表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
21/65

鈴風のことだからウッキウキでテレビカメラの前に立ってたんだろうな

第二章完結

三章ではクラスメイトの祖母を助けるために、諒と鈴風が京都の占い師と対決します。

 次の日。

 朝起きた俺は、朝食を食ってる父親の前に座ってテレビをつける。

 地元局の報道番組が流れていた。


『こちら、京都市××の瑞楽神社。一見なんの変哲もない普通の地元の神社ですが。なんと重い犯罪に手を染めていたのです』


 テレビに写るレポーターが言う。俺は思わず面食らった。


「怖い事件だな。諒は『神様に会える』なんて話はむしろ嫌がるタイプだから関係ないと思うが」

「そ、そうだな……」


 それ、昨日俺が巻き込まれたやつだ。ちなみに俺が謎を解いて、逮捕された職員の田中ってのを自首させたんだよ。ほら今テレビに写ってる若い男。

 なんて言えるわけがないので、俺は逃げるように台所に立ち、朝のホットミルクを暖めた。

 再びテーブルに戻り、ミルクを啜る。俺がキッチンにいる間、テレビはLSDの解説を行っていたらしい。


 場面は変わり、一般人へのインタビュー。


『神野岬町在住 Nさん(16)』

『いやー驚きました。部活で昨日訪れた神社で、まさかそんなことが起きていたなんて』


 ぶーっと、俺は口に含んだ熱い牛乳を噴き出した。

 げほげほとむせかえる。


「なにすんだ諒!」


 父が激昂する。当然だろう。突然息子から牛乳をぶっかけられたのだから。

 俺はただ平謝りしかできない。


 鈴風だ。


 顔にはモザイクがかけられ、声も変えられてるが、毎日あの顔あの声を見聞きさせられてる俺にはわかる。今インタビュー映像が流れたのは、間違いなく中大路鈴風だ。

 俺は急いでぶちまけた牛乳を掃除して、服を着替え、家を飛び出す。向かうは当然ながら部室だ。


「今日もいい朝ですね。諒さん」


 部室にて、新聞を切り抜いてる鈴風が言う。


「うるさい! お前のせいでこちとら日曜朝の気分は台無しだぞ!?」

「あ、もしかしてプリキュアと仮面ライダー見逃したことを怒ってるんですか? 安心してください。私も録画してますので、明日にでもDVDに焼いてお貸しします」

「そういうことじゃない!」


 そもそも俺はニチアサアニメや特撮は見ない!


「なんだあの街頭インタビュー」

「あれですか。実はですね。私、今朝の朝刊を買い集めてたんです」


 鈴風は、テーブルの上におかれたたくさんの新聞を指し示す。


「それで瑞楽神社に行ってみたらビックリです。テレビ局が何社か来てました」

「で、自らを押し売りしたと」

「人聞き悪いこと言わないでください。ただおじさんたちの前で、なにもわかってないふりしておろおろしてただけです」


 案外悪い女だな。お前は。


「それにしてもすごいですよ。新聞の地方欄には大体載ってます。地元紙の京都新聞に至っては一面記事です」


 頭が痛い現実を見せつけてくるのはやめてくれ。頼むから。

 あの後、嵯峨根父がうまくやったのかなんだか知らないが、うちに警察が来ることもなかった。さすがに高橋さんのところには警察が来たみたいだが、知らずに薬物を飲まされた被害者ということで、軽い事情聴取で終わったらしい。

 

 どの新聞もけっこうスペースを大きくとってこの事件を報道していた。特に京都新聞は、一面のしかもトップ記事である。


「だからって全部買ってくることはないだろう……」

「これは我が部の部員の実績ですからね! 当然保存しておかざるをえません!」

「確かこの部活って超常現象を見つける部活だったと思うんだが。それと、解決した俺は部員じゃない」

「堅いこと言わないでください。これからはグローバルに活動していく時代ですよ!」

「なんでもグローバルってつければいいと思ってるんじゃないだろうな、お前」

「まあまあ。新入部員も入ることですし、細かいことは気にせずやっていきましょう!」


 新入部員?

 俺が頭に疑問符を浮かべると、部室の扉が開き、嵯峨根が入ってくる。


「お、ちょうどいいところに来ました、嵯峨根さん」

「嵯峨根さん、じゃないよ。二人ともひどいよ。私をほったらかして逃げるなんて」


 話を聞くに、どうやらあのあと嵯峨根は家に帰ってからもこってり絞られたらしい。


「逃げて悪かった」

「ちがうよ! 私も連れていってほしかったの!」


 そっちかよ。

 鈴風が言っていた生け贄云々の発言を、嵯峨根に伝えるのはやめておこう。

 そして俺はふと気づく。気づきたくなかった事実に気づく。


「まさか、お前の言ってた新入部員って」

「そうです! 嵯峨根さんのことです!」


 なんて頭の痛い状況。

 嵯峨根も、この部活にはいるなんて、いったいどんな風の吹き回しだ。


「というわけで、これからよろしく。二人とも」


 嵯峨根はにっこり微笑み、頭を下げる。


「さあこれで部員も三人になりましたし、超常現象研究会もどんどん活躍の場を広げていきますよー!」

「ちょっと待て。俺がいつ正式な部員になった!?」

 

 今のところ、大きな案件だけでも草壁の依頼と嵯峨根の依頼、両方解決した俺のニ連勝なんだが?


「まあまあ。最初の依頼はノーカン、ノーカウントって言ったじゃないですか。だから細かいことは気にしちゃダメですって」

「これは細かくないだろ!」 

「グローバルです。グローバル」

「お前、グローバルって言いたいだけじゃないだろうな!?」


 こうして、超常現象研究会の部室がまた少しだけ賑やかになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ