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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第二章:光を求める者

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60.精霊妖精とエルフとの旅立ち


 せっかくルムデスを召喚出来たのに、力を使ってくれないなんてどういうことなのか。


「あ、あのね、妖精たちは悪い存在ではないけど、俺の力を示す為にも君の力を示してくれないかな?」

「ごめんなさい……ライゼル様の言であっても、わたくしの力は精霊に示すものではございませんので……」

「えぇ~……そ、そんな」


 これは誤算だ。

 あの時呼べたルムデスは容赦が無かったのに、何故……


「召喚士ライゼル……神聖のエルフを召喚出来て何よりです。彼女を呼べたということが分かったので、この戦いは終わりとします」

「ど、どうして? まだ俺の力は何も……」

「いいえ、光を使うエルフを召喚した、それだけで十分です」

「え、あ、はぁ……」


 風のシルフの攻撃意思はすでに消えていて、穏やかな風が森を包み始めている。


 召喚士としての試練は終わったということなのか。


「と、ところでルムデスは誰かと一緒に行動していた?」

「ええ、アサレアさんとご一緒していました。ロランナ村に少しだけいたのですが、自由に動くことがままならない程の雰囲気でしたので、村を出ましたところ……」

「え、じゃあ、アサレアは一人残されてどこかに?」

「いえ、彼女はお一人でも問題なく動けるかと」

「で、でも、アサレアは合成するだけで、力は無いだろうし……」

「いいえ! それだけではありません。昔から知っておられるのでしたら、信じてあげてはいかがでしょうか」

「……ご、ごめん」


 ルムデスとアサレアの二人で行動を共にしていたのは聞いていて分かるけど、アサレア一人で大丈夫なのか?


 ロランナ村から近くに村は無いだろうし、賊にでも襲われてしまったら……


「ライゼル様、ご心配には及びません。アサレアさんの近くには、神鳥がおります」

「そ、そっか。それなら、うん」

「おい、ライゼル! さっきから何を心配してんだ? ライゼルにはアタシら精霊妖精の力がついたんだぞ。森からさっさと出ようぜ!」

「そうするよ。ルムデスはこのまま一緒に来てくれるんだよね?」

「もちろんです。この場に召喚を受けた身です。ライゼル様から離れる必要はございません」

「良かった」


 以前と変わらないルムデスのように見えるが、シルフへの攻撃を拒んだし、明確な意思を示すようになったのか。


「ライゼル。わたしたちは姿を自然の中に隠します。本来人間の姿で行動をしていませんので、ライゼルがわたしたち精霊を必要とした時には、名を呼び存分に使いなさい」

「分かったよ。その時が来たら遠慮なく呼ぶことにする」


 姉御肌なマリムだけでも実体を現わしてくれてても良かったが、姿を見せるのも力を使うということらしい。


「ルムデスと二人きりってことになるね。よろしく」

「……も、勿体ないことです」

「ここの森のトンネルは、すぐに抜けることが出来るはずなんだけど……」

「何か心配事でもおありなのですか?」

「俺を待ち伏せているはずなんだ。この森には入って来られなかったみたいだけど、森の外は果たしてどんな景色に変わっているのか……」

「今のライゼル様なら容易いことかと存じますわ。森に入る前に手痛い思いをされていたのが気にかかっておられるのですね。わたくしがお傍にいないばかりに、申し訳ございません」

「いや、確かに痛めつけられたけど助けられたから、キミが気に病むことは……」

 

 言ってから後悔したが、俺を助けたのはルムデスの敵であるユーベルだった。

 ユーベルのことは伏せるべきか。


「ライゼル様はトルエノに力を奪われた後、どこに飛ばされたのですか? そしてここに辿り着くまでどなたに?」

「あぁ、それは――」


 ルムデスにはユーベルのことを伏せつつ、俺の父親とのことまでを話した。

 生きること、生き進むことを選んだのもユーベルのおかげではあるが、味方になってくれたわけじゃなかったし、黙っておく方がいいだろう。


 深く茂った森の道を抜けると、見慣れないあぜ道が見えた上、外は漆黒の夜に包まれていた。

 待ち伏せしていると思われた人間たちの姿は無く、ひとまずの安心感を得る。


「夜になっていたのですね。精霊が作り出した森の空間は、時間をも遮っていたのですか」

「どうやら人の気配は無いみたいだけど、近くの村か町を目指そうか?」

「……迂闊に動くのは危険かと思います。本当の森では無いとはいえ、森を背にして暖を取るべきかと」

「ルムデスがそう言うなら……」

「それに、脅威なのは人間たちだけではありません。ライゼル様が姿を失ってから、異形のモノを含め、獣の気配が色濃くなりました。ライゼル様のお力は、人間に当てるだけでは無くなったかと思われるのです」

「異形の……?」

「ええ、トルエノに眠らされる前のことを覚えておられますか?」


 覚えているも何も、イゴルやルジェクたちを冥界送りにしたことを、ハッキリ覚えている。

 忘れるはずも無い。


 まさか闇の力を地上で放ったことが、異形のモノを刺激した?

 闇を支配していた俺はすでになく、今は四精霊と光だけ。


「冥界の……?」

「闇黒の力が開放された……これはライゼル様のせいではありません。ですが、敵となるのは人間……いえ、人間の憎悪を利用したモノなのです」

「表面上は人間で、中身は違うってこと?」

「全てそうではありませんが、そうなります」

「そ、そんな……俺のせいで……」

「ですが、ライゼル様は光を手に入れられました。闇に頼らずとも――!」

「えっ?」

「気配が近付いております。ご準備を!」

「に、人間?」

「……いえ」


 森を出てゆっくりする間も与えられないなんて、俺の運命は戦うことなのか――

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