第97話 素材納品
それから三日後、俺たちはウグマへ帰還した。
まず開発機関へ行き素材を納品。
ウォルターが槍豹獣を見て驚いている。
「ア、アルよ。なんだこれは?」
「ごめん。真っ二つに斬ってしまったんだ」
「も、もしかして一撃か?」
「うん、飛びかかってきたサーベラルを一撃で斬った。黒爪の剣の切れ味のおかげだよ」
「いや、お前な。いくら黒爪の剣とはいえ、飛びかかってきたサーベラルを一撃で真っ二つって……」
「素材は大丈夫かな?」
「ガハハハハ。やっぱりお前は異常だな。ガハハハハ。一撃で真っ二つか! こんなにおかしいことないぞ! ガハハハハ」
「あ、あの……素材は」
「素材は問題ない! 安心しろ! 鎧にするには細かく加工するからな!」
「良かった!」
「黒爪の剣もフィットしてるようだな」
「うん。黒爪の剣は素晴らしいよ。これなら何でも斬れるような気がする」
「そうか! 局長にも報告しておこう! 喜ぶぞ! ガハハハハ」
素材は問題なかったので、無事に納品が完了。
ここで運び屋のトーマス兄弟と、解体師のオルフェリアと解散となった。
「トーマスさん、地形に関するお話は勉強になりました。そして寝台はとても快適でした。本当にありがとうございます」
「そう仰っていただけて本当に嬉しいです」
トーマス兄弟は大きな荷車で帰っていった。
「オルフェリアも本当にありがとう」
「いえ。アルとのクエストは楽しかったです。色々と驚きましたが。フフ」
「また依頼したいと思ってるんだ。その時はよろしく」
「ええ、いつでも行きます。連絡待ってますね」
オルフェリアも自宅へ戻っていった。
俺は続いてギルドへ向かう。
支部長のリチャードにクエスト終了の報告だ。
「サーベラルを一撃で倒したそうだな。しかも、ついでに赤頭熊まで狩猟したと聞いたぞ」
クエスト中は、指定のモンスター以外の狩猟が禁止されている。
しかし、今回はやむを得ないということで、リチャードは不問にしてくれた。
「アルよ。なぜ指定以外のモンスターの狩猟が禁止されているか分かるか?」
「生態系への影響や、生息数維持のためです。モンスターといえども種の絶滅は避けたいですから」
「そうだ。まあ、人類にとって害となる場合は駆除することもあるがな。しかしな、それ以外にも理由があるのだよ」
「それ以外の理由?」
「ああ。これを容認してしまうと欲張って指定数以上の狩猟をしたり、クエストのついでに別のモンスターを討伐してしまうのだ。しかしな、冒険者全員がお前のような凄腕ではない。欲張ったせいでクエスト失敗、大怪我や命を落とすこともある。何十年も前に、これが大問題となって禁止されたんだ」
「そんな理由が……」
「そうだ。しかしな、お前は利己的な狩猟はしないだろうし、狩猟に安心感がある。私の権限で今後も全て不問にしよう」
「え? 大丈夫なんですか?」
「うむ。まあ実は、お前とレイに予定しているSランクは、そういった全ての制限も撤廃されるから問題ない」
「そうなんですね。ありがとうございます」
今回のように、クエスト中に他のモンスターに遭遇してしまうこともあるだろう。
そういった場合は狩猟せざるを得ない。
なので、この決定は非常に助かる。
そして、俺は今回のクエストで確信したことをリチャードに伝えたかった。
「リチャードさん、一つお願いがあります」
「お前からお願いなんて珍しいな」
「今回は解体師と運び屋と一緒にクエストへ行きましたが、今後もパーティーとして一緒に行きたいと思ってます」
「なるほど」
「冒険者が、解体師や運び屋と別々にクエストに行くのは効率が悪いです。解体師や運び屋への偏見を捨て、協力し合うべきです」
俺は今回のクエストで、彼らに同行したことがどれほど有益で効率的だったか力説した。
リチャードも熱心に聞いてくれている。
「そうか……。そう言ってくれるか。願ったり叶ったりだ。ギルドも解体師と運び屋の件は改善したいのだが、長年の習慣があり難しいのが実情だ。それをアルが変えてくれるかもしれんな」
リチャードは嬉しそうな顔をしていた。
「今後はアルの好きなようにしていいぞ。解体師や運び屋とのパーティーでクエストを認めよう。むしろアルの影響でクエストパーティーの形態が変わっていくことを期待してる。あっはっは」
「ありがとうございます」
「ギルマスには私から報告しておく」
続いてリチャードは、革袋をテーブルに置いた。
「さあ、これが報酬だ。狩猟報酬が金貨五十枚と、アルの指名料が金貨二十枚だ」
「凄い金額ですね」
「お前の場合は一人だからな。普通は冒険者で山分けなんだぞ?」
「そ、そうでした」
俺は金貨七十枚を受け取った。
「近頃はアルの指名で依頼が多い。しかし、人気がありすぎるから、自ずと指名料が上がっていくんだ」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。まあ内容を精査すると、アルじゃなくても問題ないクエストばかりだがな。護衛クエストに関してはレイが帰還するまで断っておく。だから、実際にお前へ依頼するクエストは少ないだろう」
「分かりました。そこら辺は全てリチャードさんにお任せします。指示をいただければ何でもしますよ」
「そうか、ありがとう。助かるよ」
手続きが終わったのでギルドを出た。
そして最後に人事機関へ向かう。
討伐スコアの更新だ。
今回一緒に狩猟したレッドベアードは、サーベラルに食べられたので素材としては残らなかった。
しかし、討伐証明として尻尾を剥ぎ取っていたので、討伐スコアは更新できた。
「討伐スコアも少しずつ増えてきたな。早くレイに見て欲しいよ」
更新した討伐スコアを眺めながら、俺は自宅へ帰った。
◇◇◇
討伐スコア
ネームド
ダーク・ゼム・イクリプス(槍豹獣)
ウォール・エレ・シャット(岩食竜)
Aランク
槍豹獣
Bランク
霧大蝮
大牙猛象
Cランク
赤頭熊
腐食獣竜 十頭
◇◇◇




