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 それから友人達3人と、家族や兄弟達の近況を互いにわいわい話しあった。

 キャロラインの家では今度、兄夫婦の子供が産まれるらしい。落ち着いたら皆で赤ちゃんを見に行こうとアンナが提案した。


「でも、キャロラインのお兄様達にご迷惑じゃない?皆でぞろぞろ見に行くのって」


 とリリアナが言うと、アンナが頬膨らました。


「普通なら、お断りするかも知れないけれど…、たぶん大丈夫だと思う」


 とキャロラインが珍しくアンナの無茶振りを肯定する。


「本当?!やったー!!そうだ、お祝いの品を皆で考えましょうよ!」


 とアンナが言うと、キャロラインが皆で買い物に行きたいのねーーと笑った。


「でも、お嫁さんは怒らない?出産後は忙しいだろうし、出産のお祝いを贈るだけにしましょうよ」


 リリアナが1人心配すると、キャロラインは分かってないなぁ…という顔をして答えた。


「気遣い無用よ、リリアナ。おそらく、お兄様は喜んで、特にリリアナの訪問を歓迎するから」


 ーーーへ?


「今をときめく、リーフェンシュタール公爵家嗣子のご婚約者だもの。あわよくばご縁を結びたいと思う人間は多いわよーーあぁ、安心して。うちの家は特に野心はなくて、ただ公爵家のフィアンセの訪れで泊がつく程度にしか考えないから」


「…念のために、アークに確認してからキャロラインの所にお邪魔するね」


「分かったわ。何なら、ユーリスアークライト様も同伴でも構わないわよ」


「わぁ!いつも遠くから見てるだけだったけど、1度、ユーリスアークライト様とお話ししてみたかったの!!」


 アンナがきゃっきゃっと喜ぶが、リリアナにとってはウンザリである。アークを呼べばリーフェンシュタール公爵家とキャロラインの家との繋がりが噂されるが、リリアナはそれを望んでいない。

 そんなことをすれば、リリアナはアーク寄せパンダとして、いろんな場面で利用されてしまい、参加したくない集まりにまで出ないと駄目になりそうだ。

 というより、アンナはいつもアークを遠くから見ていたのか。


「…アークと会って話をしたいなら、アークが男爵家の屋敷にやって来たときに皆を呼ぶわ…」


「本当!?すごーい!公爵家の人と話をしてみたかったの」


 マリアもまるでアイドルに会うように嬉しそうに声をあげた。


 ーーー今度、アークの都合を聞かないと…


 公爵家嗣子と婚約すると、いろいろ都合を合わせなくてはいけないのかーーとリリアナは、今更結婚に逃げ腰になってしまいそうだ。


「アンナもマリアもはしゃぎ過ぎよ。ほら、リリアナがうんざりしてる。友人の婚約者に浮かれすぎだわ」


「ーーっ!リリアナ、ごめんなさい。はしゃぎ過ぎちゃったみたい」


 キャロラインはリリアナのうんざりした表情を見てアンナとマリアをたしなめると、2人は少ししゅんと肩を落として、リリアナに謝罪をした。

 そして、反省した態度を見せた2人のために、その場の空気を変えようと、キャロラインが明るく違う話題を投げ掛ける。


「そういえば、ここにいる4人は来年度学園に入学するのよね?準備は進んでる?」


 ユーダイヤ帝国の貴族学園に入学するのは通常、16歳前後である。リリアナ達は年の差が1歳前後であり、同じく来年度に入学を控えている。


 学園のカリキュラムは、基礎教育課程1年の後、貴族令嬢であれば、淑女科を1、2年ほど学び卒業する者が多い。

 一方、貴族令息は、基礎教育課程の後、魔法騎士科、騎士科、官吏科、魔法科等の専門過程に進む。

 それぞれの道で研究や、研修しながら働き3~4年で卒業するのだ。中には、貴族令嬢で専門過程に進む者もいるが、極僅かである。


 ちなみに、アークは魔法科の2年で次期生徒会会長である。


 ーーー次期生徒会会長で、次期筆頭公爵って、かなり目立つ存在よね…


 リリアナが自身の婚約者のハイスペックさにため息をつくとキャロラインが心配そうに話しかけてきた。


「リリアナは、ユーリスアークライト様の婚約者として注目を浴びるわよね?さっきも、言ったけれど、ルーシャ王女の留学の件もあるし。何かあればすぐにでも私達に相談してね」


「ありがとう、キャロライン。なんだかいろいろ実感が湧かなくて。お姉さま達の婚姻も、今後あるのに頭がついていかないの」


「レベッカさまもメアリーさまも、もうすぐお嫁に行ってしまうものね。学園の準備が大変なら、私も手伝うわ」


「「私にもなにかあれば言ってね!」」


 アンナとマリアも力になると力強く宣言をしてくれ、友人達のお陰でリリアナはかなり憂鬱だった入学式が、少しだけ楽しみに思えた。


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