他の異性と話さないで
学校では、基本的に自由……だが、今のように俺の行動が制限されるものは、ある。
男友達と話す分にはあいつは関与しないと、女子と話すとなると異様なまでの視線を向けてくる。しかもそれは、俺にしか伝わらない形でだ。
男友達を交えて話すのならば、一対一で話すよりも警戒はされにくいが……それでも、長い時間を話するのはダメだ。
「ねぇねぇ怜、あの子となに話してたの? ダメだよ、怜には私がいるんだから。それとも、私よりあの子の方が魅力的? そんなはずないよね、だったらどうして? もしかしてあの子のこと……」
と、ただ話をしていただけでこれほどまでに迫られたことがある。それは、俺よりも話していた相手に対しての恐怖を感じさせる圧で。
それほどまでに、俺が他の女子と話すのをよしとしない。なら、あいつはどうかって? 確かにあいつは、異性同性問わず人気で、話しかけてくる男子もいるが……
「ねぇ芹澤さん、今日のお昼さ……」
「ごめんねー、お昼には用事があるの」
と、それなりに勇気を持って話しかけた男子をばっさり。それでも評判が悪くならないのは、断るにしてもその際の柔らかい物腰が、そうさせているのだろう。
他の男子とは、話さない……それはまるで、俺に対しての見せつけのようなもので。自分が他の男子と話していないのだから、怜にもそれくらいできるよね、と、実際にではないが言われているようだ。
そして今日も、時間は過ぎていく。