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サンダルゲートルがけっぷち

山は、ものすごく急だった。

どちらかというとガケだった。

踏みしめづらい腐葉土をナースサンダルで滑りながら歩いた。


「キッキェーエエエアーッハハハハアー!」


という、鳥か獣か何かの声がする。

泣いてるような笑ってるような不気味な声である。

昔、待合室でこういう声を出していた患者さんがいた。

中継を聞いていた、競馬だか競輪だかですごく負けてしまった藤井さん。


不気味といえば植物もで、葉脈がしょうゆみたいな色の葉っぱが多い。

俺(美術3)が描いた絵みたいである。

葉脈をちゃんと描いた人のなかで、うまい人は深緑っぽく塗るけれど、

技術がついていかなかった人は黒く線を引いてしまった、そういう葉っぱだった。


「あ、毒です、触らないでください」


とタヌーサさんは言った。


しょうゆ色のものは毒。覚えた。


ガササササ、と音がするとタヌーサさんが「ファイヤーウォールッ先生お願いしまーす」と言って、

火が付いた毒ニワトリが走ってくる、俺は「レストア」と言う、やたら光る、唐揚げ調理セットと鶏肉っぽい肉が出る。

ついてきていた村の人が真顔でぴょんぴょんと跳んでから、それらを担いで山を下りる


大体3人1組

そろりそろりと油を揺らす人

台をかつぐ人

その他をかつぐ人


ときどき滑空して木に刺さってくる毒ニワトリも出る

やっぱりタヌーサさんが火をつけて、俺がよくわからない処理をする。

村の人がぴょんぴょん跳ぶ。


ぴょんぴょんのくだりは感謝だそうだ(おさらい)。

それを何度か繰り返して山を探索した。

村人のみなさんずっと付いてくる。

ボタンのない、半そでの、荷造り紐でできたみたいな服と

同じ素材のズボン、足元も同じ素材の布を巻いている。


タヌーサさんはやはり白い水着みたいな服に

足元はよく見たらルーズソックスに似た何か、である。


「なんでみなさん、そんな薄着なんですか?」


こんなこと聞いてどうするのだろうと思いながら俺は聞いた。


タヌーサさんは「制服なので」と言った


村のだれかが「夏ですので?」と言った


夏だったのか、こんなに寒いのに。

俺は、そういうことを聞きたかったのではないが


「そうなんですね!」と言った。


貧しい農民の人だから、が答えではないか?

そんなこと聞けないけど。


やや大きいような毒ニワトリも混ざっていた。

滑空タイプではなく、ガサガサドタドタ走るほうだった。


「あっ、今の、親玉?」と、俺はタヌーサさんに聞いた。


「たぶん?」頼りない返事が返ってきた。


しかし俺が光る様子はなかったので、もっと大きいのがいるのかもしれない、と思い

村の人たちを引き連れて、山を一周した。

ものすごく険しくて大変疲れたが、俺は光らなかった。

ケガは一応、しなかった。

帰りに同じ井戸を通ったが、大工さんらしき人はまだ資材を抱えて泣いていた。

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