士と俺だけが、足のぬかるんだ湿地帯で、対峙する。


『――なるほど、ギルドを壊滅させただけのことはあったか』


 声を発したのは俺を連れた女ではなく、初めて見る魔剣士だった。

 力無き魔剣士全てを失ったはずなのに、相手に動揺が見られないのはどうしてなのか。


 リーダーと呼ばれていた女は口元だけが見えていて、顔のほとんどは布で覆われて確かな姿を見せていない。


「何故姿を隠している? 俺を、敵を消すつもりがあるんじゃないのか?」

「……ふふ、膝を落としておいてよくほざく」

「仲間を失って何故、降伏しないんだ?」

「仲間? 魔剣士は群れをなしているというだけであり、仲間ではないな」


 リーダーの女が制しているのか、ルムデスを捕らえた男と俺を連れた女は、動きを見せる気配が無い。


「殺されたいか、召喚士」

「何を言っている? そんなはずが無いだろ! お、お前こそ召喚士を消すつもりがあるんじゃないのか?」

「……そうしたい所だが、この地帯ではエンチャントが半減するからな。貴様の命は迷宮都市リエンガンで絶ってやる。それまでせいぜい、生きて見せろ」

「ま、待――!」


 待てと行ったところで勝てそうに無かっただけに、湿地帯に救われたと言っていいかもしれない。


 やはりと言うべきか、光と精霊を得ただけでは精霊神を召喚する域には及ばず、達していなかった。


 ルムデスを巻き込まなかっただけいいとしても、魔剣士に命を救われてしまったのは失敗だ。


 膝を落とした場所がよりにもよって、湿地帯だなんて命こそ奪われずに済んだのに、このままでは自然と沼に沈んで行きそうだったりする。


 力を失って、意識も朦朧もうろうとし始めて来た。


 うう、このままじゃまずい。


 ルムデス、どうか無事で――

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