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『龍霊雨器 創作裏話+SS集 ― 語られなかった物語と、その裏側 ―』  作者: 麻倉ロゼ
キャラクター深掘り編

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10/14

「玄曜の天青色の瞳について」

「龍霊雨器」本編では語りきれなかった設定や裏話に加えて、

各回の最後には、ここでしか読めない限定SSもあります。


*本編のネタバレ満載の内容になりますので

未読の方はお気をつけください。

玄曜の瞳の色。天青色。


玄曜のビジュアルを考えていた初期の頃。

瞳の色を何にするか悩んでいました。

中華らしいのは翡翠だけど……。

なんか他にないかなぁ〜と、「美しい中国の伝統色と文様」をパラパラ眺めていました。


そこで見つけた“天青色”

いい名前!だけど少し色が薄いなー。

どうだろう……。

でも何故か惹かれる。よし、候補の一つにしておこう。

 

その後、美術品の資料を読んでいた時に

汝窯《じょよう》青磁と出会い、そこに天青色の文字が。

えー!天青色!!


しかも、この天青色、中国の皇帝が理想の青磁の色を表現した、

「雨過天青雲破処」

 (雨上がりの空の青さ。それも、雲が破れるようにして

晴れ始めた、そのあたりの青さ)という

ことばから来ていると説明書きが。


嘘でしょ!!?雨上がりって!

龍霊雨器そのものじゃん!!!

感動するぐらい衝撃でした。

玄曜の瞳に、これ以上の色ある??

こんなにも相応しい色、他にないでしょ……!

その日以来、玄曜の瞳の色は天青色となりました。

 

あまりにも気に入り過ぎて、作中でもよく

瞳を揺らめかせたり、煌めかせたりしています。



*



SS「天青色」

 

……あ! また変わった。


離れの厨房にて。


オレは鍋の汁物をかき混ぜるふりをしながら、

こっそり玄曜の瞳を盗み見ていた。


玄曜は食卓のいつもの椅子に座り、竹巻に目を落としている。


外から差し込む光が、その横顔を照らした。


――その瞬間。


瞳の色が、薄い水色から、深い翡翠へ変わった。


光の加減で揺らぎ、煌めき、

まるで生きているみたいに色を変えていく。


(綺麗……)


思わず、見惚れてしまう。


なんで、あんな色してるんだろう。


淡くなったり、深くなったり。

揺らいだり、きらめいたり。


まるで宝石みたい――

いや、宝石よりずっと綺麗だ。


「おい」


「!!?」


ふいに声をかけられて、思わず肩が跳ねる。


「見たいなら、こっちに来い」


「えっ!? な、何を……?」


戸惑いながら近づくと――


ぐい、と手を引かれる。


「ふわっ!?」


気づけば、玄曜の膝の上だった。


「ちょっ……!」


抗議の声を上げる暇もない。


ぐっと引き寄せられて、逃げ場がなくなる。


顔を上げると――すぐ目の前。


天青色の瞳。


さっきまで遠くから見ていたそれが、今はすぐそこにある。


光を受けて、ゆらりと揺れる。


その瞳の奥には――

自分だけが、映っていた。


「見たいなら――近くで見ろ」

低く、囁くような声。


「……っ!」

――言葉が、出なかった。


ただ、目の前の天青色に囚われたまま。


何も言えず、動くこともできず。


オレは、その場に固まっていた。

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