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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第五章:戦いの始まり

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103.召喚士、神聖の裁きをくだす


 地底に響くようなかすれた声が聞こえて来たと同時に、静寂しきっていた辺りが不穏な空気と変わっていた。


「……裏切り者と追放者めが……」


 憎悪に満ちた目つきの男は全身に傷を負い、片腕を押さえ足を引きずりながら俺たちの前に立っている。


「……ふ、相変わらずしぶといな。ベリル……その傷は獣にでもつけられたか?」

「うるせえ……! てめえに関係ねえだろうが!!」

「――っと、その傷で動かない方がいいんじゃないのか?」

「裏切り者は黙ってろ! そこの追放者を殺す……殺すだけだ……そこをどけ!!」


 ベリルという男は当初、ルムデスを嫌悪していた。

 しかし今は彼女ではなく、クラヴォスを睨みつけ、その奥に立っている俺に憎しみの眼を向けて来ている。 


 この男とは直接的にやり合ってはいないのに、どうして俺に矛先が向いているのか。

 ベリルの後ろには数人の魔剣士らしき女たちが、その様子をジッと確かめているようにも見える。


「なるほど……ここでのことがリオネに伝わるということか。ライゼルに傷でも負わせれば、やり方をいくらでも変えられるとでも踏んでいるのだろうな」

「ど、どういうことですか?」

「この男の後ろにいる連中は手を出してこないが、監視と報告をする懲罰部隊だ。ベリルがお前にどこまでやれるかを見たうえで、リオネの元に伝わるはずだ」

「そ、それなら連中を抑えなければ」

「いや、手は出して来ないが実力揃いばかりで面倒だ。連中は俺に任せろ! 酷ではあるが、ライゼルはベリルを砕け。体力も魔力も存分に出せるのだろう?」


 クラヴォスの言う通りここにいる中では、疲労も無くいつでも召喚が出来る状態だ。


 弱っている相手に対してとどめを刺すのは、いささか躊躇してしまうが、ルムデスにさせるわけにはいかないことを考えれば、俺がやるしかないのか。


「ま、任せて下さい……俺がやります」

「頼んだぞ」


 裏切り者としてすでに知られているのか、クラヴォスの攻撃態勢を感じ取った連中もすぐに剣を差し向けている。


 多勢に無勢と心配しそうになるが、ルムデスの神聖魔法を耐えた人だ。

 魔剣士なりの戦い方があるのだろう。


「俺に任せろだと? 最弱召喚士が戯言ざれごとをほざきやがる……いいか! この傷はそっくりそのままてめえに返してやらぁぁぁ!!」

 深手を負っていたベリルだったが、なりふり構わず剣を手にしていた。


「――!?」

「ライゼルさまっっっ、危ないっ!」


 傷を負っているベリルが素早く動けるはずが無い……そう思っていた俺の油断が彼女を動かしてしまったのか、奴の剣圧でルムデスは防ぐ間もなく吹き飛ばされていた。


 どれほどの強さであろうと、一瞬で滅してしまえばいい……そう思っていたのを察したかのように、彼女は俺を庇い、俺の目の前で倒れた。


「ちっ、エルフごときが邪魔をしやがる」

 ルムデスが庇うことは想定していなかったとでもいうのか、ベリルは剣を持ち直し、次の動作に移ろうとしている。


「ル、ルムデス……! どうして、こんな……」

「……ラ、ライゼルさま、ご無事……です……か? 申し訳……ございません。どうか闇ではなく、光の力であの者を」

「ルムデス……ごめん。すぐに終わらせる……」

「ライゼルさまっ……」


 ダメージは深くなさそうだが、彼女の全身には複数の切り傷が出来ている。

 剣圧をまともに受けたことによる衝撃なのか、ルムデスは起き上がれないまま気を失ってしまった。


「へっ、順番が狂っちまったじゃねえか! エルフに守られる召喚士ごときが獣を使って俺を追い詰めやがって、その覚悟は出来てんだろうなぁ?」

「……守るのは俺の方だった。深手を負っているお前を見て、迷ってしまった……」

「面白れぇな! 最弱召喚士が迷うほど、俺は弱くねえんだよ!!」


 ルムデスを吹き飛ばした剣圧を俺にも喰らわせようとしているのか、ベリルはエンチャントを付与させた剣を大きく振りかぶり、俺に向かって放とうとしている。


 しかしその隙を与えずに、俺は召喚の言を唱えていた。


『我を守りし光の神よ……求むるは裁きの光……ガルダの御手よ、願わくば闇を払い、光へ還せ! ジャッジメント!!』


「――くそがぁぁぁぁぁっ……――!!」


 ルムデスの言葉を聞いていなければ、闇の言を唱えていたかもしれない。そう思いながら光のガルダの力を借り、ベリルを光に還すことが出来た。


「……よし」

 ガルダの力を得たままルムデスに触れると、その効果はすぐに表れてくれた。

 

「んん……ライゼル……さま? え、回復……」

「良かった!」

「この光……ガルダの力なのですね」

「うん。それと、あいつは光で還した。ルムデスに守られていなければ俺は、闇で滅していた。ごめん……」

「い、いえ……ライゼルさまの気配から闇を色濃く感じたまでで、ですから……」

「次はさせない。ルムデスを守ると決めたんだ。だから――」


 完全召喚と最初の契りによるものなのか、ルムデスとの繋がりによって、光の力が更に増しているような気がする。


 このまま光を強くして闇を抑え込めば、トルエノを完全召喚出来るのではないだろうか。


「……ライゼルさま」

「ル、ルムデス……」


『あーーー!! こんな所にいたーー!』

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