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スク水シーサー   作者: 健野屋文乃


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16/17

はいぱーしー

語り部・里沙さーしゃ



赤備え・・・強そうな名前にも関わらず、あいつは最弱。


その名は、強くなりたい願望なのだろう。



憤怒しリリンの攻撃に、折紙で出来た赤備えの憑代は、


ぺちゃんこになってしまった。


生霊が憑依しているなんて知らない客は引きまくってる。


「赤備え!」


そう叫んだ思惟は、赤備えの救出に向かおうとした。


でも相手は、格上の憤怒しリリン。


通常の思惟ちゃんでは、勝ち目はない。


私は思惟ちゃんの事は、何でも知ってる。


思惟ちゃん自身より知っていると言っても過言ではない。


そして、私は思惟ちゃんにとって充電器の様な存在。


思惟専用充電器。


私の気を思惟ちゃんに充電し、充電がマックスになった時、


思惟ちゃんは、はいぱーしーに変身する。




人前で、それもこんなに注目の集まっているリング上で、


こんな事をするなんて、超絶に恥ずかしい。


でも、勝つためにはこれしかない!


私は、羞恥心より勝利への可能性を選択した。


「しー待って!」



私の言葉に思惟ちゃんは、動きを止めた。


その瞬間、私は思惟ちゃんのお尻に向けて、思いっきり指を突っ込んだ。


「痛ー!」


思惟ちゃんの悲鳴を聞きながら、


私は私の体内の気をすべて、思惟ちゃんに注入した。


思惟ちゃんの身体が、輝きを放った。


それはこのリングの主役が、思惟ちゃんである証の輝き。


「さあ、行って・・・はいぱーしー」


私は、はいぱーしーの健闘を祈った。


はいぱーしーになった思惟ちゃんは、


まるで変態を見るような軽蔑した目で私を一瞥した後、


リングサイドへ走って行った。



屈辱に耐えろ私。勝利の為に・・・・


しかし、無二の親友から受ける屈辱に、

悔しさと恥ずかしさと照れで、

私の身体は熱を帯びた。



思惟ちゃんは、憤怒しリリンを睨み付けると、

深呼吸をして戦闘態勢を整えた。


「私はお尻が痛いんじゃー!」


「知らんがな、お前らの事情など」


リリンの言葉に、私の身体はさらに熱せられた。

私たちは、ただの親友同士なだけなのに・・・



つづく

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