最終話 終戦の証
全てが終わり、人間界に復興の兆しが訪れる。何年かかろうと、平和と共に街は戻る。
《…で、こんな派手にぶち壊してくれたわけか》
《まぁ、あの規模の力持ってたやつだしそういう事もあるでしょ、フューエルを責めるなよクレス》
《…はぁ。まぁいいが、もう修復はできないから新しいのを作らないとならん。それなりの期間は貰うぞ。》
《構わない。やる事はまだたくさんあるからな。》
フューエルはラボのメンバーに感謝を述べた後、風化した槍を持って本部へ戻って行った。
邪龍カオスドラゴンにより、かつてない規模で、まさしく天災が発生した。天使達の中の精鋭部隊が挑むものの壊滅まで追い込まれたが、ゴッドコアを使用したフューエルにより、厄災は鎮められた。それから数ヶ月、フューエルはヴァルキリーを喪失するも、再び平和が訪れ地上の復興は進んでいく。行方不明の天使達は数多く発見され負傷者は天界に戻されシューティングスターの治療室に入れられている。その頃、フューエルは警備団本部の事務室で地上の損壊した建物等の書類の山に追われていた。他の天使の協力を得ても尚一向に減る気配の無い書類。その忙しさの中、警備団員が事務室に駆け入ってくる。
《フューエル隊長!》
《用事なら後にしてくれ!今》
《ストライク隊長が発見されました!》
振り向きもしていなかったフューエルがその発言に目を見開き、立ち上がる。
《本当か!今どこにいるんだ!》
《集中治療室です!》
フューエルがシューティングスターの元へ走り出す。ものの数分でほぼ反対側にある治療室へ辿り着き、乱暴にドアを開ける。
《うぉーうびっくりした……フューエルか…》
《ストライクは!!》
《君が咄嗟に出してた防御壁のおかげで助かったよ。ただ…右腕はもう治せないかな…。》
シューティングスターの後ろでベッドに横たわり眠っているストライク。その右腕は側から見ても再起不能と言えるほどボロボロになっていた。
《…そう…ですか…でも…》
フューエルがストライクの手を取る。
《良かった…》
フューエルが静かに涙を流す。シューティングスターはコーヒーを飲みながら静かに見守っていた。
数十分後、フューエルはシューティングスターに礼を行って事務室へ戻っていった。
《…スター…》
《何?》
《…あいつは…あれでも周りをよく想ってるよな…。》
《…そうね。君はあの子の為にも早く治しちゃいなさいな。》
シューティングスターがベッド横の椅子に座り、ストライクは陽の光がさす部屋で再び眠りについた。
天界警備団本部、その最奥の団長室。
《もうすぐ、約束の時間だよ。》
《その前までに済ませます。》
《…そう言うと思ったよ。じゃあ、おいで》
エデンが立ち上がり、本棚の間にある扉を開けて外に出て行く。そこからしか行けない外のエリアは廃墟と化した神殿へと繋がっていた。
《こんな場所が…》
《私以外立ち入り禁止にしてたからね。…さ、ここだよ》
二人が神殿の中を進み、階段を登り切った場所でエデンが振り向く。その奥にはぽつんと黒い台座が鎮座していた。フューエルは本来そこにあったであろう槍を差し込む。その際、台座の前にパネルがある事に気付き、汚れを払う。そこには掠れて読みにくい字で[ミネルバ]と書かれていた。
《ミネルバ…それが、本当の名前だったのか…》
《…じゃあ、戻ろうか。長居する場所でもないからね。》
《承知しました。》
エデンが先に階段を降りて行く。フューエルは出口から出る前に再度ミネルバの方を振り返り、敬礼をした。
エンジェルアトリエR第二章、最終話です。ご愛読ありがとうございました。……そう言えば、あの龍の役割ってなんでしたっけね。




