1544_コヨーテは狩ったら増える #動物 #社会
「ロシアで生まれ3歳で渡米したアメリカのSF作家アイザック・アシモフは『人間は、無用な知識を喜ぶ唯一の動物である』と言ってます。確かに使えない知識でもありがたがるのは人間くらいなものです」
「やっほー、知識はいいものだ。世界一の美女サクラです! 今回は『コヨーテは狩ったら増える』について話すよ。よろしくね」
「北米では過去100年でコヨーテの数が急激に増え、生息域を拡大させてきました」
「コヨーテの増加により家畜やペットが襲われたり、人間にも被害が出ています。害獣として認定されており、昔から狩猟の対象になっていました」
「普通に考えらたら、狩られれば、個体数は減ります。でも、実際には個体数が増えています」
「そこで研究者はコヨーテの数が増えている不思議を解明することにしました」
「今回は「減ると増える」。その不思議についてお話します」
「参考文献はアメリカのニューハンプシャー大学などの研究となります」
「研究者はコヨーテの個体数の増加の謎を調べるため、全米を対象にしているカメラトラップ(自動撮影)のデータを使用しました。合計で4587個のカメラの映像を分析して、コヨーテの生息数や生態を調査しました。また、環境や都市状況も加味してコヨーテが増える原因を探ったのです」
「さて読者様、どうしてコヨーテは増えているのでしょうか?」
「狩猟も許可されており、実際に狩られています。人類は多くの動物を絶滅に追いやってきました」
「日本ではニホンオオカミが狩猟の対象になり、個体数を減らし、1905年頃には絶滅しました」
「訪米に数十億羽生息していたリョコウバトも食用や毛皮用として狩られ、1914年頃に絶滅しました」
「他にも、ドードー、ステラーカイギュウ、二ホンカワウソなど、人間が絶滅させた動物は数多く存在します」
「なのに、どうしてコヨーテは絶滅どころか、数が増えているのでしょうか?」
「一体、コヨーテに何が起きているのでしょうか? 死んだら分裂して復活でもしているのでしょうか?」
「はたして、コヨーテが増える理由とは何だったのでしょうか?」
「全米のカメラのデータを分析した結果、コヨーテが増える理由はーー」
「いろいろでした!」
「一概に一つの答えが出るほど単純な理由でコヨーテは増えている訳ではないみたいです。順を追って説明します」
「まず、コヨーテの生息数(個体数密度)はアメリカ南西部で最も高く、北東部で最も低いことが判明しました」
「南西部で数が増える理由は、草原や低木地、農業地が多く、さらには都市化の影響のようです」
「草地や農地はコヨーテの住処となります。隠れ家としても機能するので人間から隠れやすくなります。また、他の天敵の動物からも逃げることができます。安全に生活できるので個体数の増加に寄与しているみたいです」
「都市化の影響も見過ごせません」
「都市化が進むと、コヨーテの数は一時的に減ります。自然が減り、食料が減るので個体数が減ります。しかし、コヨーテの適応能力が非常に高く、近くに都市があると人間が捨てた食料などを盗んで生き延びるようになります」
「餌が潤沢にあれば個体数が増えるのも当然のことです」
「長期的に見ると、都市化はコヨーテの増加に一役買っているみたいです」
「逆に北東部で個体数が少ない理由は、気候条件が厳しくなるからです。北へ行くほど、森林被覆率が高まります(森が広くなる)」
「コヨーテの主な狩猟場は開けた土地の草原や農業地です。森の中では狩猟の成功率が低くなるため、餌を確保できないため個体数もそこまで増えないみたいです」
「次に、狩猟についてです。これは非常に不可思議な結果が出ました」
「というのも、コヨーテの狩猟が許可されている地域は狩猟が許可されていない地域よりも個体数が多いことが判明したのです」
「コヨーテは狩れば狩るだけ、増えるという矛盾が出てきたのです」
「コヨーテの狩猟が行われると、一時的には数が減ります。しかし、狩猟によって個体数が減ると、生き残ったコヨーテたちの必要なリソースが減ります。一頭あたりがありつける餌の量が増えます」
「その結果、若返りが起きます」
「生き残った個体はたくさん食べ、たくさんの子供を産みます。すると、若い個体が増え、群れを構成する年齢が若くなります」
「狩ったコヨーテ以上に生まれるコヨーテの数が上回るので、個体数が増えるようです」
「また、縄張りも関係しています。一部のコヨーテが狩られると、そこを縄張りにしていてコヨーテがいなくなり、空白地帯が生まれます。そこに、縄張りを持たず放浪していた個体が入り込みます」
「その日暮らしの不安定な生活から一転、住処のある安定した生活になります。つまり、一部のコヨーテを排除しても他のコヨーテが入って来るので、数が大きく減ることはないみたいです」
「コヨーテの生息数はライバルにも影響を受けます」
「最も影響が大きかったのはピューマです。ピューマの存在はコヨーテの数を抑制するのに役立ちます。また、クマもコヨーテの天敵となります」
「オオカミとは意外にもいい関係を築いており、オオカミの食べ残しのおこぼれに与っているみたいです。オオカミに襲われることもありますが、悪くない関係でもあります」
「しかし、都市化が進むと事情が大きく変わってきます。コヨーテは都市化が進んでも適応できますが、他の大型肉食動物はそうもいきません。シンプルに森や草原が減ると餌が減り、個体数が減ります」
「コヨーテのライバルが減るので、コヨーテの勢力を伸ばす結果となります。様々な事情によって、コヨーテは数が減ると数が増えるという一見矛盾した事象が起きていたいのです」
「狩ればいい、という単純な話ではないのです」
「ということで今回のまとめです」
「研究者はコヨーテの数が増えている理由を全米のカメラの映像を分析して調査したよ」
「すると、コヨーテは自然環境や都市化、ライバルの存在などによって増えていたみたい」
「狩ると一時的には個体数が減るけど、長期的に見ると増えるみたいだよ。不思議だね」
「今回の研究は秋のデータを分析しました。出産期の春、資源の乏しい冬のデータはありません。他の季節を補完できるものではありません。ままなりませんね」
「個人的にはコヨーテを狩る利益が少ないのも数が増える大きな理由と考えられます」
「コヨーテは食用にするには肉が少ないですし、毛皮も利用価値が低いです。牙や骨も特に有効活用できません。狩るコストに比べて得られるメリットが少ないので、積極的に狩られませんでした」
「利用価値の低さがコヨーテ繁殖の遠因になったかと」
「価値があれば狩られて減り、価値がなければ見向きもされず増える」
「今回は『コヨーテは狩ったら増える』でした。未知を少しでも減らす」
「ありがとうございます。次は『ランニングシューズ選びで大事なのは自分の直感……的な話』だ! バイバイ」




