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ちやほや計画セカンドステージ

「それで一蘭、相談とはなんですか?」


一蘭はちとせの家に来ていた。前々から相談したい事があるとアポを取っていた


「はい。僕・・・・・・」


一蘭は覚悟を決めて行った


「僕ーーーーーーろうと思います」


「・・・・・・」


(おーい祖母、湯呑み落としてるぞ)


ちとせはしばらく固まっていた。一蘭は気持ちは分からないでもないと、ちとせが動き始めるまで待った


「そ、うなの。確かにそれはけやきには言えないわね。わたしに一番に相談した理由が分かりました。それで私は何をすればいいのですか?」


「周りは僕が説得します。お祖母様には推薦書を書いて欲しいんです」


「良かったわ、正直けやきの説得を頼まれたら断ろうかと思っていたの。それで、一蘭の要望は分かりました。その口ぶりだと行き先についても目星がついているのね」


「ここにしようと思っています。試験を通ったらですが。あはは」


ちとせはそのホームページを見て顔を顰めた。それについての存在は聞いたことがあった。しかし社交界にも各界にも伝手があるちとせをしても、あまりに得られる情報が少ないことから都市伝説だと思っていた。一蘭はそれを見つけてきた。今までに見たことのない形式をしているドメイン、こんなものを一体どこで知ってどうやって見つけたのか、心配と不安が表情に出てしまった


(やっぱり祖母は少しなりとも知っているか。流石人脈チートを持っているだけあるな)


そんなちとせの心情を読み取って一蘭は少し困った。一蘭が提示したものは非人道的なことも行われることがあるからだ。このことをちとせが知っていたら、最も説得しやすいちとせで計画が詰まってしまう


「どのくらい空けるつもりなの?」


しかしちとせはあまり詳しくなかったようだ。計画が次へと進んだ


「4年生と5年生の2年分ですかね。12歳前には帰ってきます。結婚か婚約のあれこれがあるんですよね?」


「今年は周りを説得するのね」


一蘭はもうすぐ3年生である。4年生になるまでの1年間でこの件を通すために動くつもりであった


「そうですね。それくらいあれば母もかくらもなんとかなるかと」


「・・・・・・分かりました」


「やった。ありがとうおばあちゃん」


そこで一蘭は先ほどとは打って変わって子供のような笑顔で甘えた声を出した


「調子がいいんですから。あんまり他の人にしてはダメよ? いつも言ってますがあなたの周りには・・・・・・! そうでした、その件でも十分気をつけて下さいね。周りは女の子だらけでしょうから」


「はい」


(祖母クリア!)


・・・・・・・・・・・・


「一蘭、ちとせちゃんから聞いたぞ」


「ちょうど話そうと思ってました。許していただけますか?」


「戻ってきた時に鈍っていたら許さん。あと柳流護身術は勝ち負けに価値を見出しておらん。前言ったように逃げられる時は逃げるのを良しとするからの」


「? はい」


一蘭は柳の言葉に話のつながりが見えなかった


「じゃがワシ個人が負けを許さん。ワシが若い頃は日本中を無茶苦茶の無茶苦茶にしたものじゃ。お前さんも全力で暴れられるいい機会じゃろ」


(いや、あんた生まれた時からジジイやったろがい!)


「なんじゃ、返事がk」


「はい! 師匠!」


「うむ」


(このノリも久しぶりだな)


「お前さんはおなごを殴ったり蹴ったり出来なさそうじゃし、その前に決着をつけられるくらい圧倒的な力をつけるしかないじゃろ? そうじゃろ?」


「げっ」


「うむ。今日から更に修行を厳しくするぞ」


そう言って柳は最近一蘭に使う事を許可した”真剣”を渡した。これは当然法外である


(一応師匠クリア!)


・・・・・・・・・・・・


「一蘭くん、まさか一蘭くんから来るなんて・・・・・・そんなに都合の悪い事なの?」


(バレてら)


拗らせ姫は捻くれ者で常にネガティヴ思考だ。元々こういう考え方しかできないのだが、今回ばかりは彼女の予想は当たっていた


「・・・・・・」


一蘭が内容を伝えた後、伊吹姫はしばらくなにかを堪えていた。そして気持ちの整理がついた彼女は一言


「気をつけてね」


「!」


一蘭はここまで素直に事が進むなんて思っていなかったので彼女の一言目が否定でなかったことに驚いた


「その2年間文通は無理そうだね」


「はい。僕も楽しみが1つ減るので寂しいです」


ならば行かないで、と言うほど彼女は愚かではない。彼女は元々妃となれるほど賢く教養もある。いわばポテンシャルは高い。ここで自分が発言すると一蘭を困らせてしまうと分かっていた


「それにしても2年だもんね」


「そうなんですよね。でも案外周りがその事を分かってもらえなさそうで」


「大切な人が離れてもいいって思う人はいないよ。人はいつ別れが来るか分からないもん」


「・・・・・・」


その言葉には重みがあった。前代の天皇が急に崩御して皇居での居場所を見失っていた伊吹姫だからこそ言えることだ


ここで


「一蘭様失礼します。お目通り叶うとの事です」


「分かりました」


侍女さんが一蘭を呼びに来た


「一蘭くんじゃあね。いってらっしゃい」


伊吹姫はこの”いってらっしゃい”と一蘭に言うことが大好きであった。母性がくすぐられる


(・・・・・・前と通路が違う?)


伊吹姫に送り出された後、侍女さんに案内されて前回と同じ場所まで来た。そこからはまた一人で道なりに進んでいたのだが、道が前回とは違うことに気がついた


(相変わらずここについては分からない事ばかりだな)


やがて前回きた場所が見えてきた。入り口付近で撫子が笑顔で迎えに来ている。撫子は一蘭に近づいて挨拶は不要とばかりに要件だけ言った


「やあやあ一蘭くん。君アメリカのギフテッド収容施設に行くんだって?」



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