表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/59

43

 

「リリアナが元気そうで安心しました。昨日は本当にごめんなさいね。外せない夜会で外出させて貰ったの。リリアナにはユーリスがついているでしょう?だから、安心して夜会に出席したんたけど、やっぱり、義母としては家でお嫁さんの心配をすべきだったわよね。ごめんなさいね、リリアナ」


 ーーと反省したように目を伏せてダイアナはリリアナに謝罪を述べた。リリアナは食事の後、ダイアナのいる温室へ急いでやって来て、昨日の詫びをしようとした直後だった。

 リリアナとしては、先に公爵夫人に頭を下げられてしまい恐縮しきりである。ちなみにアークは、昼近くまで休んでいたので執務室へと連行されていった。温室にはダイアナとリリアナ、それとメイドが数人控えている。


「こちらこそ、公爵家にお邪魔して直ぐにご挨拶に伺うべきだったのに、ご挨拶が遅れてに大変申し訳ございません。今日もゆっくり寝てしまい、公爵夫人であるダイアナ様へのご挨拶が遅れましたこと、誠に申し訳ございません!」


 リリアナが勢い良く、謝罪の言葉を捲し立てあげると、ダイアナは寂しそうに微笑んだ。


「やっぱり、昨日の外出は失敗だったわね。お嫁さんにこんなにも気を使わせた言葉を言わせるなんてーーーリリアナ、私はユーリスのお嫁さんとしても義娘としてもあなたのことを大切に思っているのよ。そんなに距離のある考え方をしないで、もっと気楽に接してほしいわ。小さい頃みたいに、おばちゃまって呼んでいたときみたいにね」


 とダイアナは少し笑って、重たくなった空気を変えるように、リリアナにお茶を勧めた。


「リリアナもユーリスから聞いてると思うけど、婚約式をリーフェンシュタール公爵で行うことになるわ。ドレスやアクセサリーなんかは公爵家が仕立て屋を呼ぶから心配しないで。急いで準備を進めて、リリアナの入学式前までに夜会を開いて婚約を披露しなきゃね」


 招待客や屋敷の準備はこの義母に任せてちょうだいーーと笑ってダイアナが言うので、リリアナは困惑しながら頷く。


 ーーー公爵家の婚約式のしきたりなんて全くわからないから、申し訳ないけれど、ダイアナ様を頼るしかないわね…


「リリアナの希望があれば、いつでも教えてね!できるだけ希望に添えるように公爵家の威信をかけて対応するから」


 ダイアナがふざけてそう言うと、回りにいたメイドも賑やかに頷いた。


「あ、ありがとうございます…それと、申し訳ありません、婚約式について理解していなくて、これからきっと何かとご迷惑をおかけしてーーー」


 ーーーぱちんー!


 リリアナが恐縮しきっきりで、ダイアナに低頭して伝えると、ダイアナはリリアナの言葉を扇子で遮った。


「リリアナ、先ほども伝えたように私は貴方を大切に思っておるわ。そう実の娘のようにね。だから、そんなに壁を作って話をされるのは嫌なのだけれど?」


 リリアナはダイアナの言葉に僅かな苛立ちを感じ、ますます縮こまってしまう。


 ーーーどうしよう!公爵夫人を怒らせてしまった…どう言えば正解かわからない!!


「お母様、それではリリーお姉さまが余計に気に病まれてしまうわ。お母様様とこんな風にお茶をされるのも数年ぶりと聞いています。リリーお姉さまの事を大切に思うのならば、ゆっくりと時間をかけなくては」


 ーーー!ヴィー!!助かった!


 リリアナがダイアナの機嫌をつかみ損ねて困っていると、温室にヴィヴィアンがやって来た。同じ公爵家の人間だが、頻繁に手紙のやり取りをしているため、公爵家の中ではアークの次に気の置けない存在だ。


「!まぁ!(わたくし)としたことが!リリアナ、ごめんなさいね。あまりに急ぎ過ぎていたわ」


 許してちょうだいねーーとヴィヴィアンに諌められたダイアナは申し訳なさそうにリリアナに謝った。公爵夫人として、帝国の頂きに君臨するダイアナは、つい口調が厳しくなりやすい。リリアナの少し青ざめた顔に、やってしまった!!と心の中で猛省をしていた。


「い、いいえ。こちらこそ、公爵夫人であるダイアナ様のご意向を汲むことができずに…」


「もう!リリーお姉さまも謝んないで!お母様なんて、ただのお世話好きのおばさんとでも思えば良いのよ!!」


 度重なる公爵夫人の謝罪に余計に恐縮しきりのリリアナの言葉はヴィヴィアンによって遮られ、ダイアナは実娘におばさんと呼ばれてしまった。


「ヴィヴィアン!もう!貴方は少しはリリアナを見習ってーーー」


「お母様が気楽にして良いって言ったんじゃない?」


「ーーー貴方はねぇ!」


「ーー母上もヴィヴィアンもなにやっているのさ」


 親子の口喧嘩が始まりそうになったとき、パトリックが呆れながら温室へとやって来た。


「リリー姉さまが気に病みそうなことはやめなよ。兄上に怒られても知らないんだから」


 パトリックがダイアナとヴィヴィアンに釘を刺すようにそう言うと、ダイアナとヴィヴィアンは、うっ!と言葉に詰まり大人しくなる。


 ーーーアークって、そんなにも恐いの?公爵家の中で最強なのかしら?


 パトリックの一言で大人しくなった温室内に、リリアナはアークを怒らせないようにしなくてはと心に留め置いた。


「リリー姉さま、明日は仕立て屋を呼ぶって、兄上からの伝言だよ。婚約式とかこれから出席する夜会とかのドレスを用意するって。母上とヴィヴィアンも、ちゃんとリリー姉さまを支えなきゃダメだよ」


 パトリックが2人を諌めると、ダイアナが再度、リリアナに申し訳なかったと謝罪を述べたが、恐縮しきりのリリアナは、今後公爵家にうまく馴染めるか早くも不安になった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ