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003 近衛騎士団長スティールとの会談

王都最高と名高いフェンリルから必要な情報を全て収集したクロンは、王都での暗躍を始めた。

三日後。予定通り第二姫殿下の誕生パーティーが始まり、仕上げをするためにクロンはシノを伴って動き始めるのだった。

◆クロウ社交界デビューする◆


『アース王国国王プルト陛下!第二王女ミルア姫殿下のご入場です!』


 クロウが動き出してから三日後。予定通り第二姫殿下の誕生パーティーが始まった。王城のパーティーホールに伝令の声が響いたのを聞いたクロウは、歓談していた貴族の子供達との会話を打ち切り。シノを伴い両親の元へ向かった。

 この場に集った貴族達は誰に言われることもなく中央に敷かれたレッドカーペットの両側に分かれ傅き臣下の礼をとった。その中央をプルト王とミルア姫が通り、パーティーホール奥の階段の中二階に設置された座席の前まで行くとプルト王が皆に向かって声をかけた。


「皆、ミルアの5歳という節目の誕生パーティーによくぞ来てくれた。礼を言う。皆の子息、息女達も元気そうで何よりだ。本日の催しは次代、もしくは次次代を担う若者達の交流をメインとしたものである。よって俺のような大人の堅苦しい話はここまでにしておく。我等大人はこれより別室に移り、我等は我等でこのパーティーを大いに楽しむつもりだ。若者達よ、お主等も俺等に負けず大いに騒ぎ交流し絆を作り、今後の人生でかけがいのない友や恋人を作るきっかけになるように願っている。以上だ。」


 プルト王が話を切り一歩下がると、ミルア姫がシャンパングラスを持って一歩前に出てきた。


「皆様。私の誕生日ために集まってくれてありがとう。えっと…このパーティーが皆の新たな絆となったら良いなと思います。アース王国に乾杯っ!」


『乾杯っ!』


 一回詰まり、少し舌足らずな言葉ではあったが、心が暖かくなるような満面の笑みで乾杯を告げたミルア姫に少しホッコリとして緊張をほぐされながら、クロウも乾杯を告げてシャンパンを飲み干した。シャンパンを飲み干した後の彼の顔には一瞬だが覚悟を決めた熟練の戦士の表情が浮かんでいたのだった。


「ミルア姫様お誕生日おめでとうございます。」


 パーティーも中盤に差し掛かり、ミルア姫への祝いの言葉を告げる子息や息女達の列の最後にクロウはあえて並びミルア姫に声をかけた。


「はい。ありがとうございます。えっと…あれ?私貴方のお名前聞きましたか?」


 少し疲れをにじませたミルア姫がクロウに問いかける。ミルア姫に自分の事を印象付けるためのクロウの策の一つであえて家名と名前を告げなかったのだ。


「いえ。申し訳ありません。私もこういった社交界は初めてで緊張していたようです。私はクロウ=フォン=ブラッディと申します。ブラッディ西方辺境伯爵領の長男で、5歳になります。私の事はクロウと呼び捨てで呼んで頂いて構いませんよ。ミルア姫様と同い年になりますね?」


 クロウがそう告げると、ミルア姫はニッコリ微笑んで言葉を続けた。


「はい同い年ですね♪クロウ♪クロウはいつ頃生まれたの?私は7月2日に生まれたってお母様に聞きました。」


「はい。私は4月4日です。本当は3月の中頃に生まれるはずだったらしいのですが、私は母様の初めての子供でしたので、生まれるのが遅れて4月になったみたいです。もう少し遅れていたらミルア姫様と同じ季節の誕生日でしたね。でも私は生まれてすぐに産声を上げなかったのでメイド長のローズにお尻を叩かれてからようやく泣き出したみたいです。別に悪いことはしていないのに、生まれてすぐにお尻を叩かれるなんて酷いと思いませんか?」


 クロウがそういうとクスクスとミルアは笑って返事を返した。


「クスクス♪生まれてすぐに怒られるなんて私は嫌だわ♪でもクロウのお家も家と同じみたいね?今は丁度居ないけど、私もメイド長のテッサが一番怖いもの♪内緒にしてね?」


「ふふっ♪はい分かりました。内緒です♪ルミア姫様の疲れた顔が笑顔に戻って良かったです。もう少しお話していたいですが、私はこれで失礼しますね。これは父様や母様からではなく、私の個人的なミルア姫様へのお誕生日祝いのプレゼントです。どれが良いか選んで頂けますか?」


 そう言ってクロウは後ろに控えさせていたシノからトレイを受け取りクロッシュを外した。その中にはクロウがミルア姫への誕生日の贈り物にするために手作りした、小さな動物の編みぐるみが乗っていたのだった。


「わぁ~♪かわい~♪触ってもいいですかクロウ?」


 ミルア姫はその可愛さに声を上げてクロウに聞いた。


「はい。ですが少し待って下さい。このプレゼントが安全か確認して貰う必要がありますから、先にミルア姫様の傍にいる方に確かめてもらいますね?」


 クロウはそう言うとわざと見えるように手紙をトレイの下に忍ばせたトレイごと横に居た近衛兵士に渡した。


「こちらですご確認下さい。このぬいぐるみの見聞をお願いします。(この手紙は星10です。内容から判断して頂いて私を直接お呼び下さい。)」


 クロウはそう小声で言いながら近衛兵士にトレイを渡した。近衛兵氏はトレイを受け取り編みぐるみを一つづつ見聞するとミルア姫様に向かって『問題ありません』と告げてトレイの下に忍ばせた手紙を持ってその場を離れていった。


「兎さんも可愛いし、猫さんも可愛いです~。熊さんも可愛いですし鳥さんも可愛いです…むぅ~クロウ!一つ選ぶのはどれも可愛いから無理ですっ!」


 そんなことがあったとは知らないミルア姫は、クロウが渡した編みぐるみを触りながら悩みに悩み、最後には我儘を言った。クロウとしてはこの編みぐるみは、ミルア姫の好みがわからなかったので何種類か作っただけだったので、笑顔で『ではちゃんと全員可愛がってもらえるなら全員差し上げます。』と答えた。そのクロウの言葉にミルア姫はとても喜び、『ありがとう♪』と今までクロウが見た中で最高の笑みでお礼を言ってくれたのだった。


「ふぅ…。」


「流石はクロウ様。ミルア姫殿下の心は既に鷲掴みですね?5歳で女心を弄ぶとは流石は私のご主人様です♪」


 ミルア姫にプレゼントを渡した後飲み物を飲んで一心地ついたクロウがついた溜息に、シノが笑顔で辛辣な事を小声で言った。


「オイコラ(汗 人聞きの悪い事を言うのはやめろシノ。お前は俺があの編みぐるみを作っている所に居たんだから、アレがミルア姫に気に入ってもらうのは必要なことだってわかってるだろう?」


 クロウも小声でシノに突っ込むが、シノがいくら人が周りに居ないとは言えこんな事を言ってきた理由がわからなかった。


「だってクロウ様、あのあみぐるみ?が余ったら私に一つくれるって約束してくれました。でも一つも余らなかったじゃないですかっ!」


 クロウはシノが小声のまま怒るという器用な事をしてのけた事に地味に感心しつつ、怒っている理由が分かって納得した。


「成る程な。そんなにあの編みぐるみが気に入ってたのか。すまなかった。この件が落ち着いたらシノが好きな動物を作ってやるからそれで勘弁してくれ。時間的にそろそろ本命のお呼びがかかるはずだから警戒を頼むぞシノ?」


「はい♪流石は私のご主人様です♪警戒はおまかせ下さい!」


 クロウはそんな現金なシノに少し呆れたが、今まで自分の中で張り詰めていた神経が適度に緩んだ事に気が付き、心の中でシノに感謝したのだった。


「お前がこの手紙を近衛騎士に預けたクロウ=フォン=ブラッディか?」


「はいそうです。はじめましてスティール近衛騎士団長殿。」


 クロウがシノのご機嫌(?)を取りながら休憩していると、すぐに手紙を渡した近衛騎士に呼ばれた。案内された部屋に入ると儀礼用の軍服を着た偉丈夫が机に座っていたのだった。

 その偉丈夫が椅子に座ったままクロウに闘気の威圧を放ちながら問いかけるが、クロウはそんなことは全く気にした様子もなく、堂々と挨拶をしてのけたのだった。


「ふむ。まずはかけたまえ。それで?何故私が近衛騎士団長だと思ったのだ?」


 椅子に座ることをクロウをすすめた後、更に闘気の威圧を上げてクロウに問いかけるスティールだったが、クロウは全く気圧されることもなくスティールに答えた。


「はい。貴方の儀礼用の軍服についている勲章と階級章からの推測というのが一つ。祖父から貴方の大まかなお話しは伺っていたという点が二つ。先程から私に対して放っている闘気による威圧の強さで三つ。これら三つを踏まえて貴方がスティール近衛騎士団長だと判断しました。もしかして間違っていましたでしょうか?」


 スティールはそのクロウの理路整然とした答えを聞いて首肯し、今まで放っていた闘気の威圧を解いた。


「いや。私がスティールだ。君のような若者が、星10という手紙の重要性を本当に理解しているのか試すためとは言え失礼した。しかしこの手紙の中身は本当のことなのか?『ブラッディ家当主夫婦と前当主夫婦が王都で暴れる可能性がある』と言うのは?先程もご本人達にお会いした私には、いくらご子息の言葉とは言え、些か信じ難いのだが…。」


「はい。『今』は問題ありません。ですが私が王都に入って『たまたま』知り得た情報を素直に両親に話してしまうと、両親から祖父祖母と家の家臣団と騎士団に話が広がり、一ヶ月程後に、王都の少なくない場所が『更地』になる可能性が高確率であります。勿論両親や祖父祖母達の事ですから、一切の躊躇も無く『殲滅』すると思いますので、ある意味ブラッディ家としては全く問題はないのですが、ただ流石に王家のお膝元での『犯人不明の大虐殺』となると王家の威信にも関わってきますし、悪党を殲滅した『後』の事を考えるとお恥ずかしい話ですが私一人の力では最善手が打てないのです。今から詳細をお話し致しますので、是非近衛騎士団長様のご判断をお願い致します。お話してもよろしいですか?」


 クロウがそうスティールに問いかけると、スティールはゴクリと口の中に溜まった唾を飲み込み、視線とハンドサインで指示を出し、部屋の中にいた部下達を部屋の外へと追い出したのだった。

どもーNULLです。(´・ω・`)

とりあえず連続投稿。暗躍するクロンの構想はあったのですが、バッサリとカットさせてもらいました。自分的にはこういう暗躍のドロドロしてたりするところが好きなのですが、話が遅々として進まない事に気がついて、思い切って切り捨てました。

ラノベなのですからサクサク読めれば良いのですっ!

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