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書籍化決定!!したらS級美少女の先輩が通い妻になった  作者: アライコウ
第二部 妻になった先輩が迫りまくる夏休み

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エピローグ 真天先輩との二学期へ

「おー、元気だったかー?」

「めっちゃ日焼けしてんじゃん!」

「そういうお前は全然だなぁ」


 九月一日、二学期の始業式の日。久しぶりの教室でクラスメイトたちは夏休みの間の報告をし合っていた。

 俺はそういうのに積極的に参加するつもりはないが、当然というか向こうからやってきてしまう。


「タダヒト先生も日焼けしてないな? ずっと家で執筆してた?」

「うん。外に出なかったわけじゃないけど」


 ここからの展開はわかっている。真天先輩とどうだったかと聞かれるのだ。


「聖川先輩と、ちょっとはデートしたんでしょ?」


 予想通り女子のひとりがそんなことを聞く。まあ、気になるよな。


「ちょっとはね」

「タダヒト先生、海に行ったってSNSで投稿してたじゃん? あのとき聖川先輩がいたんじゃない?」

「あと動物園にも行ってたよね? ひとりで楽しんだってことはないよね?」


 また別の女子たちが食い付いてくる。そのあたりはやっぱりチェックされてるのだ。


「……ノーコメントで」


 おおーっと歓声が上がる。答えを言っているも同然だった。


「それと自分の部屋で動画撮ってたよな? 聖川先輩を家に呼んだとかマジ?」

「そ、それで? どこまでイッたんだ?」

「こら男子! 下品だよ」


 そんな喧噪も、実を言うと悪くないものだった。

 俺と真天先輩との確かな絆を、どんな形にせよみんなが応援してくれているのだから。


 始業式はその後、平穏無事に終わった。

 二学期は明日からが本格始動。俺の仕事のペースも、夏休みのようにはいかない。


 残念ながら執筆時間が減ってしまうが……俺はこうも考えることにしている。

 このかけがえのない学生生活、満喫できるのは今だけなのだと。


 いま三年生の真天先輩は、少女時代がもうすぐ終わってしまうと述懐していた。

 それに比べたら、まだ二年生の俺は十分な猶予があるじゃないか。クラスメイトたちに囃し立てられるのも、この時だけの特権、青春と考えてもいいじゃないか……。


「みんなおはよう。夏休みは満喫したか?」


 担任の先生がやってきてホームルームを始める。


「まだまだ暑いけど、しっかり体調管理して勉強に励もうな!」


 当たり障りのないことを言って、ホームルームもすぐに終わった。

 俺はすぐに席から立ち上がる。愛しの恋人を求めて、心は今にも肉体から離れて飛び立っていきそうだ。


「おっ? さっそく彼女のとこに行くのか?」


 さっそくからかいの声が飛んでくるが、俺も余裕で応じる!


「ふっ、そうだよ!」


 自然と早歩きになった。たった数日会っていないだけだった。電話やメッセージのやり取りは約束どおりしていた。

 なのに、こんなにも真天先輩の姿を求めている。すぐ間近で彼女を目にしたい。生の声を聞きたい……!


「失礼します!」


 生徒会室の扉を開けてから、俺はうっかりノックを忘れたことに気づいた。

 しかし中にいた人たちは、細かいことは気にしないとばかりに笑顔で迎えてくれる。


「おはようございます、唯人くん」

「おはようございます、真天先輩!」


 ――ああ、美しい。部屋の中に入り込む陽光が、彼女の麗しいフォルムをくっきりと際立たせていた。その黒髪が光を散らし、太陽以上に辺りを照らし出すかのよう。

 久しぶりに見る制服姿も、前にも増して素敵に見える。これ以上に可憐な女子高生など日本中――いや世界中を探したっていないのではないだろうか?


「我和くん、ずいぶん勢い付けて入ってきたねぇ? そんなに急いで愛しの恋人に会いたかったんだ」

「いや、わかるぞ我和くん。無理もないというものだよ」


 秋口先輩と大野くんも元気そうだ。

 そして彼女たちの前には、三脚に取り付けたビデオカメラがすでにスタンバイしていた。


「さっそくですけど唯人くん、二学期最初の動画撮影しましょうか!」

「はい! そのつもりで来ましたから」

「真天と我和くんのおかげで、生徒会アカウントのフォロワー数はグングン伸びてるよ。先生たちも上機嫌でね」


 秋口先輩が撮影開始の準備をしながら言う。


「こいつぁ学園祭の来場者数、過去最高記録も期待できそう!」


 学園祭。うちの学園の二学期最大のイベントのひとつだ。

 どこも同じようなものだと思うけど、うちの学園祭も一般のお客さんを招いて楽しんでもらっている。


「それって……真天先輩を一目見たくてってことですか?」

「そーいうことよ。この閉塞した令和の世に颯爽と出現したアイドル! ぜひとも一度拝みたいって人は多いんじゃないかな。男女問わずね」

「アイドルのつもりは毛頭ないのですが、お客さんが増えてくれるとしたら嬉しいですね」


 真天先輩は純粋に学園のためを思って言っているようだ。

 うーむ。真天先輩目当ての、特に野郎どもの対策は今のうちに練っておかねばならないのではないだろうか。


「そうだ、我和くんのサイン会をするってのはどう?」

「何言ってるんですか秋口先輩?」

「なるほど、我和くんにだってもう結構ファンが付いてるんだろう? サイン本、プレミア付きそうじゃないか」


 大野くんも突拍子もないことを言っている。


「あらまあ、若い女の子たちが殺到したらどうしましょう。そうしたらわたし、嫉妬しちゃいます」

「ま、真天先輩! 冗談はやめてくださいよ」

「ふふっ、まあ学園祭のことはおいおい考えましょうか」


 動画の撮影準備が調って、俺と真天先輩は並び立った。

 話すべきことは、もちろんすでに考えてある。


「じゃあ、いくよー。3、2、1……スタート!」

「えー、皆さんこんにちは。タダヒトです。今日から二学期ということで、生徒会の皆さんもどんどん動画を公開していこうと乗り気になってくれています。……まずご報告としては、デビュー作『最強英雄は苦悩する』の第二巻、初稿を夏休みで書き上げることができました!」

「わーっ! パチパチパチ」


 とびきりの笑顔で手を打ち鳴らしてくれる真天先輩。

 原稿を書き上げるのに、彼女の通い妻としての協力がどれほどのものであったか……言いたいんだけど言えないんだよな。


「ここからまだいろいろ作業がありますけど、予定どおりなら今年中にはお届けできるかなという感じですので、続報をお待ちいただければと思います」

「わたしもファンのひとりとして、すっごく楽しみです! ところで唯人くんのサイン会を、この秋の学園祭でやらないかって話になっているんですが」

「ちょ、それをここで言うんですか?」

「サイン会に行きたいという人、どれほどいらっしゃいますか? 興味のある方はコメントくださいね♪」

「開催することもう確定みたいじゃないですか! 編集者にも全然相談してないのに」

「絶対オッケーしてくれますって! そうですよね担当の早乙女さん?」

「うわあ、早乙女さんすいません!」


 思わぬ展開になってしまったけど、ともかく動画撮影は終了した。

 ファイルがSNSにアップロードされると、さっそくコメントが寄せられる。


《タダヒトさんの学園の近くに住んでるので絶対サイン会行きます!》

《遠方なんで行けないな。残念》

《もしかして学園祭で先輩にも会える?》


 ……俺のサイン会、結構期待してる人多いのか?

 まあ、それ以上に真天先輩に会いたがる人が多そうだ。


「ほらほら、タダヒト先生のサインを欲しがる人かなりいますよ! サインの練習ってしてます?」

「いや、全然……考えたこともなくて」

「じゃあ今のうちに練習しておきませんと!」

「うわっぷ?」


 いきなり真天先輩が抱き着いてきた。豊満すぎるLカップバストを遠慮なく押し付けて。


「この秋もわたし、唯人くんをめいっぱいサポートしますから! なんでも言いつけてくださいね」

「わ、わかりましたから……! 離れてくださいよ」

「あたしたち、廊下に出てよっか?」

「まあ、多少のことは見て見ぬフリをしようじゃないか」


 生温かい目で見てくる秋口先輩と大野くんである。もちろんその場にいてもらった。

 ――さて、用事も済んだしあまりのんびりとはしていられない。


「じゃあ、俺はこれで帰ります」

「お疲れ様でした。わたしはまだ生徒会のお仕事があるので」

「うん。また明日」


 これからしばらくは、毎日のように家に来てくれることはない。

 これで正常だ。とても健全な高校生の学生生活。

 それだけに、あの夏休みの日々は鮮烈な記憶となって脳裏に刻み込まれている。


 いま三年生の真天先輩とは、この先もう二度と過ごせない、熱くて甘い青春の夏だった。


「執筆、頑張ってくださいね」

「うん、頑張ります」


 生徒会室を出て、校舎を出て、俺はまっすぐに帰宅する。

 残暑の厳しい中、爽やかな気持ちで前へと歩く。


 この二学期も、またいろいろと起こる予感だ。

 けれど、真天先輩が側にいるならきっと楽しいだろう。刺激的な日々だろう。


 そしてその日々が、作家としての糧になっていくだろう。


「よーし、張り切っていこうか!」


 決意の呟きを初秋の空に載せていく。俺の人生は、小説と同じくらい面白い!

これにて第二部・完となります。ここまで読んでいただきありがとうございました。完成している分まで毎日更新していましたが、ひとまずここで区切りとなります。

連載再開はしばらく先の予定ですが、二学期の日常を描く第三部にもご期待ください。

楽しめたという方はぜひ★評価やブックマーク、ご感想など、ぜひともよろしくお願いします。

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