武闘大会のお知らせ
あれから数日たってわかったことが二つある、この新しい強化魔法は普通の強化魔法より効果が何倍も強い。
しかし、身体にかかる負担は効果に比例するかのように酷いものだった。魔物に使ってみた結果、指が全て折れた。
リーンは大騒ぎで治療してたが、その魔物はミンチ状態になるほどの威力だった。
そもそも強化魔法というのは一時的に限界を超えるというものだが、どうにもこの新しい強化魔法は違う気がするのだ。
そう、まるで『存在そのものを違う何かに強化している』ように感じる、その変化に耐えられずに身体が壊れている。そう考えてしまう。
あまり頭が良くないからわからないが、そんな気がする。とりあえず私に今わかるのはこれはまだ容易に使ってはいけないが、将来的に最強になれる可能性を秘めた魔法、ということだ。
「ふんふんふーん」
鼻歌を歌いながら料理をする、最近は料理もだんだんうまくなっていき、リーンに勝るとも劣らない出来栄えだ。あ、そういえば今日は...
「おはようございまーす、新聞でーす!!」
ツキミちゃんが新聞を届けに来る日だ、楽しみにしてたんだよねー。
「おはよう、ツキミちゃん」
「おはようございます!カンナさん!」
「敬語使わなくてもいいって言ってるのに…」
「いえ!カンナさんは私を怖がらない大切な方なので!」
まぁいいや、とりあえずツキミちゃんを朝ごはんに誘う、リーンは珍しく外に出てるらしいので二人で食べる。
「新聞見せてー」
「はい!」
「ええと...なになに?今度ある武闘大会の戦士募集...?」
面白そう...行きたいな...リーンに頼んでみよう!運が良ければ家族の様子が見えるかもしれないしね…
「武闘大会ですか?」
「うん、面白そうだなって」
「それ、私も出ますよ」
「へーツキミちゃんも...ってええ!?」
「はい、私の家は割と武闘派なので家族の中で一番強い人が出るんです」
「ってことは...」
「私が一番強いので」
ニッコニコしながらツキミちゃんが言う、そうなんだ...こんな可愛い子が...
「ただいまー」
「おかえり、こんな早くからどこ行ってたの?」
「ちょっとね」
言いにくそうにしてるからあんまり聞かないほうがいいのだろう。
「お邪魔してます」
「あぁ、ツキミちゃんいらっしゃい」
あ、武闘大会のことリーンに言ってみよう。どうかな、許可してくれるかな。
「リーン」
「どうしたの?」
「この武闘大会に出たいんだけど…」
「別にいいよ?」
おお、あっさり許可してくれた。良かった良かった。
「でも」
「ん?」
「当日はこの仮面被ってローブ着ていきなよ」
まぁ妥当だろう、今更生きてることがわかってもあちらも困るだろうからな。
「わかった」
渡されたのは狐のお面と黒のローブだ。これなら誰かなどわからないだろう。
「あとボクも出るから」
「リーンも?」
「楽しそうだしね」
まぁリーンがいてくれると何かと助かる、嬉しい。
「二人共、負けませんよ」
ツキミちゃんが不敵な笑みを浮かべながら言う。今まで気づかなかったが、この娘は戦闘狂みたいだ…
「私も負けないよ」
「ボクもね」
そうと決まればもっと修行頑張らないと。あと一ヶ月程で始まるみたいだし。