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入れ替わったら戦争 行かなきゃならなくなっちゃった  作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
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第17話〜国境の残光

帝国軍の執拗な追跡から逃れ、組織の未来を握る「極秘マイクロフィルム」を運ぶ青年アルトと、深手を負った相棒のハンス。

激しい雨が降りしきる国境の夜、二人が逃げ込んだのは、隠者同然の老人がひっそりと暮らす崖沿いの荒れ小屋だった。

冷徹な「国境の狼」としての本性を現した老人の捨て身の掩護により、一時の窮地を脱した二人。しかし、冷たい雨は容赦なく体力を奪い、背後からは軍の追手が確実に迫りつつあった。

これは、暗闇の谷底へと身を投じる若き工作員たちの、生と死を賭けた逃亡劇の記録である

乾いた銃声が、雨の夜を引き裂いた。

老人の銃口が向いたのは、アルトたちではなく、固く閉ざされた扉の向こう――押し入ろうとする警備隊の側だった。

「誰が軍の犬どもに、この温かい寝床を譲るかよ!」

老人が狂気をはらんだ声を張り上げると同時に、猟銃から放たれた散弾が板扉を吹き飛ばし、外の闇へと炸裂さくれつした。悲鳴と、犬の猛り狂う吠え声が重なる。

「走れ! 裏の貯炭場ちょたんばから谷へ下りろ!」

老人は叫びながら、素早い手つきで次弾を装填する。その背中に躊躇はない。最初から、小悪党の皮を被った「国境の狼」だったのだ。

「恩に着る、爺さん……!」

アルトはハンスの腕を自分の肩に回し、半ば引きずるようにして小屋の奥へと走り出した。背後で再び、激しい銃撃戦の音が響き渡る。

冷たい雨が容赦なく顔を打ち、ハンスの傷口から流れる血がアルトの服を赤く染めていく。胸元のマイクロフィルムの冷たさだけが、今や彼らの生存の灯火だった

本作をお読みいただき、ありがとうございました。

このエピソードでは、絶体絶命の窮地に立たされたアルトとハンス、そしてかつて「国境の狼」と呼ばれた老人の執念を描きました。老人が見せた文字通りの「命懸けの恩返し」と、冷たい雨の中で繰り広げられる緊迫した逃亡劇を楽しんでいただけていれば幸いです。

濁流へと身を投げた二人の運命、そして彼らが抱くマイクロフィルムが世界の勢力をどう変えていくのか。物語はここからさらに加速していきます。

彼らの決死の逃避行の行方を、ぜひ最後まで見守っていただければと思います。改めて、お付き合いいただきありがとうございました!

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