閑話 師匠との日々3
私はねデュエマが大好きで恋をしてて、愛してるの。(クレマンティーヌ感)
むかしむかし、とある森にひとりの妖精がいました。
その妖精は、この美しい世界をもっとよく知るために旅に出ました。
旅の途中で多くの友や知り合いを得て、その土地の美しいものを見聞きして回りました。
しかし、誰もその妖精があんな出来事に遭うとは思いもしなかったのです。
◇
カネナは胸を高鳴らせながら、主から課された命令を遂行していた。
彼はもとは弱者だったが、その後に力でのし上がり、とある森の主となった。
しかし「アウトレイジ」と名乗る人間に敗れ、本来ならば命を落としていたはずだった。
けれど、その力を認められたことで「カネナ」という名を授かり、主の命のままに敵を討ち倒してきた。
この世界には自分と肩を並べる、あるいはそれ以上の強者が多く存在した。
それらを打ち破るたび、己が強さを増していくことを実感できた。
いずれは主すらも超え、喰らい尽くすつもりでいる。そうすれば、さらに強くなれると信じているから。
力とは絶対の指標であり、勝った者こそ正しい。
もし自分が倒れるのなら、己を討つ者がより正しいということだろう。
カネナは求め続ける──絶対的な強さを。
それこそが、自分を作り上げた者への恩返しになると知っていたから。
◇
「去れ、強者よ。確かにお前は強いが、我よりは弱い。何もせぬというなら見逃してやろう。さあ、我の眼の届かぬところへ去るがいい」
目の前に立ちはだかる《ボルメテウス・ホワイトドラゴン》が言った。
奴が自分より強い──確かにそれは悔しいが事実だ。だが、それがどうしたというのか。
命を懸けた勝負は、必ずしも強い方が勝つとは限らない。
実際、カネナはこれまで自分より強大な存在を何度か倒してきた。
目の前の白き竜が勝負を避けたのは、その可能性を理解しているからだろう。
ならば、戦わずにはいられない。
それこそが自分の生き方なのだから。
名を授かりし《紅神龍ガルドス》──カネナは周囲へ向けてブレスを放つ。
そして《ボルメテウス・ホワイトドラゴン》に命中したのを見て、勝利を確信した。
しかし──
「おのれ……よくもこの地を傷つけたな! 我が盟友との思い出の地を! 許さぬ! 骨の髄まで焼き尽くしてくれるわ!!」
その怒号を聞いた瞬間、カネナは自分の失策を悟る。
この者は、自分では到底届かぬ遥かな高みにいるのだと。
だが、それに気づくのは遅すぎた。
辺りにかかる弱い者なら簡単に殺せてしまいそうな重圧とともに《ボルメテウス・ホワイトドラゴン》のブレスが放たれる。
ありとあらゆるものを焼き尽くすそれは轟音とともに森の一角を消し飛ばした。
◇
「まずい! プロタヒコスの森から大量のクリーチャーが溢れ出している! すでに複数の村で被害が出ている!」
協会の建物に、息を切らした決闘者が飛び込んできた。
彼の話によれば、森で異変が起こり、さまざまな種族のクリーチャーが押し寄せているらしい。
質はまちまちだが数が多く、しかも必死で襲いかかってくるため、低級であっても侮れないという。
任務帰りや休暇を楽しんでいた俺たちの間に緊張が走る。
「すまない、皆! これより緊急任務を開始する!
今すぐ出動できる者は、森付近の村に駐留し、俺の指揮に従ってくれ!
協会職員は他の協会、騎士団、教会、伯爵領へ連絡し、兵を集めるよう伝えてくれ!
戻ってきた者がいれば同じ説明を頼む!」
支部長が威厳たっぷりの声で職員の指揮をとり始める。こういうベテランがいるとなんとかなりそうな予感がするから不思議だ。
「教会は両方、ということでよろしいですか?」
「ああ。ただし、両方が来る可能性をあらかじめ伝えておいてくれ」
「了解です!」
「数が多い以上、俺たちだけでは危険だ。まず市民を避難させ、時間を稼ぐぞ!」
俺たちは急いで準備をこなすと現場へ向かった。
◇
「これは…酷い」
クリーチャーに現在進行形で荒らされている村に着いたいくつかに分けられた一団の一つである俺たちは住民達は無惨にも皆殺しにされ、建物は破壊され、辺りに死臭がする悲惨な状況に思わず目を逸らしたくなる。
だがそんなことは許されない。俺たちは決闘者だから。これ以上人を不幸な目にはさせない。
覚悟を決めると大量のクリーチャーに俺たちは切りかかった。
◇
人間は弱い。だからこそ知恵を絞り、罠を張り、クリーチャーを戦術にかける。
神官が結界で徐々に囲い込み、妨害呪文で動きを封じ、呪文使いを戦士が守りながら遠距離攻撃を加える。
完璧にいくことは稀だが、それにより格上の相手とも渡り合うことができる。
決闘者たちは対クリーチャー戦に長けたプロだ。
迷いなく連携を取り、段取りよく攻撃を進めていく──だが、今回は数が多すぎた。
当初こそ順調に対処できているように見えた。
しかし、時間が経てば経つほど剣は脂や血で汚れすり減り、筋肉は疲労し、マナも消耗していく。
緊張した精神は削られ、敵とはいえクリーチャーを殺すたびに心がすり減る。
だが、クリーチャーは容赦を知らない。
そもそも仲間ですらない彼らは悪鬼羅刹の如く死体を踏み潰し、乗り越えながら襲いかかってくる。
決闘者たちはよく戦った。支部協会長も的確に指揮した。
だが、大波のように押し寄せるクリーチャーの前に、彼らはついに押し切られてしまった。
◇
「ッ! 《爆流剣術・紅蓮の太刀》!」
大量のクリーチャーに押し流された俺はアガピを庇うように切札を放つ。
もとは同じグループで前衛と後衛に分かれて戦っていたが、爆音とともに大量のクリーチャーが押し寄せ、離れ離れになってしまったのだ。
今の攻撃は時間稼ぎにしかならない。それでも、今はそれでいい。
「《サウザンド・スピア》!」
背後でアガピが呪文を放つ。
大体のクリーチャーは今ので倒せた。
なんとか窮地を脱したものの、孤立してしまった。このままでは不利が大きい。
急いで仲間と合流し、撤退すべきだ。
その時だった。
凄まじい圧力があたりを満たす。
目の前に、傷を負った《紅神龍ガルドス》が飛びかかってきた。
「くっ……《爆流剣術・紅蓮の太刀》!!」
振り下ろした太刀は空を斬り、俺の体は強い衝撃を受ける。
「かひゅっ」声にならない声を出しながら吹き飛ばされた俺は一瞬意識を手放した後、地面に激突した。
こいつは強い。手負いだがそれでもあの時のクリーチャーよりも遥かに。そして今は師匠もいない。
(それでも死んでたまるか!)
俺たちは絶望的な戦いに身を投じた。
◇
(まずい!)
迫り来るクリーチャーを前に、アーシェは覚悟を固めかけた。
そもそも戦士では大量のクリーチャーには分が悪い。
敵を怯ませられるならまだしもそれも無理ならやりようがない。
だからこそパーティーを組むのだが数が多すぎて抑えきれなかったのだ。
その時、数本の矢が飛来し、クリーチャーの頭部を貫いた。
続いて真紅の炎をまとった戦士が上空から降り立ち、周囲の敵をなぎ倒す。
──勇者と、その一行が到着したのだ。
「下がっていてくれ。これからは僕が抑えよう」
彼が振った剣は一度に数体の首と胴体を泣き別れにする。
「吹き飛べ、《グレート・流星弾》」
少し人間離れな雰囲気を流す長い髪の少女が魔法を放った。
天より数多の星達がクリーチャーを消し飛ばす。
「怪我をしている方はこちらで治療します!」
六つの星が結ばれた星座の旗が掲げられる。
オラクル教団が負傷者を救護し始めた。
「我らも来ましたよ〜」
王立騎士団、四龍教の者、伯爵領の兵士たちも続々と集結する。
人間たちの反撃が、ここから始まる。
妖怪ウォッチ3がまだストーリーをやり終わってないんですよね。久しぶりにやりたいなぁ。




