柳景辰視点
33柳景辰視点
(む? これはやりすぎたかの?)
相手の体重を使った技であるため柳自身は力を全く加えていないが、それは断りもなしに技をかけていい理由にはならない
本当に久しぶりに弟子をとること、一蘭が只者ではない雰囲気を持っていることで興奮している彼は感覚が麻痺していた。今の状況を誰かが見れば、誰もが児童虐待と思うだろう
「ほれ、大丈夫か。今日は止めにしようかの」
苦しんでいる姿から彼が5歳児であることを今更ながら思い出した
(目の前の才能に年甲斐もなく興奮しよって・・・・・・完全にワシの失態じゃな。これで彼はもう来ないかもしらん。ちとせちゃんには申し訳ないことをしてしまった。何よりこの才能が更に成長するところを近くで見れないのが残念で仕方がないの)
「大丈夫です、いけます!」
(!?)
「う、うむ。よく言った!」
珍しく彼が吃ってしまった
(最近の軟弱者に見せてやりたいわい)
今後の修行内容を獰猛な笑みを浮かべていた・・・・・・
「もっと手首を使って茶をたてんか!」
「はい」
「もっと速く」
「はっはい!」
「・・・・・・ふん! 粗茶じゃな」
「が、頑張ります」
この一日を通してお互いに冗談を言えるほど打ち解けた
「ほれ、さっさと片付けて管弦に移るぞ。そっちを持て」
「これですか?」
「ちがう、その右じゃ」
「あ、すみません」
「せーのでいくぞ。せーn」
バリン!
「よく避けたな」
「意地悪そうな顔してましたよ、僕でも分かりました」
「はっはっはっ、言うではないか。軽口を叩けるくらい余裕なら次からもっとキツくしても大丈夫そうじゃな」
「げっ」
「それも片付けて次に進むぞ。時間がおしている、このままでは今日のノルマが終わらん」
「師匠、さっき茶道具の説明でこれはなかなかの品物と言っておりませんでした?」
「・・・・・・形あるものはいつか壊れる。それが今日だっただけだ」
「いやいや師匠、無理があるでしょ」
「お前さんのものではないし、なんでも良いじゃろう。いいからはよ持て、何度も言わせるな」
教えれば教えるだけ上手くなっていく、他の男とは違う謙虚な姿勢もあって実に教え甲斐がある。柳はこの弟子の教育が楽しみで仕方がなかった




