第31話 燃えろドラゴンズ
長らくお休みしてましたが、連載再開します。
昨日、活動報告でも書きましたが、今日は4話、1週間は毎日公開の予定です。
心機一転頑張りますので、応援お願いいたします。
サッカー部の部員たちはぞろぞろと校門前に移動した。
しばらくすると、白地に赤いラインの名鉄バスがやってくる。
「来たぞー!」
誰かが叫ぶ。部員たちは順番に乗り込んでいく。わたしも翔吾くんと一緒に後ろの席へ。
車内を見回していて、少し気になったことがある。
サッカー部なのに、なぜか野球帽をかぶっている子が多い。
しかも、その全員が中日ドラゴンズの帽子だ。
当時のドラゴンズの帽子は、Dの文字だけではなく、CとDを組み合わせたようなマークになっている。
「みんなドラゴンズファンなの?」
そう聞くと、近くの男子が振り返った。
「そりゃそうだろ!」
「去年優勝したしな!」
「燃えろドラゴンズも流行ったし!」
なるほど……そういえば去年はドラゴンズが優勝した年だった。
あの応援歌も大ヒットしたものだ。
とはいえ、今年は優勝できなかったはずだ。
たしか今年優勝したのは広島。
赤ヘル軍団なんて呼ばれて話題になっていた頃だ。
それでも地元ではやっぱりドラゴンズ人気の方が圧倒的だ。ついでながら全国区のはずの巨人の帽子もまったくいない。
ちなみに翔吾くんは帽子をかぶっていない。
「翔吾くんは野球見ないの?」
「うーん、あんまり興味ないかな」
即答だった。
やっぱりサッカー一筋らしい。
その時だった。
おいおい……
前の方の席で誰かが歌い始めた。
あのドラゴンズの応援歌だ。
有名なサビの部分をもじったような歌い方で、
「燃ーえろ! ドラゴンズー!」
と大声で歌う。
すると、
「燃ーえろ!」「燃ーえろ!」
「ドラゴンズー!」
「うぉーーーー! 来年こそ優勝だー」
と数人が乗っかり始めた。
あっという間に小合唱である。
バスの中は大盛り上がり。
「お前ら静かにしろ!」
前方から榊原先生の怒鳴り声が飛んだ。
歌声がぴたりと止まる。
「遠足の貸し切りバスじゃないんだぞ!」
「はーい……」
元気のない返事が返ってくる。
乗客のおばさんがクスクス笑っている。
きっと子供のいる人なんだろうな、前世のわたしなら間違いなく迷惑そうな顔をしていた。
もっとも、翔吾くんは最初から歌には混ざっていなかった。
窓の外を見ながら、これからの試合のことを考えているようだった。
さすがというか、なんというか。
本当にサッカーのことしか頭にない。
そんな様子を見ていたら、なんだか少し嬉しくなった。
やっぱり、この人を世界へ連れて行きたい。
そう改めて思う。
バスは市街地を抜け、目的地へ向かって走り続ける。
やがて車内アナウンスが流れた。
「次は――○○小学校前」
榊原先生が立ち上がる。
「よし、降りる準備しろ」
部員たちの表情も引き締まった。
先ほどまで歌っていた連中も、今は真面目な顔をしている。
窓の向こうには見慣れない校舎と広い運動場。
今日の対戦相手の小学校だ。
いよいよ――翔吾くんの夢へ続く戦いが始まる。
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