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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第五章:戦いの始まり

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99.仲間との離別


「リゼルくん、木剣これを持ってくれるぅ?」

「あっ、と……と」

「ソレは君の為に作ったものだから、肌身離さず持っててね」

「は、はい……うっ?」

「キャハッ! じゃあギルドにね?」


 見た感じは木で作られたただの木剣ぼっけんに見えていた。

 だが俺に渡った木剣からは、何かの異変を感じてならないが、その正体は掴めない。


「あ、あの、ラ……リゼルさん! わたくしはお待ちしています……ですから、どうか!」

「――! うん、分かった」


 ルムデスと再会出来たのも束の間、リオネと関わってしまったばかりに、彼女とは行動を共にすることが出来ないようだ。


 二人の間には、俺の知らない何かの因縁があるのだろう。

 今は俺だけでも場所と人を知る機会を得て、時機を待つしかない。


 俺と契った彼女らは、どこにいても召喚出来る。

 ルムデスはそのことが分かっているからこそ、素直に俺と離れたし、食い下がることはしなかった。


 リオネが何者なのかは分からない。

 もしかすれば、俺と一緒に来てしまうと、状況が悪くなるということに繋がるのかも。


「……それでは」

 一言だけ残しルムデスは踵を返し、そのまま旧市街の方に向かって歩いて行ってしまった。


「大事なエルフ?」

「え、まぁ……」

「すぐに会える……必ず、ね」

「え?」

「さぁて、もっかいギルドに行こうか~! 紹介出来てない子もいるんだよね」


 ルムデスやルナ、キア……それに、イビルとノワの行方も気になるが、とりあえず事を荒立てるつもりは無いので、素直にギルドについて行くことにした。


『戻ったよ~! リゼルくんも無事に確保!』


 半ば強引に腕を組まれながらギルドに入ると、申し訳なさそうなクラヴォスが声をかけて来る。


「精霊使いなのに、すまんな! てっきり同志だとばかり思っていたものでな。なに、悪いようにするつもりは無い。それについてはリオネにキツく言われた。心配するな!」

「い、いえ、よくは分かりませんが、クラヴォスが気にすることでは……」

「ふむ、それもそうだな。後のことはリオネたちに任す。俺は別な用が出来たから失礼するとしよう! ではな、リゼル」

「あ、はい」


 気さくな人で良かったが、忙しいのか早々にギルドを出て行ってしまった。

 クラヴォスが出て行ったギルド内は、妙な緊張感が増した気がする。


『はい、みんな注目~!』


 そんな中リオネは、俺を部屋の中央に立たせて、一斉に注目を集めさせた。

 俺を見ている連中は全て女性で、その気配は普通の民とは違う物々しさがあるような感じだ。


「ほら、紹介してくれるかな? 精霊使いくん」

「あ。お、俺は……ル・バランから来ましたリゼルです。よ、よろし――」

「ル・バラン……ね。それより、木剣だけじゃ訓練にならないから盾もあげるよ。この街区にいる時は、常に戦闘態勢でいなければならないから、武器と盾は持っておこうね」

「リオネさん、ありがとうござ――」

「……気にしないでいい。その剣と盾を身に付けてくれさえすれば、こちらとしても好都合……だよ」


 すでに渡されていた木剣に加え新たに渡された盾は、俺でも持てる軽量の盾で、獣からなめされた革と青銅に固定された木で作られている。


 剣と盾をじっくり眺めると、リオネの肌に見られるような紋様が施されているように見えるが、ギルドの壁にも似た紋様があるので、恐らくこのギルドのことを指すのだろうし、気にすることでもないだろう。


「リオネさん、あの」

「呼び捨てでいいよ。リゼルくん。何?」

「えっと、戦闘態勢でいなければいけないってのはどういう意味なのかな、と」

「あぁ……そういうことなら、外に出ればすぐに分かるよ? ここはリエンガン戦闘街区の一番目……一番多いところだから、弱い君でもすぐに剣士になれる……」

「戦闘街区!? 剣士……? そ、そんな、じゃ、じゃあここは……」


 後ずさりながら部屋の扉に向かおうとすると、リオネは笑みを浮かべながらその正体を現して来た。


 ルムデスとのつばぜり合い、ただならぬ気配、ここまで無警戒な自分が嫌になりそうだ。


「精霊使いのリゼル……いや、召喚士ライゼル・バリーチェ。約束通りにリエンガンに来たことは、褒めてあげるよ! ふふ、洞窟での力はしっかりと見せてもらった。あのエルフを守る為の力ってのもね」

「リオネ……お前は魔剣士なのか?」

「ネルヴァの洞窟では、君に近づくことは無かったからな。エルフにはさすがに気付かれたが……」

「お、俺をどうするつもりなんだ? リエンガンで見せしめにするつもりか?」

「戦闘街区の五番目に行った時にそうさせてもらうけど、今はギルドの新人として敵と戦ってもらおうかな」

「敵? 何を言うかと思えば、敵は俺だろ?」


 ギルドの部屋にいる他の連中は、殺気を出してはいるものの、リオネに気圧けおされているのか近付いても来ない。


 リエンガンに来いと言ったのは、紛れもなく魔剣士の連中だ。

 それなのに今すぐ俺に刃を向けて来るどころか、捕まえようとしないのは何故なのか。


「今の君では精霊も呼べないだろうし、召喚も出来ないよぉ? だから敵にもならない……」

「敵にもならない? 俺がここで召喚をすれば、戦闘街区……ギルドもろとも消すことは簡単だ。何故そう言い切れる?」


 周りの女たちも含めて笑みを浮かべているが、まさか……。


 手にしている木剣と盾を見たがすでに遅く、紋様が色濃く出ていると同時に、自分の中の力が封じられているような感覚に陥っている。


 これは召喚試練で感じていた時と似た症状で、上手く言い表せない感覚だ。


「そう、それは普通の木剣でもないし、盾でもない。化け物の力を封じるものだ。それらを手にしているお前なぞ、怖くも無ければ今すぐ手にかけることなど容易いことだ……お分かりかな?」

「……く、そ」

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