「龍霊雨器」
「龍霊雨器」本編では語りきれなかった設定や裏話に加えて、
各回の最後には、ここでしか読めない限定SSもあります。
*本編のネタバレ満載の内容になりますので
未読の方はお気をつけください。
――昔々。
龍の神様が、この大陸に降り立った時のお話。
人が生み出した工芸品のあまりの美しさに、
龍の神様は心を打たれ、涙を流しました。
その涙は雨となり――
雨を受けた工芸品には、奇跡が起き……その身に、
魂を宿したのです。
龍の魂を宿した工芸品。
それを人は、龍霊雨器と呼ぶようになりました。
龍霊雨器――神の涙を受けた、一雫の奇跡と……。
「龍霊雨器」作品タイトルを表す御伽話。
作者も気に入っています。
そもそも、この“魂を宿す工芸品”は別の私の
創作の作品から持ってきました。
大元の作品は、ヨーロッパ風の国にある
小さな美術館が舞台。
魂を宿す不思議な存在、“一雫の奇跡”と呼ばれる美術品たち。
それを取り巻く美術館で働く人々の物語。
その物語では“一雫の奇跡”は世界中にある、という設定でした。
ちなみに……この美術館に東方の国から貿易にやってくる
キャラクターがいます。
琳小龍。14歳の可愛い男の子。
私のもう一つの小説「水月鏡花」を読んでいただいている
方でしたら「琳…って」と勘づいていただけるかと。
この子の両親が、凌偉と春燕です。
中華BLものを書きたいなぁ、と考えていたときに
後宮ものだけど、オリジナリティが欲しいな。
中華の工芸品好きだから……一雫の奇跡を中華版にして、
作品に取り入れたら面白いかな?
それなら龍の神様が涙を流して魂が宿るのは
どうだろう? うーーん!中華っぽい〜!採用!
その案から「龍霊雨器」という作品が生まれました。
神秘的で不思議な存在、龍霊雨器。
彼らが担う役割とは一体何なのか。
それは物語が進むにつれ明らかになっていきます。
*
SS「龍霊雨器」
美しい――と、思った。
“それ”には、
人の歴史が。
人生が。
命が。
魂が。
そして何より――愛が、込められていた。
胸の奥が、熱く震える。
気づけば、涙が溢れていた。
零れ落ちた雫は、静かに地上へ降り注ぐ。
その雨の中から――
沢山の子供達が、生まれた。
子供達は、人の傍で生きた。
人と共に笑い、泣き、時を重ねる。
国は次第に大きくなり、豊かになっていった。
龍はしばらくその景色を見守り――
やがて、静かに眠りについた。
⸻
――いつか。
いつか、再び。
あの時見たような愛を。
見つけられることを、夢見ながら。




