表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

第九話 来訪

 一見平和そうに見える魔王城であるが、そろそろ奴等が来る頃合いなのだ。




 奴等とは?



 ははは、少し考えれば分かる。



 そう、次世代の勇者御一行だ。



 ゼファーが勇者達の来訪を知らせに我が元へやって来る。勿論毎度の事なので、特に焦った様子はなく、落ち着き払っている。



 だが我は内心、少々の焦りを感じていた。その焦りの理由は、我の力の減少にある。負けたくないとかそういった小さな悩みではなく、我に敗北は許されないのだ。


 我の敗北、それは世界の破滅を意味する。


 世界の楔である我がその存在を誇示出来なければ、それこそ世の中は混沌に包まれるのだ。


 善と悪は両立してこそ互いの意味を見出す。


 人間達から見れば我は悪そのものであり、自分は善なのだ。我の力を誇示しても負けずに立ち上がり、向かって来る。故に我は人間達を愚かだと言う。



 我は魔王であり、この世界を支配する者。



 そして、我は我なりに種族を平等に扱っているつもりだ。



 全てを均等に与え、ある程度の法を敷き、その中で固有の生き方を見出させ、導く。王である我の仕事だと理解している。



 だが、真に平等なんてものはこの世には存在しない。なにより、それを生み出したところで維持するのに骨が折れるし、見ていて退屈なのだ。


 だから、人間は愚かであるが、見ていて飽きない。


 人間の飽くなき欲には我も退屈をしないのだ。


 人間の欲は人間の王が握る。


 その犠牲者が勇者なのだ。


 だからこそ我は、勇者を丁重に扱う。



「さあ、次の勇者達はどのように魔王様を楽しませてくれるのでしょうか?」



 ゼファーが我に問う。が、敢えて我は答えを返さない。不敵な笑みをゼファーに向ける。


 ゼファーも我に微笑み返し、勇者を待つ。


 我は、王の玉座に深く腰を下ろし、その時が満ちるのを待つ。


 そして、時は満ちる。



 玉座の間の扉が勢い良く開かれ、第一声。




「貴様が、魔王か」





 さぁ、今宵は宴だ。


 我を楽しませるのだ、勇者達よ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ