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デビルフェイス ダークネスリメイク  作者: ガトリングレックス
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第8話 バレットエスケープ

金の暗示(コイン)は今まで主人公(デビル)と戦闘したことがない。

トリガーを弾かれ、連射される。

銃弾を狭いレジを駆けながら躱し、店裏に入る。


(こんなところで死ぬわけにはいきません。なんとか逃げ出さなければ)


足早にその場を立ち去ろうとすると、銃の暗示(ガン)がマシンガンの銃口をこちらに向けて走って来た。


「逃がさないぜ〜」


「やめてくださいませんか? 支配者の暗示(アイドル)さんから聞いているでしょう? 主人公(デビル)とは互いに仲良くする者だと」


「悪いな〜。俺のマスターはそれを拒否したんだよ〜。なぜなら〜、主人公(デビル)が起こす事件を見過ごせないから、まあそんな理由だ〜。さあここで狩らせてもらうぜ〜、お前さんをなぁ〜」


ノリの良い口調とは裏腹に、残酷にもマシンガンを連射してくる銃の暗示(ガン)

銃弾を躱しながら後ろを振り返りコンビニから外へ逃げ出す。

そこに待っていたのは、リボルバーを構えた警察官達だった。


「止まれ! 止まらなければ撃つぞ!」


勝てるはずもない戦いを挑んで来た愚かな人間に対して、彼は安堵した。

なぜならこのまま銃の暗示(ガン)が現れた場合、銃刀法違反で逮捕されるからだ。

もし現れたとしても、マスターが刑事なら仲間である警察を撃たせる様な行為をさせないだろう。


(ブックエスケープで逃走できる範囲のコンビニは監視カメラで撮られていたので少し遠出しましたが、まさかこんな目にあうとは…………)


ブックエスケープとは半径5キロメートルに存在する自分の〈〇〇の殺人〉に帰還できる。

言わば脱出装置だ。

ただし1日に使える回数は1回のみ。

だが現在ブックエスケープを使えない。


ここから逃げ出すには警察官を始末しつつ、半径5キロメートルにまで逃走する。

そう行動しようとしたその時。


急に警察官達が咳き込みながら倒れていく。


(これは、一体?)


突然の事ではあるが、逃走するには絶好のチャンス。

パトカーを飛び越え、全速力でその場を逃げ出す。

周囲を見回すと、人間達が倒れている。



「本当に何が起きているのでしょうか?」


人間達が死んでいることを不思議に思っていると、銃の暗示(ガン) とはまた違う主人公(デビル)の気配が伝わってきた。


「お前、主人公(デビル)狩りに狙われてるんだろう?」


太い男の声に反射的にそちらの向きに振り返る。

そこには黒きガスマスクを付け、同じく黒き防弾チョッキで身を守っている男性が電柱に寄っかかていた。

グレーの軍服を着用した彼は息を漏らしながら金の暗示(コイン)へダルそうに首を鳴らし、近づいて行く。


「あなたは?」


「俺は病原菌の暗示(ウイルス)主人公(デビル)狩りをする奴らを倒してる。ついでに周りの奴らを殺してる迷惑者だ」


そう語りながら次元の裂け目からアンパンを取り出し、袋を開ける。

ガスマスクを上にずらし、食べ始めた。


「う〜ん。こしあんは値段が高い分滑らかで良い。しかし、つぶあんは食感を楽しめる。だからどちらも捨てがたい」


病原菌の暗示(ウイルス)と名乗る主人公(デビル)の突然の行動と理論に金の暗示(コイン)はため息を吐き、「あの時は助かりました。では私はこれで」とそそくさと立ち去ろうとする。

コシアンパンを食べ終えた彼は、慌てた様にこちらに走って来る。


「待てよ。まだあいつが狙ってる。死にたくないなら俺に着いて来い」


「残念ですが私は盗んだ金をマスターに届けなければなりません。ブックエスケープができる範囲ぐらいは頭に入っていますから、ご安心を」


「そう言って何人もの主人公(デビル)が狩られた。初対面で信用しろなんて言わない。だがなぁ、マスターを想うなら生きて帰れ。そのために順序があるんだよ」


たとえ人殺しをしていても大切な者がいる。

主人公(デビル)はマスターに尽くし、どんな汚れ仕事もこなす。

殺したい者がいると言うならば実行し、完了させる。

病原菌の暗示(ウイルス)は今まで次々と学校を襲撃し、生徒や教師を皆殺しにしてきた。

そして金を盗み、マスターに届ける。

それがかつて、そう、前マスターのやり方だった。

しかし、主人公(デビル)狩りを受け、前マスターは殺された。


今のマスターは主人公(デビル)狩りを止めるために支配者の暗示(アイドル)と協力している。

管理人との接点がある者なのだ。

彼らの様な者達は防衛軍と言われ、主人公(デビル)とそのマスターを護衛している。


(マスターを殺されるのはもうたくさんだ。こいつも救ってやらないと、絶対に後悔する)


病原菌の暗示(ウイルス)は左拳を強く握り、ギシギシと指を鳴らす。


「頼む、生きてお前をマスターに返したいんだ」


真剣な声に対して、金の暗示(コイン)は足を止め、彼の方へ振り返る。


「分かりました。あなたの指示に従いましょう。私もここで死ぬわけにはいかないのでね」


丁寧な口調で喋りつつ、足を止め、こちらに振り返る。


「良し。ここから逃走するにあたってまずはよく使う逃げ道がある。それを通って行けば支配者の暗示(アイドル)が待っている。そこでワープしてもらえば良い」


「なるほど、手厚いサポートですね。ありがとうございます」


決して彼を信用した訳ではない。

ただ自分は生き延びてマスターに金を渡したい。

金の暗示(コイン)病原菌の暗示(ウイルス)を利用し、速やかに帰宅することを目論むのだった。

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