第二十四話 闘剣士
頻出する堕天使による被害。しかし、その堕天使達の種類は、何故か現実の動物を模したものばかり。フューエル達はその謎に迫りつつ、堕天使を排除するのだった。
フューエルの初の挫折から数週間。人間界にある牧場にて。
「んん〜〜???」
「おい、唸ってないで仕事しろよ」
「なぁ、この子こんなに黒かったか?」
「あ〜?そんなもんだったろ、タグだって付いてんじゃねぇか」
「んーー…こんなんだっけなぁ………もっと白かった気も…」
「寝ぼけてんじゃねーよ、置いてくぞー」
「あぁー待って待ってすぐ行くからー」
酪農家二人が去っていった牛舎のその牛は、去ると同時にその目を赤く染めた。
《もうすっかり春だねぇ》
《春はもう終わり頃だぞアホ》
《もう夏〜??信じらんないねぇ》
《馬鹿なこと言ってないで訓練行くぞ》
《へーい…》
フューエルとストライクが席を立ち、外にある訓練場へと向かって行く。ストライクは自身の担当する隊である第二部隊の扉を開き指導を始める。フューエルも同じように入ろうとした頃、意外な人物を見かける。
《オーシャン、これまた珍しい…》
《お〜エルエル久しぶり〜。》
汗だくの状態でひらひらと手を振ってくるオーシャン。
《なんで天界に?》
《ここ最近は最早海は避暑出来ないのだよ、天界のほうがマシだね。》
《……海上の警備はどうしたんすか》
オーシャンが露骨に口笛を吹き目を逸らす。フューエルは持っていた書類の束でオーシャンの頭を叩く。
《叩いたな!!私の方が年上なのに!!》
《なら年上らしくしてくださいよー。》
警備団本部のにぶつくさと文句を言うオーシャンを無視しフューエルはそのまま訓練場に入って行く。
数時間後、ヴァルキリーと連動している手元デバイスにアラートが表示される。
《堕天使出現…か》
ホログラムモニターを消し、自身の隊の一人であるキャッスルを呼ぶ。
《キャッスル、今回出現した堕天使は恐らく攻撃力に特化している。それも突進型だろう。》
《なんで分かるんです?》
《目撃情報と、その動画があるからな。両手が剣になっているが、突進してから切り裂いている。お前が役に立つと踏んだんだ。》
《了解!それで、出動はいつで?》
《今》
《え?》
フューエルがキャッスルを掴み、そのまま飛行を開始する。天界を降り、地上が見え始める。しばらく飛行した後、最も新しく目撃証言のあった地域に到着し低空飛行を始める。
《少しでも異常があれば知らせてくれ!》
《こんなんでどう見つけろってええええええええええ!!!》
《いや、悪いその必要は無くなった!》
フューエルが飛行状態をホバリングモードに変える。ゆっくりと地上付近まで降りキャッスルを下ろす。
《私が一気に叩き込む。お前は奴の動きを……どうした?》
《僕…飛べないしタンクだから飛んだことなオエッ……》
《……お前は三半規管からだな。》
《ヴッ…》
《さて…奴さんお出ましだぞ》
二人の視線の先には、両手に剣を構えたケンタウロスのような見た目の、屈強な牛型の堕天使がいた。
《ヴァルキリー、念の為奴をスキャンしてくれ》
[検索結果はすぐに出ました。堕天使コード:Assault of Dead。過去、第九部隊隊長クライシスにより撃退されましたが、生き延びていたようです。再生能力は一個体には無い為、古傷が目立ちます。]
《隊長!来る!》
キャッスルが両腕とその周辺の極小範囲に盾を出現させる。次の瞬間には、凄まじい衝撃波と共にキャッスルとの鍔迫り合いが起こっていた。
フューエルは多少吹き飛ばされたもののすぐに復帰しすかさず展開したガトリングを撃ち込む。堕天使はまともに受けるも平気な様子。
《キャッスル!》
《ブラストウェーブ!スペクタクル!》
キャッスルが掛け声と同時に展開していた盾を地面に叩きつけると、その前方を扇状に泥化させ堕天使の足を奪う。
《隊長!!》
《ヴァルキリーいくぞ!!》
[了解。システム:オールグリーン。フルバレット、ファイア!]
先程のガトリングが一体化し、発射速度と火力が撃つ度に上がっていく。堕天使は最初は剣で弾いたりして耐えていたが、増えていく弾と火力に堪えきれなくなり、全身に風穴が開き始め次第に動かなくなっていった。
[ガトリング砲:オーバーヒート。クールダウンに入ります。対象の沈黙を確認。ミッションクリア。]
《キャッスル、怪我はないか?》
フューエルがヴァルキリーをアイスコアに切り替えクールダウンを早めつつ、地上に降り立ちキャッスルに駆け寄る。
《盾がちょっと破損しましたけど無傷です!危なかったけど》
《そんなら良かった。クライシスからは逃れたようだが、私達からは逃げられなかったようだな。》
ドロドロに溶けていく堕天使の消滅を確認した後、二人は天界へと戻っていった。
二十四話です。ケンタウロスってかっこいいですよね。特に鎧とか着てるやつ




