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「それで、お披露目のドレスは決まったの?公爵家の婚約式なんてものすごく準備が大変そうたけど。出席者を覚えるのも大変そうねーーーこのお庭もどこかの王族みたいな規模よ」
「キャロラインは頭が痛くなるようなことを思い出させるのね。お披露目は公爵夫人としてダイアナ様が取り仕切ってくれるのーー庭は管理が大変そうよ」
リリアナがリーフェンシュタール公爵家にやって来て1週間、アークが言っていたように公爵家にリリアナの友人3人を呼んで茶会をしていた。
「今日はねお父様が公爵家にお邪魔するならって、新しいドレスを用意してくれたの!リリアナの婚約式用にもまた買ってくださるのよ」
と喜ぶマリア。どうせなら、リリアナが婚約式のドレスを選ぶ際も同席して見方になってもらいたいと思う。この前初めて、仕立て屋を公爵家へよび、ドレスを準備するときも、ダイアナとヴィヴィアンが盛り上がって大変だった。結局、収拾がつかずにアークが2人を部屋から追い出して、婚約式のドレスを選ぶはめになったのだ。
「婚約式にはユーリスアークライト様のご友人にも会えるのかしら」
と婚約者がいるのにはしゃぐアンナ。婚約者にバレて関係が壊れても良いのかと不思議に思う。もしも、リリアナが友人たちの婚約式に出掛けて、他の男性に浮かれようものなら、アークの制裁が待っていそうである。考えたくもない。
「リリアナ?黙っちゃって、大丈夫?何か達観してるけれど?ーーーそれにしても涼しくて快適ね!これもユーリスアークライト様のおかげなのでしょう?」
マリアが不思議そうに周りを見渡し、涼しさの発生源を探している。
友人たちと茶会をしているのは、広大な面積を誇る公爵家の庭園である。花をテーマとした庭園内の区画にテントをはり、リリアナ達は優雅に最高級のお茶を嗜んでいた。
今日は天候にも恵めれ快晴になったお陰で、外気温も急上昇。直射日光が当たらないとは言え、テント内も少なからず暑くなっても、おかしくはない。
それでも、温かな紅茶がちょうど良いと思うほどに、テント内は風の精霊によって快適な温度に保たれていた。
「精霊魔法って、行使する側には負担がかかるのよね?それをさらっと使っちゃうくらい、ユーリスアークライト様にとって、リリアナが大切ってことかしら?」
「まぁ!素敵ね!」
キャロラインがリリアナを茶化すと、アンナが囃し立てた。
「アークは魔力が規格外なのよ。みんなも知ってるくせに…」
リリアナがため息混じりに呟くと、キャロラインは確かにーーと頷いた。
「ユーリスアークライト様の魔力は産まれた時から帝国内でも最高峰だとか。確か、お名前はその当時の精霊魔法師のトップがお付けになったのよね?」
「ふぅーん。だから個性的なお名前なのね」
博学のキャロラインがリリアナに訊ねると、勉強嫌いのマリアが今更な感想を述べた。
「キャロラインは何でも知ってるのよねーーーそうよ。皇太子様のお名前を付けた魔法師さまと同じだと聞いたわ。魔力が強いとそれをコントロールできるように名前を長くして魔力を込めるんですって」
リリアナが昔、アークから聞いた説明を伝えるとアンナは不思議そうに顔を傾けた。
「でも、皇太子様のお名前ってユーリスアークライト様より短いわよね?」
ーーーそれは帝国内のタブーよ、アンナ…
アンナの素朴な疑問に、ここが夜会などの不特定多数の人間がいなくて本当に良かったと思う。
通常、魔力が強ければ強いほど2つの名前を合わせたような長い名前になる。皇太子の名前がアークより短いのは、それだけアークの魔力量が皇太子よりも多いということを意味する。
それは貴族の誰もが口に出さないタブーであった。
「アンナ、ちょっと口が軽くなってるのかしら?いくら公爵家の嫁のリリアナの友人でも、さすがに皇太子を侮辱する発言はまずいわよ」
キャロラインがアンナを諌めると、アンナはしゅんと反省し小さくなった。
「いや、まだ嫁じゃなくて婚約者なのだけれども…」
「もう、リリアナったら照れちゃって。すでに同じ屋根の下に住んでるのだもの次期公爵夫人に確定じゃない。今日だってリリアナ主催の茶会を公爵家で開いているのに」
リリアナがキャロラインの言葉を訂正すると、マリアがそう言ってからかってきた。今日はいつもよりからかわれる回数が多いと、リリアナは少しげんなりしてきた。
「ふぅ…茶会はアークが友人達をお屋敷に呼んでも良いって言うから開いたのよ。まだまだ私は居候の身分ーー」
「いいや、リリー姉さまは次期公爵夫人の立場で間違いないよ。」
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