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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第五章:戦いの始まり

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101.魔剣士の真意


「どうした? その為にここに来たんだろう? 俺と戦えば、娘の行方を明かしてやるぞ」


 クラヴォスの言葉は信じがたいものだった。


 アサレアの行方を知っていたのは、フィアフルだけで魔剣士とは無関係……そう思っていた。

 それがまさか、魔剣士……それも俺を助けてくれた人から聞かされるなんて、そんなことがあっていいのか。


「……何故こんなことを」

「娘がリエンガンに来ただけなら、捕らえることは無かった。だがお前の名を口にしたことで、状況が変わったのだ。噂に聞く召喚士に近づくことが出来る者を捕らえれば、容易くなることだろうとな」

「彼女は何も知らずに来たんだ。俺と会う為じゃない!」

「そうだとしても、お前は魔剣士()と戦う運命にあった。遅かれ早かれ……な」


 助けた相手と戦うことに何の意味があるのか、それでもアサレアのことを聞くには戦うしかないのか。


「あなたに勝てば案内をしてくれる……それで合ってますか?」

「ふ……本気でやってもらって構わん。俺が倒されても、お前に会わせる様に頼んであるからな!」

「分かりました。召喚をして戦います。ですが、いいんですね? あなたはすぐに後悔することになる……」

 

 彼とは戦いたくなかった。

 助けられたのにすぐにその人と戦うなんて、そんなのは理不尽すぎる。

 

「――召喚しないのか? ならばこちらから行くぞ」

「――っ!」


 クラヴォスは魔剣士ではあるが突進で繰り出す剣士スタイルのようで、距離を取って戦う俺とはまるで戦い方が異なりすぎる。


 間合いを取る間もなく、クラヴォスは前傾姿勢で腰を落とし、そのまま突っ込んで来る。


 彼との距離は数十メートル、他の魔剣士のように不意打ちで仕掛けて来るわけではなく、召喚をする間を敢えて与えてくれたようにも見える。


 これならすぐに召喚出来そうだ。


「せぃあっ!!」

「あっ……」


 召喚のげんを唱える暇はさすがに与えられず、クラヴォスの剣は俺の頬をかすめ、剣先からは炎系の魔法がほとばしっていた。


「……なるほどな。やはり聞いていた通りか」

「え?」

「お前と似た召喚士の男が言っていた。ライゼルに魔法のたぐいは一切効かないとな!」


 やはりフィアフルは魔剣士と遭遇していたのか。

 その上でアサレアを引き渡し、何らかの交渉をしたとすれば合点がいく。


「魔剣士の特性はすでに掴んでいるようだな。エンチャントで高めた魔法剣の威力ですら、驚かぬとは」

「避けられなかっただけで……その余裕は俺には」

「お前にも見せてもらうぞ。どれほどの威力、そして地上の人間を滅ぼしたという片鱗を見せてもらう」

「――いいんですね?」

「ふ……」


 この戦いをすることで、クラヴォスは俺に何をさせようとしているのか。

 本気で殺す気なら互いに言葉を交わすことなど無く、召喚をさせる間も与えて来ないはず。


 さっきのエン系攻撃も、決して渾身の攻撃には思えなかった。

 それでも召喚の力を見くびっているのだとすれば、容赦なく繰り出すしか無い。


『……我、神聖を統べる者……我は求む。けがれ無き神聖の光を以ってこの場に示し、我を守れ!』


「――む!?」


 唾を飲み込むことの出来ない渇きと共に、辺りの空気が一変する。

 召喚したのは神聖の使い手にして、最高の守護者といっていい。


 まばゆい光が一面を覆い、俺とクラヴォスのいる空間を明るく照らす。

 完全な契りの召喚は、どこにいても直ぐに会える魔法となった。


『我が主に盾突き光阻む者よ! 我が神聖の裁きを受けよ……セイクレッド・リクティ!!』


 これは召喚試練で呼び出した時と同じ技だ。

 光の熱さと痛みは一瞬にして広がり、容赦なき神聖の光がクラヴォスを包みだした。


『ぬぅっ……あいつらでは足止めすら出来なかったわけか』


 クラヴォスは手にしている剣を中央に構え、その身を覆う光に対し垂直に振り下ろした。


 エン系をまとった剣で切り裂かれたかと思われた光は、クラヴォスの四肢を覆って、その身を焦がし始めている。


『……腕と足を持って行かれたか』


 武器と神聖魔法では衝突のきしみこそ無かったが、光が消えた時に残っていたのは、四肢を失ったクラヴォスの姿だった。


「――あっあぁぁぁ!」

「ライゼルさま……申し訳ございません」

「い、いや、ルムデスのせいじゃない……でも、でも……」


 完全召喚で呼び出したルムデスの神聖魔法は光に加減が無く、どんなに防御力に長けていようとも受け止めることは不可能に近い。


 彼は手持ちの剣で切り裂こうとしていたが、まさか光に呑み込まれてしまうとは……。

 

「……はははっ、大した力の持ち主……いや、エルフだけではなく、ライゼルの召喚で呼ばれたからこその強さということか」

「そ、その四肢のこと、俺はどうすれば……」

「……ライゼルさま」


 敵である以上、手加減するわけには行かなかったとはいえ、また俺はルムデスを使って相手を消そうとした。


 神聖のルムデスを呼び出しても、闇の力の方が戻りつつあるのだろうか。


「そう落ち込むな、ライゼル。お前がどの程度か知るためにけしかけた。それだけに過ぎん」

「――え」

「俺は元々、全身が義肢の魔剣士だ。光で消されてしまったが、妥当な所だろう」

「ということは?」

「お前の力、召喚の程度をこの身で確かめたかった。そして確信出来た……お前は我ら魔剣士よりも、悪に染まってはいないとな。お前の大事な者に会わせるため、俺は裏切りを貫くとしよう」

「そ、そうだったんだ……は、はは……」

「だ、大丈夫ですか!?」

「こ、腰が抜けた……」


 義肢の魔剣士クラヴォスに試されていたことが分かり、安堵した。


 魔剣士の中にも敵と味方が入り混じっているのだとしたら、リエンガンを攻略するのは、容易なことじゃなさそうだ。


「ふ、俺は外に出ずに平穏を過ごした魔剣士だ。あいつらに叛くことになろうとも、客人に刃を向けるつもりは無い」

「それでもあなたは何故味方を……一体何者なんですか?」

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