帰宅、そして説明
ダンジョンを出入りするときには、探索者ライセンスという物を専用の端末にかざし、自身の魔力を少し流すことで本人確認をするのだが、特に何事もなく通ることが出来た。正直通れないんじゃないかと思ってひやひやしていたのだが、杞憂だったようだ。
しばらくして家に着いたので、
「ただいま」
と僕が言うと、
「おかえり、お兄ちゃん」
とすぐに返ってきた。どうやら海は既に学校から帰って来ているらしい。海は今年から東京探索者高校に通っている。少し前に鑑定をしてもらったところ、海には剣術と水魔法の2つの適正があり、魔力量もかなり多いAランクということが分かったため、学費が免除されることとなり通うことが出来たのだ。いわゆる特待生である。風魔法の適正が少しあるだけで、魔力量もEランクの僕とは大違いだね。そんなことより、説明して納得してもらえるだろうか。
不安になりながらもとりあえず夕食を終え、ついに説明するときが来た。
「あのさ、海」
「どうしたの?」
こうして僕は今日起こったことを1から説明した。
「ダンジョンってそんなこともあるんだね」
ダンジョンはワープといった非科学的ことも当たり前に起こるので、今回の特殊な状況もなんとか海に納得してもらえたようだ。何はともあれ、今まで通りの生活を出来そうで良かった。そう思ったのだが、
「じゃあお姉ちゃんには女の子として生きるために大切なことを色々教えてあげよう」
今日は寝ることが出来ないと悟り、僕は苦笑することしか出来なかった。
この作品に登場するランクは全てE,D,C,B,A,Sの6段階で、魔力量でいうとC程度が平均的なラインです。他には、探索者ランクと魔物の危険度ランクがあります。
空は海よりも身長が低く(140センチ代)、そのうえかわいらしい容姿をしているため、海に弟のようにかわいがられていたりします。




