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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:敵となる存在

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64.魔剣士群の襲来


「ライゼル様、そ、それでは、体を泉で清めてまいります」

「う、うん」


 ルムデスが言った捧げの意味は、てっきり力の全てだと思っていた。


 それがまさか――


『何だぁ? ライゼルはエルフとは初めてかぁ?』

「そ、その声……マリム? え、何故」

『そりゃあそうだろ! アタシらはあんたの力なんだぜ? 普段は姿こそ見せねえが、心ん中の変化には気付くものさ。母親の温もりが欲しいんなら、アタシがいつでも……』

「そ、そんなんじゃない……」


 母さんの魂がルムデスに……とも思っていたが、そうじゃなかったと感じることが出来た。


『召喚士ライゼル。神聖のエルフを得ても、自惚うぬぼれることのないように』

「その声はシルフ? あなたまでそんなこと」

『あなたへの脅威が、迫りつつあることをお忘れなきよう……』


 姿を現さずに声だけ聞かせるとか、精霊妖精も意地が悪い。

 彼女たちは必要と感じた時とされた時に、真の姿と力を示すと約束してくれている。


 それでも妖精の力は、本来余程の危機にならないと使ってはいけないらしい。


「脅威って言われても……」


『……どなたとお話をされておられるのですか?』

 

 ――あっ。

 全身を森の泉で浴びたルムデスは澄んだ翠色の瞳をしていて、深紅に染まった過去を取り除いたかのような感じだ。


 銀色と金色が混ざった長い髪色も、一層綺麗に輝いている気がする。


「そ、そんなに見つめないで頂けると……」

「ご、ごめん」

「わたくしはこれまで以上に、ライゼル様の傍でご助力致したいと存じます」

「落ち着いたら出発しようか」

「はい、ライゼル様」


 妙な気分になりそうだが、シルフのいう脅威が迫っているとすれば余裕は無い。


「それじゃ、行こう」

「どこかアテはあるのですか?」

「この近くに村か町はあるかな?」

「近くではありませんが、ドリゼ湿地帯まで行けば村があると思います。そこに行けば、不意に襲われる心配は無いかと」

「ジメジメしてそうな場所に村が? 襲われないってことは人間の村じゃないってことかな?」

「ええ、そう思われても間違いではありませ――っ!?」

「うっ?」


 隣を歩いていたルムデスに突然吹き飛ばされた、そう思っていたが――


「ミゼラ、こいつだろ?」

「そうだ。エルフといる人間で弱そうなナリをしてる奴は、コレしかいない」

「ならここでって、リーダーに報告しようぜ?」

「いや、オルガはエルフを止めておけ。コレは私が始末する」

「女相手にやられそうなツラだしな。任せた」


 何だ、この連中。

 俺とルムデスに割って入った時の衝撃は、間違いなく魔法攻撃だったはず。


 それなのに見えているのは、一メートルはあろうかと思うくらいの大剣だ。

 両手剣持ちの魔法剣士?


「お前がギルド追われの召喚士か?」

「……」

「間近で見る大剣が怖いか、それとも女だてらに両手剣を持っていることに、びびっているのか?」

「な、何者なんだ?」

「ふん、口は利けるみたいだな。有無を言わさずの非道召喚士と聞いていたが、何をどうすればお前に負けるっていうんだ?」


 骨と魚の鱗のようなもので出来た黒褐色の鎧と、黒青銅のレギンス、大剣にはどこかの国に属する紋様らしきものが見える。


 ギルド追われと言っていたが、こんな連中にも伝わっているのか。

 ルムデスの方に向かったのは男のようだが、俺の前に立っているのは女の……


「お、お前は剣士……?」

「少し違うな。魔剣士を知らないのか? お前とエルフを引き裂いたのはこの剣。この剣に魔法の力を与えて振り下ろしただけのことだ」


 吹き飛ばされた時に見えた剣光は、そういうことなのか。


「お、俺に何を――」

「襲撃されたと分からない程、獣に守られていたのか。それとも、取るに足らない相手に見えるか?」


 話しながらも全く隙が無い鋭い目つきで、俺を見ている。

 この女がリーダーなのか。


『ミゼラ! エルフを捕らえたぜ! 召喚士は殺したか?』

『抵抗されずにか?』

『気配は感じたけどな! どうするよ?』

『……召喚士の強さを見ずに……というのは面白くないな。連れて行く』

『じゃあ、あいつらとネルヴァの洞窟に向かっておくぜ! ミゼラも早く来いよ』

『……』


 ルムデスが捕まったというのか。

 彼女の力であれば、魔剣士であってもそんな不利なことにはならないはずなのに。


「俺をどうするつもりがあるんだ?」

「召喚士、お前の名を聞かせろ」

「……ライゼル」

「忘れたか? ライゼルと名がつく召喚士は、ギルドの敵だ。敵にすることなど決まっている」

「エルフの彼女は関係ない。敵というなら、俺だけに剣を向ければいい」

「どれほどの化け物か、試させてみろ。私の仲間にお前の力を見せたところで、存在を消してやる」

「洞窟の中でか?」

「どこであろうと無意味に終わる話だ。エルフを取り戻したければ、示せ。簡単だろ?」


 今までの襲撃者とは違う。

 魔法だけではなく剣技もとなれば、容赦なく示すだけ。


 滅せず生かしたままで、光に還すことなど出来るのだろうか。

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